2010/12/28

三国志 / 横山光輝(60巻中46~49巻あたり)

横山光輝「三国志」を読みました。

先日晩ごはんを食べたレストランにたまたまあったので、ほんの少しだけ。諸葛亮孔明が猛獲と争う「南蛮平定」のところを読みました。確か46~49巻あたりだったと思います(うろ覚え)。

三国志をちゃんと読むのは、小学生の頃以来です。当時は純粋にマンガ、エンタテイメントとして読んでいましたが、今改めて読むと色々と感じることがあり、「年を重ねると、同じ素材も違った楽しみ方ができるんだなぁ」と、なんだか感慨深いものがありました。


内容
蜀の軍師孔明が魏との戦いに集中するべく、まずは背後をきちんと固めるために遠征した南蛮平定戦です。南蛮を牛耳る猛獲との戦いを繰り返し、猛獲を捕らえては放し、捕らえては放し、を繰り返し、6度目でやっと、猛獲の心を捉えて、南蛮平定に成功します。

孔明の目的の置き方や戦い方に学ぶべきところがたくさんあったので、いくつかポイントを取り上げてみます。マーケティングの考え方に通じるところがたくさんあります。

孔明がすごいポイント
MECEではありませんが、まとめてみると全部で6ポイントありました。

1.目的設定
戦いの目的は「勝つこと」ではなく、その先の「治める」ことにあると考える。
また、費用対効果を重んじる。仲間の犠牲はできるだけ少なくしようとする。
(ライフタイムバリュー、費用対効果)

2.戦略
必ず味方に有利な状況に持ち込んでから戦う。
相手の弱点を突く。
相手を油断させる。
だます。
仲間の戦闘力を過信した真っ向勝負はしない。
(ポジショニング、SWOT)

3.環境分析
地理と天候を必ず読んで、味方につける。
(マクロ環境、市場環境)

4.展開の見通し
戦闘の展開をあらかじめ見通し、適切な場所に適切な人数の兵士を配置しておく。
(マーケティングミックス、プロモーションミックス)

5.心理分析
敵の戦意の高低を読む。
仲間と敵のモチベーションの源泉を把握し、それを活用する。
(ニーズ分析、インサイト分析)

6.人を動かす
効果を考慮して、あえて優しく接する。
効果を考慮して、あえて厳しく接する。
面子を立てる。
(プロポジション、プロモーション)

…以上です。中国の三国時代というと、西暦200年くらいだと思うのですが、その頃にこれだけ、人、自然、かけひきのことを理解していたと思うと、、、怖いくらいです。私が先人の知恵をもらってテキストで学び、人から教えてもらい、実践し、失敗し、そしてまたテキストから学び……を何度も繰り返しやってやっと少しずつ学べていることが、この当時にできてたんだなぁと思うと、、すごいと思います。逆に、昔の方が人や自然を見つめる目が鋭かったのでしょうか。

ともかく、面白く、多くの学びがもらえました。

2010年の良書ベスト27冊



いよいよ、2010年が終わろうとしています。

おかげさまで、この1年もたくさんの良書に出会うことができました。出会い方は本ごとにまちまちで、人に紹介してもらうこともあれば、ブログから教わることもあり、書店で見つけることもあり。出会い方はさまざまですが、どんな形であれ「良書だ!」と心から思える本にコンスタントに出会えるということは、ただ単純に、幸せなことだなぁと思います(こうやって振り返らないとこう思うこともありませんでした…)。

良かった本はなるべくこのブログに書くつもりではいるのですが、なかなか全部は書き切れません。
だから、すでに取り上げたものもあれば、取り上げていないものもあります。今年初めて出会った本も、再会した本も。色々まとめて今年のベストを振り返ってみました。挙げていくと、結果的に27冊になりました。

次の3つの視点で分けてみます。

1.「基本姿勢」編
2.「専門領域」編
3.「志」「生き方」編


1.「基本姿勢」編
■カーネギー
・人を動かす / デール・カーネギー

■ドラッカー
マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版] / P・ F. ドラッカー、上田惇生訳
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら / 岩崎夏海

■生活起点の商品開発
デザインの輪郭 / 深澤直人


2.「専門領域」編
■戦略
世界一シンプルな「戦略」の本 / 長沢朋哉
・あたらしい戦略の教科書 / 酒井穣
経営戦略を問い直す / 三品和広
・MBAビジネスプラン / グロービス

■問題解決
いかにして問題をとくか / G.ポリヤ

■TOC(Theory of Constraints)
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か / エリヤフ・ゴールドラット 三本木亮

■ソーシャルメディア
グランズウェル / シャーリーン・リー、ジョシュ・バーノフ

■組織マネジメント
感じるマネジメント / リクルートHCソリューショングループ

■行動分析学
行動分析学マネジメント / 舞田竜宣 杉山 尚子
インコのしつけ教室 応用行動分析学でインコと仲良く暮らす / 青木愛弓
On Talking Terms with Dogs: Calming Signals / Turid Rugaas

■図解
ビジネスモデルを見える化する ピクト図解 / 板橋 悟
頭がよくなる「図解思考」の技術 / 永田豊志
プレゼンテーションZen / ガー・レイノルズ 熊谷小百合

■英語
英語耳ドリル / 松澤喜好
これで話せる!英語のバイエル / 大西泰斗、ポール・マクベイ


3.「志」「生き方」編
■志
・竜馬がゆく / 司馬遼太郎
創造と変革の志士たちへ / 堀義人
R25 つきぬけた男たち / R25編集部

■生き方
キャリア・アンカー / エドガー H. シャイン 金井壽宏
さあ、才能に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす / マーカス バッキンガム
これからの「正義」の話をしよう / マイケル・サンデル
・親が死ぬまでにしたい55のこと
「残業ゼロ」の仕事力 / 吉越 浩一郎

■その他
ブイヨンの気持ち。 / 糸井重里



……以上です。
こうやって振り返ってみると、小説をほとんど読んでいない(唯一「竜馬がゆく」だけ…)ことに気づきました。来年は小説にもたくさん取りかかって、楽しみつつ、特定分野を掘り下げつつ、世界観も広げる――そんな1年にできればと思います。

また、来年はこのブログ自体をもっともっと多くの方に読んでいただき、気づきを得ていただけるものにしたいと思います。がんばろ。

2010/12/26

映画:カンフー・パンダ



今回は本ではなく、映画です。ドリームワークス(DreamWorks)の映画「カンフー・パンダ」を観ました。日本では2009年に映画館上映されていたようです。

予告編


主人公パンダ「ポー」の声を演じるのは「スクールオブロック」のジャック・ブラック、師匠はダスティン・ホフマン、修行仲間の女タイガーはアンジェリーナ・ジョリー、と非常に豪華な顔ぶれで、さらに、カンフーの使い手の猿を演じるのはなんとあのジャッキー・チェン。カンフーファンにはたまらないジャッキー起用です。

物語は、カンフーが大好き、だけどちょっとおとぼけなパンダ「ポー」が、ひょんなことから「龍の戦士」というものに選ばれてしまい、さて・・・といった感じの内容です(ネタバレしないようにこれぐらいにとどめます)。

子供向けのアニメだからと油断して見始めると、その内容の濃さに圧倒されます。
・きれいな映像
・アクションシーン
・ユーモア
があるのはもちろんですが、
・愛と憎しみ
・人間(動物?)の心の機微
・人生の本質
などについてもイヤらしくない形で描写されており、たっぷりと楽しむことができます。最初は他愛ないイントロと思っていた「ポーのお父さんがラーメン屋を営んでいるシーン」も伏線としてしっかり後で活きてきたりするので、どれひとつ無駄なシーンがない印象を受けました。

中でも私の印象に残ったのは、「マスター」の台詞です。

There are no accidents.

「偶然はないのです」。

Quit, don't quit.
Noodles, don't noodles.
You are too concerned with what was and what will be.
There's a saying:
Yesterday is history,
tomorrow is a mystery,
but today is a gift.
That is why it is called the present.

逃げ出そうと、逃げ出すまいと。
麺を作ろうと、作るまいと。
君は、過去と未来を気にかけ過ぎている。
こういう言葉があるじゃないか。
昨日のことは終わったこと。
明日のことなんてわからない。
ただ、今日という日は宝物。
だから、「今」のことを(英語で)「プレゼント」って言うじゃないか。

Maybe it can.
If you are willing to guide it.
To nurture it.
To believe in it.
You just need to believe.

できるかもしれない。
もし君が、導き、育て、その存在を信じるのであれば。
君が、信じないとだめだよ。

There is no secret ingredient.

(これは内容と深く繋がる部分なのであえて訳しません…)


……ドリームワークスとピクサーの映画はどれもよくできていて、見終わった後ついつい繰り返し見てしまいます。エンターテイメントの中に学びを得られる、とてもいい映画でした。がんばろ。


おまけ
今年の5月には続編「カンフー・パンダ2」が出るそうです。
カンフー・パンダ公式サイト




追記
カンフーパンダ2の予告編(トレイラー)が公開されていました。ホーホホーホーゥ。

カンフーパンダ2予告編 シンプルな1分バージョン


カンフーパンダ2予告編 見所満載の2分バージョン



追記20120225
続編「カンフー・パンダ2」も観ました。

カンフー・パンダ (日本語吹替版)

2010/12/11

経営戦略を問い直す / 三品和広


神戸大学経営学研究科の三品先生の「経営戦略を問い直す」を読みました。

応用しやすいことを目指して書かれた、実用的「経営戦略」論です。
世間では「戦略」がよく誤解/誤用されることを指摘したうえで、戦略についてのあるべき姿、その構成要素について語ってあります。

本書を読んだ目的

経営戦略の全体像をおおづかみにつかむ。「わかったつもり」だけど、いざ「作る」となるとなかなかできない戦略について考える。
MBA取得を具体的に検討する前に、MBAの限界についても知っておく。

目次

はじめに
第1章 誤信
第2章 核心
第3章 所在
第4章 人材
第5章 修練
あとがき

第1章で戦略についての現状とその問題点を指摘し、2章ででは戦略とは何なのかについて持論が展開されています。続く3章、4章では戦略の形成に関わる「人」について、最後の第5章で「まだ経営者になっていない3人の読み手」――学生、中堅社員、幹部社員についてのメッセージが書かれています。

キーポイント

私が本書から得た学びは主に次の4点です。
1.経営戦略の目的
2.経営戦略の構成要素
3.経営戦略が宿る場所
4.経営戦略のモト


1.経営戦略の目的
経営戦略の目的 = 長期利益の最大化

2.経営戦略の構成要素
経営戦略 = 立地 + 構え + 均整

3.経営戦略が宿る場所
経営戦略が宿る場所 = 経営者の頭の中

4.経営戦略のモト
経営戦略のモト = KKD = 観(K) + 経験(K) + 度胸(D)

