2009/11/21

Balance in Design 美しくみせるデザインの原則 / キンバリー・イーラム(Kimberly Elam)



Balance in Design 美しくみせるデザインの原則」を読みました。

これは一冊まるまる「黄金比」についての本です。

人が調和や安心感を感じる1対1.1618・・・という比「黄金比」。それについての説明がことこまかになされています(黄金比と似た比率「白銀比」についても少しだけ解説されています)。

以下に、本書から学んだポイントをピックアップしてみたいと思います。

黄金比とは
自然界に頻繁に現れるある比率、1:1.618……(1と1.6に近い無理数の比)。

図形的には、下記のとおり(画像小さいですが……)で、2次方程式(x^2-x-1 = 0)の解(つまり、(1+root(5))/2)です。

フィボナッチ数列において隣り合う2項間の比でもあります。



白銀比とは
長方形のある縦横比、1:root(2)。

その比の長方形を「ルート長方形」と言います。用紙サイズとしてよく普及している「A4」「B4」という紙の規格は縦横の比率がこの白銀費になっています。

黄金比はなぜよいのか?
人が黄金比に調和や安心感を感じるのは「それが自然界にたくさんあるから」とのこと。具体的には、巻貝、ひまわり、まつぼっくり、魚の体などの事例が取り上げられていました。

人の体(全身、顔)の中にも黄金比がたくさん含まれているといいます。

また、本書のなかでは黄金比をうまく利用したデザイン事例も豊富に紹介されていました。
・ミース・ファン・デル・ローエのイス(バルセロナチェアブルーノチェア
・イームズのイス(プライウッドチェア
フォルクスワーゲン・ビートル
・その他ポスターもろもろ……

ボリュームは100ページ前後と多くはありませんが、シンプルでわかりやすかったです。「黄金比についてきちんと知っておきたい」という場合はこの一冊で十分かと思います。

おまけ
黄金比について非常にわかりやすく説明した動画もありました。なぜ自然界に黄金比がたくさん現れるのか、そのメカニズムが解説されていて「なるほど!」となります。もしご興味があればぜひこちらも。
黄金比とフィボナッチ数列について説明する美しい動画


2009/11/14

わかりやすく〈伝える〉技術 / 池上彰


わかりやすく〈伝える〉技術

かの「週刊こどもニュース」のお父さん役を1994年からの2005年まで11年間務めた池上彰さんの著書。

こどもを対象とした当番組に出演しながら池上さんが一貫して考え続けた「ものごとをわかりやすく伝える方法」の答えが書かれています。

仕事をする中で、施策の目的や内容を人に伝えるときにうまく伝えられないことがあり、モヤモヤしていたときにこの本にヒントを求めて読みました。
自分の考えていることが相手に伝わらないとき、私は「相手の理解力が足りないせいだ」とつい考えてしまいがちなのですが、、、それでは結局自分の成長に繋がらないので、「伝えたつもり」ではなく「伝わるまでやれるような人間になりたい!」と思って読みました。

この本の中では色んなテクニック・考え方が紹介されていたのですが、その中で私が最も重要だと感じた「わかりやすく伝えるためのポイント」を3つご紹介します。

1.話の地図を示す
2.本質だけを伝える
3.うまく伝えられないときは自分の理解が足りない

1.話の地図を示す
説明のための「地図」を示す。「地図」とは、話の要点を押さえた短い文章と図。ニュース番組や新聞の「リード」にあたるもの。プレゼンのときには、1)所要時間、2)目次、を示すことも重要。

2.本質だけを伝える
絶対に必要な情報」だけを盛り込む。
そのためには、1)相手が誰であるか、2)相手にとって重要な情報は何か、をきちんと認識したうえで、「絶対に必要な情報」と「あってもなくてもいい情報」を選り分けることが必要です。

3.うまく伝えられないときは自分の理解が足りない
私は「理解してるつもりのことを人に話してみたら、うまく話せなかった」という経験が何度もあります。逆に、「人に説明するつもりで勉強したら、自分の理解がより深まった」ということもたくさんあります。実は、説明できることと理解していることはとても近いことみたいです。うまく説明できないときは説明の「やり方」だけを工夫するのではなく「そもそも自分の理解が浅いのではないか?」という方向でも考えて原因を追及する。

おまけ…腹から出た声はわかりやすい
同じ内容の話であっても、滑舌がいい人と悪い人では伝える力がちがう。意識して日々練習するだけで違うので、要練習。ポイントは3つ:1)腹式呼吸で、2)口を大きくあけて、3)「あ」「い」「う」「え」「お」をはっきり言う


この本から何か新しいことを学んだという感覚はなく、どの話もどこかで学んで「なんとなく知っていたこと」でした。だけど、こういうことを
1)「なんとなく知ってる」から「重要だと認識する」に変えられたこと
2)あの「こどもニュース」のお父さんが実践してると知ったこと
が本書を読んだ大きな収穫でした。

良い一冊です。「伝えたつもり」で終わるのではなく「伝わるまでやりたい」と思っている方におすすめです。

キーワード:
話の「地図」
話の「本質」
自分の理解の深さ

2009/11/03

ブランドらしさのつくり方―五感ブランディングの実践 / 博報堂ブランドデザイン


ブランドらしさのつくり方―五感ブランディングの実践」を読みました。

これは「五感に訴えるブランディング(マーケティング)を行おう!」と提案する一冊。

内容
本書の内容を強引にかいつまんでいうと、

いまは、モノと情報が飽和し同質化してしまっている時代。そんな中消費者に選んでもらうためには「五感への訴求」(「これ、なんとなくいい」を作ること)こそが第一に重要なことである。そして、いわゆる「知覚品質」を高めるためには、受け手の五感にどんな刺激を与えるかを戦略的に設計することが大切であり、そのためには、左脳と右脳の両方をうまく働かせることが不可欠である。

・・・といった主張が展開されています。

目次

第1章 なんとなく五感体験 ※イントロ。
第2章 ブランドの「らしさ」づくりと五感 ※ブランディングの説明。
第3章 五感に訴えるブランドとは ※五感ブランディングの説明。
第4章 五感ブランディングの方法論 ※五感ブランディングの方法論の説明。
第5章 仮想ケース:新宿駅の五感ブランディング ※ケーススタディ
第6章 五感のこれから ※しめ。今後の展望。

感想

ブランディングの時代背景、考え方、五感ブランディングの考え方、いずれもスッキリわかりやすく説明されており、勉強になりました。「五感ブランディング」だけにかぎらず、「ブランディング全般」を理解するために読む本としてもおすすめな一冊かと思います。

ただ、この本にならって「五感ブランディング」を実践する際には注意が必要かなと思いました。本書で書かれているような「五感すべてを設計する」という取り組みは通常のビジネス状況において現実的ではないので、設計に入るその前に「このケースにおいて五感のうち最も重要なもの(KSF)はどれなのか?」を見極め、絞り込むという作業が欠かせないでしょう。そのあたりのお話は類書「インサイト」の方がより実践的で面白かったように思います。

内容のまとめ

ブランド設計のフレームワーク:
・ブランドバリュー
・属性
・機能的価値
・情緒的価値
・社会・生活価値
・ブランドスタイル
ブランドターゲット
・ブランドパーソナリティ
・世界観

ブランド設計のツール:
・タッチポイント・マトリックス
縦軸にタッチポイント(媒体)、横軸に刺激する五感とコアメッセージを並べて、顧客とブランドのすべての接触機会での顧客の知覚品質を設計しようというもの。これを作ることで、1)全体が整合した、2)モレ・ダブリのない、顧客体験の設計が可能となる。