ピックアップ

本書の中でココ!と感じたところをピックアップします。

戦略の一般論は簡単です。戦略の個別論も、後付けの説明なら簡単です。ところが、いざ応用となると、足がすくみます。特定の事業が置かれた立場に立ってみると、本当に難しいのです。
あとがきの中にある、数ある戦略論について書かれた一節。この問題意識を出発点として、本書で独自の経営論が展開されます。

同業他社には再現できない何かを盛り込む、そういうところに立ち向かわないかぎり、戦略にはならないのです。
同業他社もできるような衛生要因的なことを「戦略」と言っても大差にはつながらない、というお話。

戦略を「サイエンス」に昇華させようという動きが、いつの時代にも絶えません。(中略)
サイエンス信仰の根底にあるのは、主観を忌み嫌い、客観を尊ぶ一種の価値観です。(中略)
たとえば、近年のMBA人気。(中略)
(しかし)松下幸之助、本田宗一郎、井深大。トーマス・ワトソン・ジュニア、ヘンリー・フォード、サム・ウォルトン。洋の東西を問わず、人の名前がしっかり残っています。(中略)
ある会社を、あるタイミングで任されたとき、何をするのか。どんな手を打つのか。どこに立ち向かっていくのか。これは、まさに人によりけりで、再現性は期待できません。
この指摘にはハッとさせられました。本書を読むまでは、頭のどこかで「戦略はサイエンスだけでどうにかなる」と思っていたところがあります。認識を改めます。

戦略の真髄は、見えないコンテクストの変化、すなわち「機」を読み取る心眼にあると言ってよいかと思います。もちろん、心眼は人に固有のものであり、そこに戦略の属人性が根ざしているわけです。主観に基づく特殊解、それが本当の戦略です。
戦略のフレームワークは、現実をモレなく認識したり、アイデアを人に説明したりするときに便利な道具でしかない。その道具をどう使うか以前の問題として「どう見るか」という問題がある、とのことです。

経営戦略がアナリシスの発想と相容れないのは、その真髄がシンセシス(統合)にあるからです。(中略)
統合は、一人の人間の頭の中でするしかありません。しかも、脳内の横連携がよくとれているという意味で、頭の熟成が進んでいる人を必要とします。手順を踏んで教科書を真面目に勉強すれば、アナリシスの力は確実に上達しますが、シンセシスの場合、コトはもっと複雑で、教科書のない世界で十年単位の鍛錬を重ねないと上達は見込めません。その意味においても、戦略はアートに通じます。
管理や問題解決はアナリシスで良いが、経営は統合である、とのこと。また、経営の能力は実地(経営の体験)の鍛錬を長期間重ねることでしか身につけられない、とのこと。

戦略とは何を意味するのか、百家争鳴のごとく諸説が乱立していますが、結局のところ、「立地」に「構え」を幾重にも重層的に絡め、その上で「均整」を取ることと考えれば、わかりやすいでしょう。

戦略は「立地」と「構え」と「均整」に凝集します。
戦略を3つの構成要素で説明した場合。「立地」なんかは、「事業ドメイン」「ポジション」という横文字よりも、実感があるわかりやすい言葉です。

豊かなポテンシャルに恵まれたという意味でビッグであるか、または競合がいないという意味でユニークであるか、どちらかに該当すれば望ましい立地と言えるでしょう。
「ブルーオーシャン戦略」なんて言葉もありますが、立地の善し悪しは「ビッグかユニーク」か。

戦略はどこに存在するのか。(中略)答は、経営者の頭の中です。組織や文書に戦略が宿ることなど、あり得ません。
この文章にも、ハッとさせられました。戦略は客観的でサイエンティフィックに説明できるもの、という認識を持っていると、その本質の一面しか見えなくなりそうです。。

予想外の新しい展開にリアルタイムでどう対処するのか、それが結果として戦略になる。これが私の暫定的な結論です。
起こりうることをすべて見通して「中長期戦略」を立てることなんてそもそもできるのか、というところからこの結論に。

事業を取り囲む今という時代をどう読むのか、それさえ定まれば、為すべきことは自ずと決まります。仮定は人によりけりでも、推論のプロセスを間違える人は少ないからです。その意味で、戦略の本質は「為す」ではなく、「読む」にあります。経営者が持つ時代認識こそ、戦略の根源を成すのです。
前出の「戦略の真髄は、見えないコンテクストの変化、すなわち「機」を読み取る心眼にある」というのと同じ指摘です。論理で展開できる部分は誰がやっても大差なく、差が出るのは、前提条件の置き方、そのもととなるコンテクストを「読む」ということにある、とのこと。

(戦略を形成する個人の)判断のベースとなるのは、(中略)私は、観(K)経験(K)度胸(D)だと捉えています。
観と経験と度胸、略してKKD! 地に足のついた日本語を使うのが三品先生のポリシーなのでしょう。三品先生の本はこれが初めてですが、日本人として非常にわかりやすいです。私はついわかった風に横文字を使ってしまうので、、反省です。

日本では、管理をマスターしたら、その次に来るのが経営という発想が根付いています。これが違うのです。管理と経営は別物で、経営が管理の上に来るということはありません。守る管理と攻める経営では、純粋に機能が違うため、管理をマスターしても経営ができるという保障にはなりませんし、管理をマスターしなくても経営はできるのです。
管理と経営は別、というお話。

経営は何をもってするものなのでしょうか。答は事業観です。
これも前出の「戦略の真髄は、見えないコンテクストの変化、すなわち「機」を読み取る心眼にある」ということをおっしゃてます。

感想

経営や戦略に対する誤解を私自身がしていたことが痛感できました。経営戦略は、管理ともリーダーシップとも異なる、「アートに近いこと」だという解釈にとてもスッキリしました。今後はもう少し慎重に「戦略」を観ることができそうです。

こんな方におすすめ
・経営に関心がある方
・日本ならではの経営のフレームワークが知りたい方

2010/12/08

残念な人の仕事の習慣 / 山崎将志



「残念な人の仕事の習慣」を読みました。会社の先輩からお借りして。

内容は、「ビジネス」「コミュニケーション」「時間の使い方」という視点で、アイデアを散文的に集めた感じの本です。著者の前著「残念な人の思考法」も読んだのですが、あちらは原理原則について書かれていて、こちらはより幅広い視点で書かれた「応用編」、という位置づけかと思います。


読んだ目的
リフレッシュ。
最近、原理原則やフレームワークに関する本を読むことが続いたので、新たな視点を持つために読みました。


学び
本書を読み通して、著者の「シンプルに、力強く考える力」というものを感じました。
誰もが体験したことがあるような身近なことを「よく考える」ことによって、一本筋の通ったロジックを立て、納得性&新奇性の高いアイデアを抽出する、というのが終始一貫されています。こういうのがナレッジワーカーの「付加価値」というのでしょうか。毎日利用するお店や観戦するスポーツ、日々の仕事の中に、頭さえちゃんと働かせれば「学べる」ことはたくさんあるんだなと思いました。
とても良かったです。


目次
はじめに
第1章 ビジネス編
できる人がやっている「損してトク取れ」方式

第2章 コミュニケーション編
残念なメールは金曜夜にやってくる

第3章 時間の使い方編
残念なタクシーに乗り込む残念な客
おわりに



ピックアップ
本書の中から、ココ!というところをピックアップします。

「無価値な熟練」は世の中にあふれている。
ツールの導入や、仕組みの変更によって会社から無意味な熟練を排除し、人間にしかできない仕事だけを残し、しかもその人間に常に新しい挑戦の機会を提供する企業だけが、成長することができる。
ITの時代、グローバルの時代には、「人間にしかできないこと」に的を絞るということが大事とのこと。

会社全体を見て、売上と利益の総面積を最大化するためにはどうすればいいかという発想
一面的にはマイナスを生む活動も、差し引きでプラスの価値を生むならやるべき。

仕事においては、勉強→実践ではない。実践→課題の発見→勉強の順番が常に正しいのである。
耳が痛い言葉です。。私はつい、「勉強のための勉強」になりがちなので戒めとして受け取りました。

(「MKタクシー」というタクシー会社のサービスレベルが高い理由に言及して)
MKタクシーという会社は、完全な階級社会だということがわかった。
(中略)
タクシーという狭い世界の中にも、階級システムがあって、出世の仕組みがしっかりとつくられているのである。
モチベーションを高めるひとつの仕組み。

(「アクセンチュア」というコンサルティング会社の新人研修に言及して)
東京で採用された社員は、まず2週間のコンピュータ研修を受ける。(中略)
それが終わると、シカゴ郊外にあるトレーニングセンターに送り込まれて、3週間のトレーニングを受ける。(中略)
コースは全て英語で行われ、世界のいろいろな国の新人が一堂に会する。(中略)
日々のスケジュールは次のような感じである。
平日は朝8時から夜の10時までが定時である。(中略)
土曜日は“半ドン”であるから、朝の8時から夕方6時までである。(中略)
日曜日は“休日”であるから、研修時間は朝の10時から夕方の4時までである。
冗談みたい笑。でも、一度はこんな中で仕事してみたいです。

仕事のスピードを劇的に上げるには、同じ量を半分の時間で仕上げる、あるいは同じ時間で倍の量をこなそうとしてみればよいのである。人間は自分が思っているより能力が高い。
よく言われることですが、「ちょっとだけ頑張る」ではなかなかブレークスルーは生まれないものです。「半分にする」の発想を持とう(→これは最近実際に使ってます)。

華やかなプロゴルファーの退屈な日常
(中略)
プロゴルファーの仕事は(中略)基本的に地味である。
(中略)
しかし、である。そういう一見つまらなさそうな仕事の中で、自分なりのおもしろさを見出した人がトップに上っていくのである。
(中略)
面白いことはそこら中に転がっている。キーワードは、ゲーム化、日常へのフィードバック、勉強との接点、自分のポジションの構築である。
繰り返すが多くの人が気付いていないのは、面白い仕事は、つまらない仕事の積み重ねで成り立っているということである。
私はついつい、「仕事の面白さ」は誰かが与えてくれるもの、と考えがちです。これも戒めとして。確かにそうですよね。面白いかどうかは本人次第。面白くないなら、ゲーム性を。

結局のところ所得はどれだけ替わりがきく仕事をしているかと、勤務先のビジネスモデルの二つでほとんど決まるのだ。
所得を決める最大の要因は、ポジショニング。どこに立つか(WHERE)、とのこと。

あなたの仕事は、以下の3点に照らし合わせてみてどうだろうか。
①よその国、特に発展途上国にできること
②コンピュータやロボットにできること
③反復性のあること
(「ハイ・コンセプト」ダニエル・ピンク著を参考に作成)
もし、あなたがこの三つの条件に一つでも当てはまる仕事をしているとしたら、将来をよく考え直す必要があるだろう。(中略)どんな仕事を選ぶかは好みの問題である。(中略)しかし、何年か先には発展途上国並の賃金を受け入れなければならない可能性が高いことを、視野に入れなければならないだろう。
これは21世紀においてどんな仕事をするにせよ持つべき視点だと思います。個人的に、特に怖いのが②。この10年で、「検索」や「リコメンド」のように、ひと昔前までは非常に高度で人間的な知的活動だと思われてたものが、実は、高い演算能力さえあればごくごくシンプルなアルゴリズムで実現出来てしまう、ということが判明しました。次の10年のうちに、検索やリコメンドに次ぐ新しい知的活動が機械に取ってかわられる可能性も。。楽しみ、だけど、こわい。

優良企業の経営者が売上の拡大を求めるのは、単に儲けたいからではない。従業員が次々と新しい仕事に取り組むことで成長し、仕事の楽しみを分かち合いたいからである。
なるほど。。こういう視点はありませんでした。個人の成長のため、楽しみのために規模拡大がある、とのこと。

自分のモチベーションの源泉はどこにあるのだろうと振り返ってみたところ、だいたい次のような感じである。
楽しいことがしたい。楽しいこと=遊びをするためにはお金がいる。だから働かなければならない。(中略)
遊ぶうちにどんどんのめりこんでいく。すると、もっとお金も時間も必要になる。だから短い時間で稼がなければならない。それには、収益性が高いビジネスをやらなければならないし、個人としても勉強して人ができないことをできるようにならなければならない。自分一人でできることには限界があるから、仲間が必要だ。ただし、仲間と喜びを分かち合えるような仕組み・仕掛けが必要だ。また同時に、人間性も高めなければならない。
そうこうしているうちに、仕事自体が面白くなってしまって、のめりこんでしまう。(中略)

このロジックに賛同してくれる人がどれくらいいるのかわからない。
自分のモチベーションの源泉について考えると、私の場合は「楽しいこと」が最初に来るわけではなさそうですが、「仕事にのめりこむ」までの流れには非常に共感します。こういう良い流れを作れると、幸せな働き方ができるのでしょう。


こんな方におすすめ
日常の中で役立つ思考力を鍛えたい方。大きな視点を持ちたい方。でしょうか。

2010/11/23

さあ、才能に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす / マーカス バッキンガム、ドナルド・O.クリフトン著、田口俊樹訳



さあ、才能に目覚めよう」を読みました。原題は「Now, Discover your strengths」。


読んだ目的
自分の強み・弱みをしっかり把握すること。


内容の紹介
内容はそのまま、「自分の強みを明確にし、積極的にそれを活用しよう」ということを主張した本です。その基本原則は
(人の)性格や能力は一人ひとり異なるという事実を踏まえて、そのちがいを活かすこと


アメリカ内外の企業に勤務する8万人(!)のマネジャーに対するインタビュー結果から、「人間の能力に対して一般の人々は2つの誤解を持っている」と主張しています。その2つの誤解とは…
  1. 人はだれでもほとんどすべてのことにおいて、能力を発揮することができる。
  2. だれにとっても最も成長の余地があるのは、その人の一番弱い部分である。

の2つです。私なんかは、「そういう考え方もあるし、そうでない考え方もできるしなぁ」とどっちつかずの考え方をしてしまうのですが、本書ではこの考え方を完全に否定しています。ビジネスパーソンやマネジャーは上記の2つの誤解を捨て、次の2つの認識を持つべきであるとしています。
  1. 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである。
  2. 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。


また、本書には、パターン化された34コの強みのうち、自分にどれがあてはまるのかを特定するツール(オンラインテスト「ストレンクスファインダー」)も付属されています(一冊ごとに異なるユニークコードをウェブページで入力してテストを受ける形となります)。この本の値段は、ほぼこのオンラインテストを受けるために支払うといってもいいかと思います。

……私はリアルタイムには知らないのですが、日本では2001年に発売され、当時結構話題になり、その後継続的に売れている本のようです(私の手元にある本は第1版36刷)。

目次は次のとおりです。


目次
はじめに 企業における「強み革命」
第1部 強みを解剖する
第1章 強固な人生を築く
第2章 強みを築く
第2部
第3章 強みを見つける
第4章 34の強み
第3部
第5章 疑問を解く
第6章 強みを活用する
第7章 強みを土台にした企業を築く
参考資料 ストレンクス・ファインダーに関するテクニカル・レポート



ピックアップ
・本書では、34コの強みとして次のようなものが提案されています。
アレンジ 運命思考 回復志向 学習欲
活発性 共感性 競争性 規律性
原点思考 公平性 個別化 コミュニケーション
最上思考 自我 自己革新 社交性
収集心 指令性 慎重さ 信念
親密性 成長促進 責任感 戦略性
達成欲 着想 調和性 適応性
内省 分析思考 包含 ポジティブ
未来志向 目標志向

この強みを表現する言葉選びには細心の注意が払われてるかとは思うのですが、中には日本語としてわかりづらいものもありますので、本書を買った場合は英語でのラベリングもきちんと見ておくのがおすすめです。このあたりのことについて、dankogaiさんは次のように言われています
本書の核を成す34の強みに関しては、日英双方で併記した。英語の方がよりその才能に関して自然なものもあるし、その逆もあるからだ。訳者はあくまでも逐語的ではなく「原点思考的」(contextual)に訳しているのだが、そのおかげでかえってピンと来ないものも少なくないので。

私も同感。。


診断結果
ブログ主の私自身が診断した結果として出てきた「強み」は次の5つでした。普段自覚しているものが多かったのですが、こうやって明確な言葉に落とし込んで突き付けられると、、感慨深いものがあります。人は自分をこう見てるのか。

あなたの強み
1. 戦略性 strategic
2. 学習欲 learner
3. 目標志向 focus
4. 達成欲 achiever
5. 着想 ideation


感想
先日書いたキャリア・アンカーとはまたちょっと違った切り口から自分を客観視することができ、よかったように思います。5つ、丸暗記しよう。

・強みを認識した次のステップは「強みを伸ばす」「強みを活かす」だと思いますが、ここもきっちりやらないと認識しただけ、になるので、、この結果をうまく使っていきたいと思います。

・ロジカルで丁寧に書かれており、テストも類似のものがあまりない良質のものになっているかと思うので、、1,600円でこれなら、安いと思います。少しでも興味があるなら、やっておいて損はありません。


こんな人におすすめ
・キャリアの節目にいる人(就職・転職・退職など)
・自分の強みを活かせる分野で、より幅広く活動したいと思っている人

2010/11/12

行動分析学マネジメント / 舞田竜宣 杉山尚子

行動分析学マネジメント」(副題:人と組織を変える方法論)を読みました。

以前に読んだインコのしつけ教室と同じ「行動分析学」と呼ばれる理論をベースに、人と組織のパフォーマンスを引き出す方法を紹介する本です。「インコの教室」がインコを対象としていたのに対し、この「行動分析学マネジメント」は「人と組織」を対象としています。

舞台は架空の企業「ノルウェー・モバイル」。「サカモトさん」という人事コンサル(「HRビジネスパートナー」と呼ばれています)が活躍するストーリーです。

1章で1テーマを扱い、ストーリーの後に理論的な補足があるので、じっくり読み進めていくことで、少しずつ着実に行動分析学に対する理解を深められるようになっています。

行動分析学は
・人の行動原理を極限までシンプル化し、
・非常にシステマティックに、
(しかし人間性を軽視することなく)
・人の行動を効果的にマネジメントする、
という理論で、最初しばらくはこの面白さにピンと来なかったのですが、見通しがクリアになってからはとても面白いと思うようになりました。

マネジメントすべきは「人」ではなく、あくまでも「行動」である、というのがそのコアアイデアです。これが、人を叱ったり怒ったりする考え方から、「罪を憎んで人を憎まず」的な考え方へと誘ってくれます。


キーワード/キーフレーズ
内容が盛りだくさんなので、キーワード/キーフレーズだけ挙げておきます。
・医学モデル
・行動の真の原因は行動の直後に
・好子/嫌子
・強化/弱化
・消去
・復帰
・強化スケジュール
・シェイピング
・チェイニング
・弁別刺激
・ABC分析(Antecedent - Behavior - Concequence)
・随伴性
・随伴性ダイアグラム
・プロンプト
・生得性好子(一次性)/習得性好子(二次性)
・トークン
・行動分析学的フィードバック
・確立操作
・遮断化/飽和化
・自己強化のための記録
・抹殺法
・レスポンデント条件付け
・系統的脱感作(systematic desensitization)
・ルール支配行動/随伴性形成行動

・・・以上です。

個人的には、この本で紹介されている行動分析学の考え方を身につけることによって
・どうしてもやめられないこと
・どうしても習慣化できないこと
があるときに「なんて自分はだらしない人間なんだろう・・・」と自分を責めて悩むことが一切なくなり、それが本書を読む最大のメリットのひとつかと思います。

人の行動や習慣は何らかの外部要因とその刺激に適応した結果として起こっているため、「なぜこうなっているのだろう?」「どうすればいいのだろう?」(随伴性をどう変えればいいだろう?)とあくまで実践的に、少し引いたところから自分の行動や習慣を見つめることができるようになりました。


こんな方におすすめ
良い習慣作りや規則的な生活リズム作り、組織行動学などについて実践的な手法を学びたい方におすすめの一冊です。


2010/11/08

武士道 / 新渡戸稲造 (Google Booksのテスト)

「武士道」を読みました。…と言っても、読んだのは数年前のことです。

今回はGoogle Booksというサービスを試しに使ってみたかったので、Google Booksでプレビューが見られて、かつ私が読んだことがある本を一冊取り上げたい、ということで武士道を選びました。

私が実際に読んだ武士道とはバージョンが異なりますが、Google Booksを使うとこんな形でインラインプレビューを出すことができたりするみたいです。




こんなパターンで入れることもできるみたいです。

フローティング


これはプレビューページへのリンクのパターン。



公開されているオンラインのコード生成ウィザードを使えば、本のISBNを入力するだけで、手軽にスクリプトを生成して利用することができます。API keyが必要ないのも、大きなポイントです。



……と使ってみたものの、、印象としては、見え方があまりきれいじゃないような、、気がしました。。が、もうちょっときれいに挿入されるようになれば、バシバシ使ってみたいなと。日本語の書籍だとプレビューできる本がまだまだ少ないみたいですが、今後に期待です。

しかしすごい時代になりました。。

2010/11/03

実践するドラッカー[行動編] / 上田惇生監修・佐藤等編著



先日読んだ思考編に続いて、今度は「実践するドラッカー[行動編]」を読みました。

位置づけとしては、「思考編」が成果を出すための「心構え」について書かれてあるのに対し、こちらの「行動編」は成果を出すための「技術・行動習慣」について書かれてあり、2つが対になっています。
行動編の中には、「学習」「時間」「意思決定」「目標」「計画」の5つのテーマが各1章を割いて収められています。

いずれも王道的なことが書かれており目新しさはありませんが、「それって大事だよね」としみじみと思うことが丁寧な言葉でつづられています。うんうんとうなづきながら、でも「これを実際にやるのは、難しいんだわ」と思いながら読みました。


目次
第1章 時間が成果を決める
第2章 意思決定が未来をつくる
第3章 目標が成長を促す
第4章 計画が実現性を高める
第5章 生涯を通して学ぶ



学び
取り上げられている5つのテーマ――「学習」「時間」「意思決定」「目標」「計画」のそれぞれについて学びとなったポイントを書き出してみます。やや多めですが、全部で11個になりました。



■学習
1.学び続ける
知識社会においては、継続学習の方法を身につけておかなければならない。内容そのものよりも継続学習の能力や意欲のほうが大切である。(中略)学習の習慣化が不可欠である。(ドラッカー)
学習の内容<継続の能力や意欲」とのこと。日々の学習を成果とリンクさせたり、小さなステップに分けたりしてプロセスを楽しくする、ということをどれだけできるかがポイントだと思います。


2.自分の強みを知る、持つ
「自らの強みが何か」を知ること、「それらの強みをいかしてさらに強化するか」を知ること、そして「自分には何ができないか」を知ることこそ、継続学習の要である。(ドラッカー)
私は、負けず嫌いで諦めたくない性分が強いみたいで「これが苦手」と宣言することが得意ではありません。。でも、人もモノのマーケティングと同じで、強み(Strength)と弱み(Weakness)をきちんと把握できてこそ、本当の価値が発揮できるんでしょうね。。


3.学びの仕組みを作る
私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの方法を身につけた。(ドラッカー)
「一度にひとつのことに集中する」――これがドラッカーが長年の間に身につけた最適な学習スタイルのようです。このように、各人が自分に合った学習スタイルを知っておくことが大切ですね。
学ぶことについて誰かの助けを必要とするようでは、終生学び続けることはできない。
一人で学べる力を付けろ、と。納得。個人的に、受験勉強、学生生活の中で一番学ぶべきことは、コンテンツではなくこの「自学自習の仕方」だと思います。


■時間
4.重要なことに時間を割く
時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。(ドラッカー)
大切なのは、順位です。順位には「優先順位」と「劣後順位」があり、これらをもとに機械的に決定することがポイントです。(解説)
「機械的に決定することがポイント」と言われても、劣後順位を決めるのがなかなか難しいものです。「何をやるか」を決めるよりも「何を捨てるか」を決めることの方がずっと大変です。私の場合は、テレビを見る時間、通勤にかかる時間、自炊の時間、本屋に行く時間をなるべく減らして、勉強、人と会うこと、趣味、遊ぶことなどにあてているつもりです。


■意思決定
5.重要なことに時間を割く
重要な決定に集中する。(ドラッカー)
意思決定をするその前に、「その決定は重要かどうか」を判断することが必要、と。


6.ポイントを明らかにする
意思決定においては、決定の目的は何か、達成すべき目標は何か、満足させるべき必要条件は何かを明らかにしなければならない。(ドラッカー)
正しい決定は、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討から生まれる。(ドラッカー)
両方とも、、おっしゃるとおりです。議論してるうちにそもそも何が問題なのかワケわからなくなることがあるので、気を付けます。


7.人を巻き込む
意思決定の実行を効果的なものにするには、(中略)決定の実行を妨げうる者全員を、決定前の議論の中に責任をもたせて参画させておかねばならない。(ドラッカー)
「ステークホルダー」という便利な言葉があります。ステークホルダーに確認を取ろう、ということですね。ちゃんと確認したつもりが「実は隠れたステークホルダーがいた!」という場合が厄介ですが、、それは気を付けるしかない、ということで。。


8.フォローする
最善を尽くしたとしても必ずしも最高の決定を行えるわけではない(以下略)(ドラッカー)
ベストを尽くしても間違う場合、状況が変わる場合はあるから、意思決定した後もそれが妥当だったのか検証しよう、ということですね。


■目標
9.自分で立てて管理する
目標管理は、支配による管理から、自らの動機に基づく管理に転換すべきだというのが、ドラッカー教授の考えです。これこそ、MBO(Management by Objectives and Self-control)の真髄なのです。(解説)
MBOの最後に「Self-control」が入っているパターンを本書で初めて見ました。目標は自分で管理できるのが一番いい、と。


■計画
10.3W(いつ、誰が、何を)を入れてともかく計画を立てる
行動の前には計画しなければならない。(ドラッカー)
計画とは、知識を成果に変えるための道筋として、「いつまでに」「誰が」「何を行うか」を決めることです。(解説)
アイデアを実現するための行動が妥当なのかどうかを事前に検証し、目的達成度と効率を上げるためには計画を立てることが大切、と。誰かといっしょに仕事をする上でも、計画があった方がいいですね。


11.フォローする
途中でアクションプランをチェックすることなくしては、成り行きの中で意味のあるものとないものとを見分けることすらできなくなる。(ドラッカー)
意思決定と同様、計画についてもある時点で最善な計画が立てられたとはかぎらないので検証が必要、とのこと。


……と、盛りだくさんになってしまいましたが、以上です。思考編に続いてこちらもよかったです。
ドラッカー関連の本を読んでいると、いろんなことを経験して超越した年配の人と一対一で話をしている気分になります。語り口はやさしいものの、どれも本質的なことを言っているように思います。


まとめ
この数カ月の間に、もしも高校野球の女子マネージャーが…マネジメント基本と原則実践するドラッカー思考編と立て続けにドラッカー関連本を読んできましたが、いずれも何度も読み返したくなる、スルメ本だったと思います。時期が変わると読み方もまた変わると思うので、また時を置いて、読み返したいと思います。いい意味で、根本の考え方を大きく変えてくれる一冊でした。よかった!

2010/10/30

キャリア・アンカー / エドガー H. シャイン 金井壽宏


キャリア・アンカー」を読みました。

きっかけは、現在受講しているグロービスのクラスの参考図書に本書が取り上げられていたこと、この分野への理解をもっと深めたいと思ったことです。

本書はMIT(マサチューセッツ工科大学)スローン経営大学院の教授であるエドガー・シャインが書いた本を、組織行動学・キャリア論で有名な金井先生が日本語に翻訳したものです。

読んだ動機
2つあります。

1 自分のため
自分のキャリア設計、キャリア実践をより良く行うために、自分の軸を知りたい。

2 周りの人たちとの協働のため
周りの人たちがどういうキャリア観、キャリアに対するニーズを持っているのかを把握した上で、より良い形で影響を与え合える人間になりたい。そのために、まずはキャリア観の分類フレームワークを知りたい。

目次
はしがき
第1章 序
第2章 キャリア指向質問票
第3章 キャリア発達
第4章 キャリア・アンカーという概念の展開
第5章 キャリア・アンカー・インタビュー
第6章 実践に活かすために
参考文献
あとがき
「はじめに」と第1章がイントロ。第2章に質問票があり、自分のキャリア指向をチェックすることができます。続く第3章でキャリア・アンカーの根底にある「キャリアの全体像」についての考え方が説明され、第4章で本章の核であるキャリア・アンカーについての詳しい説明が展開されます。第6章はまとめです。

本書の背景

エドガー・シャインは、個人の「内部からの要請」と「外部からの要請」の両方をなるべく正しく認識することがキャリアを築く上で大切であるとした上で、前者を「キャリア・アンカー」、後者を「キャリア・サバイバル」と名付けました。

■キャリア・アンカー
仕事の内容や場、働き方に影響を与える、個人の価値観やニーズ。内的要請。

■キャリア・サバイバル
仕事の内容と場、働き方に影響を与える、組織や環境のニーズ。外的要請。

※「キャリア・アンカー」と「キャリア・サバイバル」、それそれが一冊の本になっています。

本書のエッセンス

本書では、「キャリア・アンカー」の定義と意義について解説した後、膨大な調査の結果から得られた「8つのキャリア・アンカーのパターン」を紹介しています。また、読者が自分が8つのパターンのどれに当てはまるのかを特定するための具体的なツール(質問票)も掲載されています。

キャリア・アンカーの定義
仕事選びにおいて重要となる個人の価値観やニーズ。
あなたのキャリア・アンカーとは、あなたがどうしても犠牲にしたくない、またあなたのほんとうの自己を象徴する、コンピタンスや動機、価値観について、自分が認識していることが複合的に組み合わさったものです。

キャリア・アンカーを知る意義
個人にとっての意義…
より納得し、充実した仕事とライフスタイルを得ることができる。
自分のアンカーを知っていないと、外部から与えられる刺激誘因(訳注:報酬や肩書きなど)の誘惑を受けてしまって、後になってから不満を感じるような就職や転職をしてしまうこともあります。「これだとほんとうの自分らしくない」と転職をしてしまうこともあるのです。このような状況を避けるために、この冊子のなかの質問票とインタビューが役に立つはずです。
あなたが現在どのような仕事、どのようなキャリアについていたとしても、仕事に対する指向、動機、価値観、そして才能についての自覚をより明瞭に理解しておけば、キャリアにまつわる将来の意思決定は、もっと容易になり、より納得のいくものとなるでしょう。

組織にとっての意義…
成員一人ひとりとの適切な接し方がわかる。

8つのキャリア・アンカーパターン
次の8つ。
1.専門・職能別コンピタンス
2.全般管理コンピタンス
3.自律・独立
4.保障・安定
5.起業家的創造性
6.奉仕・社会貢献
7.純粋な挑戦
8.生活様式
※各内容を詳しく知りたい方は、ぜひ本書を読んでください。

ちなみに英語ではそれぞれ次のとおりです。
1. Technical/Functional Competence
2. General Managerial Competence
3. Autonomy/Independence
4. Security/Stability
5. Entrepreneurial Creativity
6. Service/Dedication to a Cause
7. Pure Challenge
8. Lifestyle

私の場合は、一番上で述べた目的2を達成する第一歩として、この8つのパターン(キャリア観フレームワーク)を丸覚えしたいと思います。……覚え方としては、
「隙間じゃ、包丁、きらい(すき・ま・じ・あ・ほう・ちょう・き・らい)」。
すき … スキル(1)
ま  … マネジメント(2)
じ  … 自由(3)
あ  … 安定(4)
ほう … 奉仕(6)
ちょう… 挑戦(7)
き  … 起業家的創造性(5)
らい … ライフスタイル(8)
「隙間じゃ、包丁、きらい」という言葉に特に意味はなくって、あくまでも覚えるための略語(アクロニム)。「鳴くよウグイス平安京」的なものです。丸暗記だけしてもしょうがありませんが、まず覚えないことには始まらないので。。

私の場合のキャリア・アンカー

ちなみに、私のキャリア・アンカーを点数の高いものから順に並べると次のようになりました。
1.奉仕・社会貢献
2.純粋な挑戦
3.生活様式
4.専門・職能別コンピタンス
これらとは逆に、「マネジメント」や「安定」、「起業家的創造性」の点数はあまり高くなかったので、これらに対する欲求は低いないようです。

個人的に意外だったのは、「マネジメント」や「起業家的創造性」に対する欲求が高くないという結果です。「安定」については求めていない自覚があったので納得だったのですが、ここは意外でした。
でも、この結果が出てから数日考えてみたら、、ものすごく納得できました。自分のキャリア上、「マネジメント」や「起業」が方法として将来的に必ず要ると思っているので興味はあるものの、それが「最終的にやりたいことか?」と問われると、答えはNOです。それらは私にとってはあくまでも「方法」だということに改めて気づくことができました。

感想

自分のことは自分が一番わかってるつもりが、これまでは言葉で説明しろと言われるとなかなかうまく説明することができませんでした。

本書を読んだことで、今後は「私はタイプとしてはこのあたりにいるらしい」という程度には説明することができるようになりました。

自分を枠にはめるためではなく、解放し、最大限に伸ばすために、こういう類の本を読むのは良いと思いました。

また、根拠のない血液型性格判断とは違って、調査と熟考を通して行う人間をパターン分類(フレームワーク)は、強い組織を作るためにも、良いコミュニケーションをするためにも有効だと思います。

こんな方におすすめ
・自分のキャリアの軸を固めたい
・周りの人たちをより深く理解しその潜在力を引き出したい

おまけ
Wikipediaにもキャリア・アンカーのページがありました。
キャリア・アンカー - Wikipedia



2010/10/17

ツイッター情報収集術 / 増田真樹

ツイッター情報収集術」を読みました。

ふと立ち寄った本屋で中身をパラパラっと見て、衝動買い。……でしたが、結論から言うと、良かった!です。


目次
本書の内容は次のとおり。
Chapter 1 基礎編 Twitterの概要と総論
Chapter 2 初級編 Twitterの使い方・活かし方
Chapter 3 中級偏 インフラ特性を最大限に活用
Chapter 4 上級編 Twitterを知的ビジネスツールに
Chapter 5 管理・活用編 情報をマネジメントする
Chapter 6 Tips編 Twitterを楽しむ



良かったところ
基本構成は「見開き2ページにつき1ページ」で、小見出しも効果的に使ってあるため、知ってるところは読み飛ばしつつ短時間でサッと読むことができました

内容としては、「ツイッターって何?」というそもそものところから始まり、基本的な用語の説明・楽しみ方、応用的な使い方、さらなる発展形と、ステップバイステップで丁寧に説明してあり、とてもわかりやすい&ためになりました(ウェブで細切れの情報を収集し少しずつツイッターへの理解を深めるよりも、断然早いです)。

他のTwitter関連本とのちがいは、タイトルにもあるとおり「情報収集」という側面でのtipsが厚いことでしょうか(個人的にはここがツボでした。そもそもツイッターをコミュニケーションやアピールだけでなく、情報収集にも使うという発想自体がありませんでした……)。

また、ツイッターとの連携サービスやフォローするのにおすすめなアカウントも紹介されており、こちらも非常に便利。


改善できるところ
・「情報収集」という切り口自体がユニークなので、他の使い方(コミュニケーションやアピール)との比較マップ(≒ポジショニングマップ)のようなものがあるとよりこの本の位置づけがわかりやすかったのではないかと思います。


その他感想
「ハサミは使いよう」とは言いますが、ツイッターの価値も本当に「使いよう次第」ということがこの本でよくわかりました。
この本のおかげで、先端を行く人たちから何周か遅れて、、今やっと「ツイッターってすごい!」となっています。本当に、すごいことができる時代ですね。。


こんな人におすすめ
ツイッターに興味はあるけど、いまひとつ初心者の域を出られない(楽しめていない)(今回の私のような)人。特に「ツイッターで情報収集をする」ということに興味のある方にとっては値段以上の価値は十分にあるかと思います。





おまけ
著者の増田さんの公式アカウント。
増田 真樹 (maskin) on Twitter
maskinさんのプロフィール : livedoor プロフィール
*{metamix}+ - ライブドアブログ

2010/10/13

創造と変革の志士たちへ / 堀義人


グロービス(GLOBIS)の学長堀義人さんの「創造と変革の志士たちへ」を読みました。

グロービスに行くのを検討している中で、その理念や教育への考え方を知りたいと思い、読みました。グロービスの教育方針と、そのもとになった堀さん個人の考え方、バックグラウンドを知ることができました。

堀さんがハーバード・ビジネス・スクールを卒業した後日本に帰国し、グロービスを設立したのが30歳。そして、学生満足度No.1のビジネススクールを作り上げるまで、わずか20年弱。。。本当に猛烈な勢いで生きている方のようです。実際の仕事ぶりを知るわけではありませんが、この本を読むかぎりではその生き方や志に感動し、感化されました。「こういう人と一緒に仕事をしたいなぁ」と純粋に思うような人です。僕自身も堀さんみたいに生きたいと思いました。それが本書から得た一番の収穫です。


目次
グロービスの教育理念に掲げられている「創造と変革の志士」、「能力開発」、「志」、「人的ネットワーク」という言葉について、各1章を割きながら丁寧に説明してあります。
はじめに
序章 創造と変革の志士たちへ
第1章 能力開発――何を学ぶか、いかに学ぶか
第2章 志――自らの使命を追求する、強い意志を持つために
第3章 人的ネットワーク――「創造と変革」を生み出す場を作る
第4章 創造と変革――新たなる挑戦へと一歩、踏み出すために
第5章 志士――「創造と変革」を担う人に求められるマインド
おわりに


感想
単に「能力開発」をするだけの場ではなく、「人的ネットワーク」を作るだけの場でもない、人間の総合的なチカラを高めるための場所として、グロービスは作られているみたいです。「能力開発だけ」「心を磨くだけ」という場はよくありがちですが、あくまで実践的能力を高めながら、同時に志も磨く、というグロービスのような場はなかなかないように思います。魅力的。


印象的だったのは「おわりに」の中の一節。個人的に共感するところがたくさんあります。生き方の参考に。。

起業自体はあくまでも手段であった。目的は、新たな社会のダイナミズムを作ることである。

起業家として、壮大なプロジェクトに多くの仲間と向かっていくのは、非常に楽しいことである。

教育そのものより、人に興味があった(中略)
能力が高い人や、人間的魅力がある人、何かを作る力を持っている人に接したとき、彼らがどうしてそういう力を得たのかを観察するのが、昔から好きだった。(中略)
環境を含めた教育が、非常に大きな要素を占めるということに気づき始めた。

HBSでは、本当に良い教育が実践されていた。そういったHBSに匹敵する機会、いや、さらに良い機会を作りたい。そんな願望が芽生え、教育の仕組みに強い興味を持つようになったのだ。

言うなれば、教育に携わっているのも、創造と変革を生み出すための手段でしかないのかもしれない。結果として多くの人の目が輝き、ハッピーな生き方ができるような環境を作ること。それがグロービスのミッションだと思っている。



高いビジョンを忘れず、人を中心に考えて、バランス感を持って生きる。そんな生き方がしたいなぁ。大いに刺激になりました。がんばろ。





おまけ
堀さんのtwitterはこちら。
堀義人 (YoshitoHori) on Twitter

2010/10/06

実践するドラッカー[思考編] / 上田惇生監修・佐藤等編著 2回目



実践するドラッカー[思考編]」を読みました。前回書いたときは、本書の前半「知識労働者として働く」「成長するために」というところからピックアップをしたので、今度は後半を行きたいと思います。


ピックアップ
1
貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキルや部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向ける。
(ドラッカー)

今やどこの企業もがスローガンとして掲げる「顧客志向」「顧客主義」ということを「貢献」という言葉で説明しています。最終的に価値が生まれるところを意識すると俯瞰した視点が持てる、とのことです。最近読んだ日本マクドナルドの社長原田泳幸さんと糸井重里さんの対談記事にこう書かれていました。
「誰がそのお金をくれたのか?
 社長じゃないよ、お客様だよ」
そこをきちんと認識させることを
まず最初に社員へのメッセージにしましたね。

社長自らが具体的な「カタチ」に落とし込んでこういうメッセージを社内に発信することが大切みたいです。なるほど。

2
対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる。
(ドラッカー)
メンバーの仲がよくても、職場が和気あいあいとしていても、成果に焦点が合っていない組織は衰退の道をたどります。
(解説)

「居心地のいい職場」「仲が良い職場」というのはそうでないよりは断然いいものですが、ビジネスを行う組織はそれだけで十分ではありません。ここにおいても「貢献」がポイントとのことです。

3
あまり先を見てはならない。貢献のためのプランを明確かつ具体的なものにするには、長くてもせいぜい一年半を対象期間とするのが妥当である
(ドラッカー)

明確で具体的なプランを作るなら、一年半くらいをめどにしよう、とのことです。ドラッカーがこう言うくらいなので、私の場合はせいぜい数か月から一年くらいで考えるのがよさそうです。。

4
指紋のように自らに固有の強みを発揮しなければ成果をあげることはできない。なすべきは自らがもっていないものではなく、自らが持っているものを使って成果をあげることである。
(ドラッカー)

なるほど。。「ひたすら目の前のことに一生懸命」だけではなく、きちんと強みを明確にして磨かないと。。

5
並の分野での能力の向上に無駄な時間を使うことをやめることである。強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするためには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーを必要とする。
(ドラッカー)

……できないことが気になる私には、、耳が痛い言葉です。
個人の強みを活かし、伸ばしたいというマネジメント意識がある組織で働くことが大切ですね。私自身もそういう組織を作れる人間になりたいと思います。

6
自己の適所を知るのは、20代半ばをかなり過ぎてからである。やがて自己の強みがわかってくる。自己の仕事の仕方もわかってくる。自己の価値観もわかってくる。したがって、得るべき所も明らかとなる。
(ドラッカー)
ドラッカー教授は、最初の職場は賭けだといいます。自分の強みなどは、仕事を経験してみないとわからないからです。
強みや仕事の仕方、価値観などは、仕事の経験を積めば積むほど鮮明になっていくので、それに伴って得るべきところもわかってきます。
(解説)

このあたりは、実際に長いキャリアを積んで振り返ってみないとわからないところなのかなと思います。20代から30代前半にかけては、まず自分の強み、価値観を鮮明にするために仕事に没頭するということが必要なのかもしれません。

7
最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をした者だけが手にできる
(ドラッカー)

最高のキャリアを計画的に必ず手に入れる術というのはないけれど、それを手に入れるためには少なくとも、自らの強みと仕事の仕方、価値観を明確にしておくことが必要とのことです。

8
成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一時に一つのことしかしない。
(ドラッカー)
真に取り組むべき価値あることを選ぶことに、しっかり時間をかける必要があります。妥協して、あるいは中途半端に決めて、間違った方向に走り出すことは避けなければなりません。(中略)
目指すべき成果が正しく絞り込まれていれば、焦る必要はありません。思い続け、行動し続けるのみです。
(解説)

あれもこれもと欲張るのではなく、「自分にとって最も重要なこと」をひとつに決め、それに全力で取り組むことが大切だ、とドラッカーは言っています。……とはいえ、情報とエンタテイメントにあふれた今日、「ひとつのことに集中する」というのは本当に難しいことになりました。。ボーッとテレビや動画サイトを見てるだけで、結構充実した時間を過ごせてしまうというのは一方では素晴らしいことですが、もう一方では(使い方に気をつけないと)本当に怖いものです。コツコツ、ひとつずつやれるようになりたいものです。

…以上です。


感想
ドラッカーはまさに「王道」的なことを言っていて新鮮味は無いのですが、非常にわかりやすく、奥深いことを言っています。ついつい繰り返し読みたくなります。この本を読んで、ドラッカーについて、さらに深掘りしたくなりました。

2010/10/04

獄中記 / 佐藤優



佐藤優氏の「獄中記」を読みました。3年ほど前に勢いで買ったものの難しさのあまり途中で挫折していたのを改めて読み、読了。


佐藤優氏の「獄中記」とは
鈴木宗男氏とともに逮捕された元・外務省の主任分析官佐藤優氏が拘置所暮らしの中で綴ったメモ・手紙集。拘置所で暮らした約500日の間に書いた文章、大学ノート62冊分(=原稿用紙5,200枚分)。それをコンパクトにまとめて1冊の本として出版したもの。500日という期間のうちに、1)裁判に対応をしつつ、2)学術書を250冊読み、3)原稿用紙5,200枚を書いた、といいます。。それを実行する精神力と思考力たるや。。こんな人いるんですね。。


目次
序章
第1章 塀の中に落ちて
第2章 公判開始
第3章 獄舎から見た国家
第4章 塀の中の日常
第5章 神と人間をめぐる施策
第6章 出獄まで
終章
付録
獄中読書リスト


学んだこと
本書に書かれている政治や外交、神学の専門的なことについては、背景知識が乏しいため残念ながらわかりませんでした。。そんな中で本書から私が学んだのは次の3つのことです。

■全体の情勢と自分の役割を認識するということの大切さ
自分の視点ではなく、国家の視点、他国の視点、他者の視点から全体の情勢を認識するということ。また、自分の感情はいったん脇に置いておいて、あくまでも全体観と論理とで自分の位置づけと担うべき役割を認識しようとする姿勢

■勉強し続けることの大切さ
当たり前のことですが、、勉強しただけ思索が深まる。「20歳越えたら語学はもうムリかな」なんて甘い考えを持っていましたが、そんなこと考えてるうちに勉強してる人はしてるな、と。とやかく言わずに目指す方向に向けて、勉強しよう。。

■自分で考えることの大切さ
本をただ読むだけでなく、自分なりに「こういうことだろう」と自分の言葉で理解すること。複数の事象、意見を統合して自分なりの○○観を持つこと。本はあくまでも「他人の意見」であり、自分の考えと行動の質と量を上げるための道具でしかないと位置づけること。


佐藤氏が直面している政治や外交の話は、私のような一ビジネスパーソンにはちょっと縁遠いかな、、と思えてしまう話題ですが、その姿勢や考え方には学ぶべきところがたくさんあると思いました。


こんな人におすすめ
最近何かで良い成果を出すことができたが、現状に満足せずさらに次のステージに行きたいと思っている方。「自分は結構やれてる方かなぁ」とあぐらをかいてしまいそうな自分を戒めたい方。刺激を受けること間違いなしです。

2010/09/30

実践するドラッカー[思考編] / 上田惇生監修・佐藤等編著 1回目



会社の方からお借りして「実践するドラッカー[思考編]」を読みました。


「実践するドラッカー」とは
「マネジメントの父」と称されるピーター・ドラッカーの考え方を「思考編」「行動編」という切り口で編集し、「ドラッカーの言葉」+「解説」というわかりやすい形態に落とし込んだコラム集。「思考編」と「行動編」、それぞれが一冊の本になっています。

私が今回読んだのは、「思考編」の方です。


目次
本書(「思考編」)の目次は次のとおりとなっています。
まえがき
第1章 知識労働者として働く
第2章 成長するために
第3章 貢献なくして成果なし
第4章 強みを活かす
第5章 集中する力

ちなみに、本書と「行動編」をあわせた「実践するドラッカー」シリーズ(?)の全体構成は次のとおりです。


「実践するドラッカー」の全体像
■総論
・われわれはどういう存在か、何を目指すべきか
 ・知識労働者について理解する
 ・成長とは何かを知る
 ・生涯を通して学ぶ

■各論
・考え方
 ・貢献
 ・強み
 ・集中
・行動の仕方
 ・時間管理
 ・意思決定
 ・目標管理
 ・計画


ピックアップ
本書の中からピンと来た部分をピックアップします。この本の良いところを挙げていくとキリがないので、、今回は知識労働者(ナレッジワーカー)と成長に関するところ(1章と2章)からだけ抜粋してみました。

現代社会は組織の社会である。それら組織のすべてにおいて中心的な存在は、筋力ではなく頭脳を用いて仕事をする知識労働者である。
(ドラッカー)
労働者のあるべき姿について語るときにドラッカーが置いている前提。

ドラッカー教授は、知識を成果に結びつける行動を「成果をあげる能力」と呼び、『経営者の条件』で5つ挙げています。
①時間を管理すること
②貢献に焦点を合わせること
③強みを生かすこと
④重要なことに集中すること
⑤成果をあげる意思決定をすること
(解説)
ただの物知りで終わるのではなく、成果を出す人間になるためには、上記の5つのことが必要だとドラッカーは言っています。①はタイムマネジメント、②⑤は持つべきマインド、③④は戦略の重要性について語っています。個人的には、③④がうまくできていない気がします。。選択と集中が効いていません。。

成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の集積である。実践的な能力は習得することができる。
(ドラッカー)
ドラッカー教授は、「成果をあげる能力」は習得できるといいます。(中略)行動だけを変えることは不可能です。まずは思考を変え、納得したうえで、行動を変える。そのサイクルを繰り返すうちに、頭で考えなくても無意識に行動できるようになります。それが「習慣化」された状態なのです。
(解説)
成果をあげるためには習慣が必要で、習慣は身につけることができるといいます。自分はどんな習慣を身につけられているだろうか、と振り返ってみる必要がありそうです。

ドラッカー教授の名著『現代の経営』にある中世ヨーロッパ時代の逸話を材料に考えましょう。
ある人が工事現場の脇を通りかかり、汗を流して働いている数人の石工に、「何をしているのか」と問いかけました。

一人目の人は、こう答えました。「これで食べていける」と。
二人目は、手を休めずに答えました。「国で一番腕のいい石工の仕事をしている」と。
最後の一人は、目を輝かせて答えました。「教会を建てている」と。

『現代の経営』の逸話はここで終わっていますが、この工事現場の一番奥には、こう答える石工がいました。「この地域の心の拠り所を作っている」と。(中略)働く動機はさまざまです。
(解説)
「目的意識のちがい」の話。この話から学べることは、1)仕事の内容は変わらなくても、目的意識は主体的に「選ぶ」ことができるということ、2)どうせ働くなら、より素敵な目的意識を持った方がいいということ。

知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結びつけるべく、すなわち成果をあげるべく自らをマネジメントしなければならない。
(ドラッカー)
知識労働者は、自分で自分を管理・監督するより他はありません。組織に貢献しようと心に決め、自らの手でエンジンに火をつけ、スタートを切ることでしか、成果を手にすることはできません。
セルフマネジメントだけが、知識労働者をマネジメントする唯一の方法なのです。
(解説)
苦手な部分は人にマネジメントしてもらえばいいや、と軽く考えていましたが、、、考えを改めます。自分をモチベートする力、自分を管理する力。

第一に身につけるべき習慣は、なされるべきことを考えることである。何をしたいかではないことに留意してほしい。
(ドラッカー)
成果をあげるための優先順位を<must-can-will>で考えます。まず「must=なされるべきこと」、次に「can=できること」、最後に「will=やりたいこと」を問うのです。
しかし、「なされるべきこと」は、「できること」に制約されます。ですから、「できること」を着実に増やし、「なされるべきこと」の範囲を広げていかなければなりません。(中略)
もし、「なされるべきこと」と、「できること」「やりたいこと」がまったく異なるのであれば、とるべき行動はただ一つ、その組織を去ることです。能力や意欲の問題ではなく、その組織で求められる貢献の形と合っていなかったということです。
(解説)
何をやればいいのかよくわからなくなったら、、mustとcanとwillに分けて整理して考える、というのが良さそうです……とはいえ、それがなかなか難しくてできないものです。。

自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。(中略)人は、自らがもつものでしか仕事はできない。
(ドラッカー)
「成果をあげる存在」になるには、以下の二つを意識する必要があります。
①いまの自分が持っているものを最大限に引き出すこと
②さらに成果をあげるためには何を身につけなければならないかを問い、それを習得すること
そうして仕事に見合う責任を果たせたとき、成果とともに次の成長機会が訪れるのです。
(解説)
自分の成果は自分であげられるようにするのが一番。まさしくそのとおりです。今いまのことだけでなく、未来の成果のことも考えて先行投資することが必要。こちらも、そのとおりだと思います。

真摯さは習得できない。(中略)真摯さはごまかしがきかない。
(ドラッカー)
「真摯さだけは、身につけることができない」。この言葉には、とても緊張させられます。
自己中心的で、組織やともに働く仲間のことをまったく考えない者が組織を破壊する、といった例は理解できます。しかし、真摯さを定義することは、とても難しいことです。
ドラッカー教授は、次の質問をすることで、その者が真摯であるか否かがわかるといいます。
「その者の下で自分の子供を働かせたいと思うか」
また、組織で働く者の真摯さとは、見返りを求めない親や教師の心構えで人に接することに等しいともいいます。
(解説)
人が真摯であるかどうかを見極めるときに使える問い。私自身も「あの人の下で自分の子供を働かせたい」と思ってもらえるような人間になりたいです。

自らの成長のために最も優先すべきは卓越性の追求である。そこから充実と自身が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味をもつ。能力なくしては、優れた仕事はありえず、自信もありえず、人としての成長もありえない。
(ドラッカー)
卓越性を追求するプロセスは、三つです。
・卓越性を得る分野や能力を決めること
・それを獲得するために、時間やエネルギー、お金などを集中させること
・卓越性を究めるために自分の強みを徹底的に利用すること
これらを数ヶ月から数年実践していけば、成果とともに少しずつ自信がついてきます。
(解説)
人としての成長には能力とその先にある卓越性が必要だ、とドラッカーは言っています。技術だけではダメだけど、技術を高める姿勢がなかったらそもそもそれ以前にダメ、ということでしょうか。。

10
成長するには、ふさわしい組織でふさわしい仕事につかなければならない。基本は、得るべき所はどこかである。この問いに答えを出すためには、自らがベストを尽くせるのはどのような環境下を知らなければならない。
(ドラッカー)
成長は、仕事を通じた成果とともにあります。したがって私たちは、自らの能力を開発し、最も能力を発揮する、あるいは伸ばすにふさわしい環境を探さなければなりません。つまり、適材適所を自分で行うのです。
それには三つの基準が必要だとドラッカー教授はいいます。
・自らの強み
・仕事の仕方
・価値観
(解説)
……耳が痛いです。自分がもっとも成長でき、貢献できる環境の条件をきちんと認識し、その環境が実現できる場を選ばないといけないということですね。

11
人に教えることほど、勉強になることはない。人の成長の助けとなろうとすることほど自らの成長になることはない。
(ドラッカー)
学びのプロセスを強化するには、アウトプット面を意識すべきです。
第一に、成果を明確にすること。(中略)
第二に、教えること。(中略)
大切なのは、出し惜しみしないことです。すべて出し尽くすと、不思議なことに、空になったスペースに最新の知識や情報がするすると入ってくるのです。(解説)
本を読んだときにも、こうやってブログに書いて初めて気づくこと、わかることがあります。成果につなげるとさらにわかることがあるのだろうと思います。

12
私が13歳のとき、宗教の先生が「何によって憶えられたいかね」と聞いた。(中略)
今日でも私は、いつもこの問い、「何によって憶えられたいか」を自らに問いかけている。
(ドラッカー)
ドラッカー教授が自己刷新の道具として用いた言葉が、少年時代にフリーグラー牧師に教わった「何によって憶えられたいか」です。牧師はその一言を発した後、このように続けました。
「答えられると思って聞いたわけではない。でも50になっても答えられなければ、人生をムダに過ごしたことになるよ」
当時の平均寿命は50歳そこそこですから、要は死の間際にこの問いに答えられるか、ということです。(中略)
では、どうすれば「憶えられる」のでしょうか。
第一に、人とは違う何かをもつこと。違いを生み出すこと。
第二に、違いを生み出すために、日々実践して成果をあげ続けること。人は成果を出している人を記憶にとどめるのです。
第三に、人は他人に影響を与えることで初めて憶えられます。「あの人のおかげで」というとき、長く記憶にとどめられるのです。
(解説)
「何によって憶えられたいか」――これは、組織のなかで多くの他人とともに生きる私たちにとって、究極の問いのひとつです。志の高さや真摯さ、思いやりの強さ、主体性などで憶えられたいものです。。。

ピックアップは以上です。


感想
本書は形としては「本」の体裁になってはいますが、モノとしては「ドラッカーに詳しい人が、ドラッカーの言葉の意味を少しずつ丁寧に解説してくれる」という感じです。馴染みのある言葉と具体例とワークシートを使って、家庭教師をしてもらってるような気分になりました。

読んでよかったです。「行動編」も読みたくなりました。

ドラッカーについては「エッセンシャル版」でも思ったことですが、ドラッカーが言うことは目新しさはないが普遍的で本質的なことだと思います。


こんな人におすすめ
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」や「マネジメント - 基本と原則 エッセンシャル版」などと同じく、「ドラッカーに興味はあるものの、どこから始めたらいいのかわからない……」という方のドラッカー入門に最適だと思います。また、ドラッカーをある程度読んでいる方がそのエッセンスを再確認するためにもおすすめの一冊になっていると思います。

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おまけ
ドラッカーって誰?という場合はこちら。
ピーター・ドラッカー - Wikipedia
はじめてのドラッカー - ほぼ日刊イトイ新聞

2010/09/20

20代仕事筋の鍛え方 / 山本真司 2回目

20代仕事筋の鍛え方」をもう一度読みました。1回目はこちら

「40歳からの仕事術」「30歳からの成長戦略」なども書いている(元?)経営コンサルタント山本真司さんの本です。

この本を最初に読んだのは、社会人1年目。人から薦めていただいて読みました。その後も岐路に立つごとに安易な選択をしてしまいがちな自分を戒めるため、読み返しています。良書です。

この本は、目先の利益や他人との比較に捉われそうな私のような人間に
1.成功の定義
2.キャリア初期において大切なこと
を教えてくれます。

以下に、本書の目次、良かった部分のピックアップ、まとめを書いています。


目次
仮想のコンサルタント「山根氏」と仕事に悩む若者3人の交流の物語を通して、20代で鍛えるべき「仕事筋」について読者に語りかける内容になっています。構成は次のとおり。
はじめに
第1章 いまの仕事が将来の成功につながるか
第2章 二十代で鍛えるべきこと
第3章 成功を追いかけると成功は逃げる
第4章 二十年後も成長できるマシン性能をアップせよ!
第5章 極端力を身につけろ!
第6章 努力力を身につけろ!
第7章 学習力を身につけろ!
第8章 受容力で仕事筋をストレッチする
終章  20代の旅立ち


内容的には次のような流れになっています。

■1~3章…問題提起
いまの20代ビジネスパーソンが抱える問題と成功の定義について。

■4章  …問題に対する回答
ビジネス力(ケイパビリティ)の全体像と20代ビジネスパーソンが鍛えるべき力について。

■5~8章…回答の詳細
20代ビジネスパーソンが鍛えるべき力の詳細の説明。


ピックアップ
ぐっときた箇所をピックアップします。

大きな花を咲かせたいんだ。多くの人々の幸せに大きく貢献をし、その時に余人をもって代えがたいとみなされるような。(中略)そしてそのために、ずっと成長し続けていたいんだ。ただそれだけだよ
「キャリア上の最終目標は?」と聞かれた山根の発言。

学習―リターンのプロセスは、学ぶことで、それも自分を成長させる。そしてリターンを見届けて、また学び成長する。そのサイクルを経験するまでは辞めてはいけない
(中略)
ワンサイクルが終わったら、さらに新しいチャレンジがあるかどうかを基準に、その次のキャリアを設計するのが大事だと思うよ。
ひとつの会社に2、3年勤めるだけでは受動的な「学習」から能動的な「リターン」に至る一連のプロセスを経験できない、という話の中で…。

私が、何人もの本当の成功者から学んだのが、『成功者とは永遠に成長を目指し挑戦を続ける人』だということだよ。
これが本書のメインメッセージのひとつ、成功者の定義。

著名企業や大企業の社長だ。彼らを観察していて思うのは、成長を続けているということなんだよ。
最初のサイクルではビジネスパーソンの土台となる力を身につけ、次にビジネススキルを一生懸命勉強し、さらに次に人のマネジメントを覚え、最後に人をどう活かすか、どうやって社会に会社や自分が貢献していくかという課題に挑戦している
「学習―リターンのサイクルを回し続けるキャリア」という話の中で…。耳が痛いです……

お金を追いかけたら行動は短期に偏ってしまいがちだ。(中略)
本当は中長期に鍛えるべき能力を犠牲にすることになる。特に怖いのは、実力を磨くことなく、自分を実力以上に優秀に見せかけるテクニックばっかりに関心がいくことだよ。
(中略)
実力、それも本当の実力が自分の価値を作るんだよ。それは中長期的には、必ず、自分に跳ね返ってくる。せっかくの人生、それも限られた時間しかない人生を、お金を追いかけて無駄にしないで、自分磨きに使ってほしい。
「本質的な力(=実力)を磨け」と言葉を変えて何度も語りかけてくれます。

二十代は、どんな時代に遭遇しても勝てる能力を養うための修行の場を、どこにするかを考えることだと思う。そういう意味では、大間違い以外の業種、会社以外ならどこでもいと思うよ。
どんな場所でもやるべきことは一緒。だから、場所選びばかりしてないで、自分を一番よく磨けると思う場所を見つけて、そこで一生懸命やろう、という話かなと。

若い時でも時間は一番大切な資源だ。その資源をどこに投入するかが大事なんだ。他人に遅れまいと『横に倣え』でみんなの知っていることを勉強しているうちに、自分の時間が少なくなってしまう。それじゃ馬鹿らしいね
自分が目指していないゴールに向かうレースに巻き込まれてはいけない。

四十代の半ばに大きな花を咲かそうとするんだったら、三五歳頃にでもそういう分野を考えて、差別化を狙えば十分間に合う。
OSスキル、アプリケーションスキルは後でもインストールできる。

学習の第1段階:要約して覚える
学習の第3段階:自分の頭で考える
「学習」のあり方について。丸覚えではなく、本当に実務に使えるスキルを身につけるためには、自分の体にしみこませるしかない。そのためには「自分の頭で考える」こと。

自分が、自分の言葉でフィットするように思えるまで、考え抜く
(中略)
勉強するときも、教科書や、ノートをざっと眺めて、それから眼を閉じて頭に残ったことを切り口に、自分の言葉で、『この本は、何を言うために書かれたのかな?』『この先生は何を伝えたいのかな?』『なぜ、そういう結論になるのかな?』ってことを考える。(中略)頭に残った情報を頭で再構成して、自分の言葉でつなぎ合わせて考えてみる。それで、ヒントをつかんで、『こういうメッセージかもしれない』と考えてから、その教科書やノートの大事そうなところを丁寧に読んでみる。
(中略)
この学習法の習得法には3つの条件がある。第一に、徹底した集中だね。(中略)第二に想像力だね。第三に無心の心だよ。
上記の「自分の頭で考える」について。

自分の稼ぐお金や成功って、因果関係で考えるとつらいと思う。いろんな要因の関係で結果が決まる。
(中略)
自分でコントロールできること。これは努力だね。それは成功に向けて十二分にやる。しかし結果は、思いどおりにはならないかもしれない。結果は、素直に受け入れる。そして、その結果の先にある将来は、自然体で流れに身を任せる。努力と達観。
受容力について。


まとめ
僕が今回この本を再読して得た学びをまとめました。



20代ビジネスパーソンが陥りがちな状態とあるべき姿
×他人との比較
×他人の奴隷

○自分の頭で考える

×生き急ぎ症候群
×(お金を追いかける)成功呪縛病
×(ポジショニング)戦略偏執症

○継続的に成長し、挑戦し続ける人生
(↑成功の定義

ビジネス力(ケイパビリティ)の分類
1.アプリケーションスキル
2.OSスキル
3.マシン性能
※PCのアナロジーで

20代で一番鍛えるべき力
「マシン性能」
1.極端力
2.努力力
3.学習力
4.受容力
※主に姿勢や心構え、自学自習の方法について


志を持って仕事をしたいけど、周りが気になったり、短期的に見返りがほしくなったりと近視眼に陥りがちなビジネスパーソンにおすすめです。




おまけ
著者山本さんの公式サイトはこちら。
株式会社山本真司事務所
twitterはこちら。
山本真司 (yamamoto_shinji) on Twitter

2010/09/13

マーケティングリサーチの実践教科書 / 上野啓子


マーケティングリサーチの実践教科書」を読みました。

先日仕事で顧客アンケートをする機会があったのですが、そのときに解釈・提言がうまくできず残念な思いをしました。そこで、マーケティングリサーチ(マーケティング調査)を基礎から勉強しようと思って読みました。

目的
リサーチ力UP。
リサーチの基礎をしっかり身につけること

目次
はじめに~リサーチをめぐる環境の変化
序章  マーケティング・リサーチとは
第1章 リサーチの基本
第2章 リサーチの準備と実査
第3章 リサーチ結果の分析と報告
巻末ケース 歯科クリニックの利用における住民意識リサーチ
おわりに

一言感想

本書を読んだら、マーケティングリサーチの基本的な考え方、全体像をひととおり押さえることができました。良かったと思います。

紹介されているひとつひとつの考え方や手法はすでに知っているものも結構ありましたが、知識を体系化したり全体像を俯瞰したりということができていなかったので、その点で非常に勉強になりました。

本書の良い点のひとつに「平易な言葉でわかりやすく書かれていること」があげられます。さすがモデレータを実務でやられている方が書いたものだという感じがしました。

・・・ちょっと蛇足にはなりますが、この本を読む前に私は、データ分析の数学的テクニックに関する名著「多変量解析のはなし」(大村平さん著)を読んでいました。この「マーケティングリサーチの実践教科書」では数学的テクニックはあまり詳しくは説明されていないので、もしマーケティングリサーチのもうひとつの側面である「データ分析」についても学んでおきたいという方は「多変量解析のはなし」も併せて読まれるとより良いかと思います。

ピックアップ

本書の中で個人的にココ!と思ったところをピックアップします(ちょっと文章・単語を変えているものもあります。。)。

リサーチは何のためにあるのか
・「半信半疑」を「確信」に変える
・「やらない」ことを決める
・「今後のニーズ」をつかむ
・戦略的な意思決定をする

リサーチ結果は発注する各部門にとって役立つ情報である必要があり、それを見て次に何を行えばよいのかが見えるものを提供しなければなりません

マーケティングリサ―チの種類
・実態調査
・コンセプトテスト
・プロダクトテスト
・広告クリエイティブテスト
・認知度・製品評価・顧客満足・ブランドイメージ調査

定量と定性の組み合わせ
リサーチの調査対象が誰かがわかっている場合には、定性調査からスタートします。そうでない場合には定量調査で調査対象を決定する作業が必要です。その後の進め方は、「定性調査で探索し、仮説を立てて」から「定量調査で検証する」というサイクルになります。仮説が棄却された場合には、再度定性調査で探索し、仮説を構築して検証します。このように定性調査と定量調査は補完的に使って循環させます。

リサーチ企画書の概要
1.背景
2.目的
3.項目
4.手法
5.対象者
6.期間
7.見積

調査票作成の基本
・SA(シングルアンサー)なのかMA(マルチプルアンサー)なのかがわかるようにする。
・回答者全員がいずれかの選択肢を選べるようにする。
・質問の意味を明確にする(=捉え方によって意味があいまいになる質問にしない)

曖昧な事柄を定義づけすることを「操作的定義」と言います。「愛用者」という条件であっても、「年間何本以上購入している人を愛用者と定義づける」というように事前に決めておくことが必要

ワーディング
調査票の質問は「明確で」「答えやすく」「中立な表現」を使うように注意

定性調査の意義
・観察し、聴き、発見する
・データしてではなく生活者として理解する
・目の前の人の声・表情・しぐさまでを観察する

定性調査の主な手法
デプスインタビュー(1対1インタビュー)
フォーカスグループインタビュー
エスノグラフィー(観察法)

分析とは
・リサーチの結果として得られた回答(データ)を読み込み、
・それらの示すことを理解し、
・データとデータを統合的に見て、
・ある現象が起こっている背景と要因を解き明かし、
・それらの要因を分類整理するとどんな構造が見えてくるのか
ということを見出し、整理すること

分析において大切なのは、報告書を読むクライアントが「この部分はデータ(事実)」「この部分は分析(リサーチャーの解釈)」と明確に区別できるように記述すること

定量調査分析のステップ
1.単純集計表の読み込み
2.クロス集計表の読み込み
3.追加集計依頼(質問間クロスなど)
4.検定依頼(有意差検定など)
5.グラフ化
6.報告書の流れを決定
7.文章化
8.報告書完成

定性調査分析のステップ
1.再デブリーフィング
2.印象的な発言のマーク
3.一覧表・マップの作成
4.傾向や構造の発見
5.報告書の流れを決定
6.文章化
7.報告書完成

外資系企業のリサーチ報告書の構成
Ⅰ.調査概要(目的・手法・対象者・期間など)
Ⅱ.結果のサマリー
Ⅲ.結果の詳細
Ⅳ.今後の課題と提言
Ⅴ.添付資料(調査票・インタビューガイド・提示物など)

当初の期待値が得られなかった場合、リサーチャーはクライアントに対して改善点をきちんと伝えなくてはなりません。リサーチ結果が望ましくないものであっても、それをあげつらうだけではなく、どうすれば次のステップに行けるのか、具体的な方向性を提言します。

・・・以上です。

おまけ
著者の上野啓子さんの会社HPとブログです。
interVista [インタービスタは、マーケティング・インタビューを軸に商品開発やリニューアルのお手伝いをしている会社です。]
マーケティングDiary


2010/09/12

映画:スーパーの女 / 伊丹十三監督



1996年の映画「スーパーの女」を観ました。


目的ときっかけ
半分はエンターテイメントとして、もう半分は、実店舗における戦略実行の一連のプロセス(環境分析→戦略立案→実行)が描かれたケース資料として。

きっかけは、坂井穣さんの「あたらしい戦略の教科書」で、戦略の理解を深めたい方におすすめの本として紹介されていたのを読んだことです。「あたらしい戦略の教科書」ではこの「スーパーの女」についてこう紹介されています。
種となる小さな戦略が、どのようにして大きな戦略に育っていくのかという点が非常に良く描けている映画です。実際に、「新鮮な食材」によってファイナンスの好循環を生み出していくという大戦略を前面に押し出していくのは、映画の中盤をすぎたあたりからです。
戦略に反対する人々との戦いは、まるで現実の戦略実務を見ているような錯覚すら感じます。



内容
スーパーが大好きなイチ主婦が、幼馴染みが経営するスーパーに社員として参加し経営を立て直す、というストーリーです。

低価格をウリにする新規参入の競合店に対して対抗プランを練り、トラブルを重ねながらもひとつずつ着実に具体策を実行していく流れになっています。笑いの要素も、スカッとしたりハラハラしたりする場面も盛りだくさんで、公開時興業的に成功したというのも肯ける良い映画でした。

数年前に産地や賞味期限の偽装等の企業活動が大きく話題に挙がったので、こういった「企業の裏側」について特に新鮮味は感じませんが、1996年当時にこのことを取り上げて映画にまでしたというのは、、素朴にすごいことです。


ポイント
戦略を学ぶ」という視点で見て、とにかく学びの多い映画でした。実店舗運営における戦略やマーケティングを学んでいる人が見ると倍楽しめる映画かと思います。

スーパーの女に盛り込まれているポイントをいくつか箇条書きしてみます。
環境分析 外部環境分析、内部環境分析
ビジョニング 良いスーパーと自社が目指すビジョンの定義
顧客志向視点
課題の抽出
戦略の立案 シンプルなプランへの落とし込み
戦略の実行
仲間作り、ステークホルダーの特定と説得、トライアル、
顧客と仕入れ元の巻き込み、走りながらのチャンス発見、
オペレーション改善。


ピックアップ
映画中もっとも良かったくだりを。

映画の初めの方の、主人公の花子と経営者五郎の会話です。五郎が「俺はこの商売が面白くない」と言うのに対して、花子が自分の思いを伝えて励ますシーンです。
五郎
はぁ。正直言って、俺はスーパーには向いてないような気がする。やってて何にも面白くない、この商売。

花子
あらぁ、スーパーはいい商売じゃない。(中略)だって面白いじゃない、スーパーって。

五郎
だからどこが面白いんだよ。

花子
(中略)
(ここで言う彼女=スーパーに買い物に来る主婦です)
彼女はまず何をするか。まず、彼女は台所で切れてるものを補充する。だからスーパーの売り場はまず、野菜から始まってるわけだよ。
(中略)
彼女にとっては買い物はドラマなの
(中略)
お前のところの売り場にはこの、主婦を興奮させるドラマがないのよ。いい売り場は主婦に対して話しかけてくるのよ。「奥さん、今日の晩ごはんこれにしましょうよ!」ってね。

「顧客のドラマ(物語)」と「お店のドラマ(物語)」を想像できたら、商売がいかに楽しく、いかにやりがいのあるものになるか、ということを花子は教えてくれます。このような顧客志向こそが「良い顧客志向」だと思います。良い顧客志向とは、顧客を神様に仕立て従業員を奴隷化するようなものではなく、従業員が心の底から楽しみややりがいを感じ、自発的に「顧客のためにもっと何かやりたい、向上したい」と思えるようになるようなものなのでしょう。


おまけ
スーパーの女関連で参考になる資料
スーパーの女 - Wikipedia
スーパーの女 競争の戦略 - 映画で学ぶ経営学


……今回はおなかいっぱいでこれくらいしか書けませんが、とにかく良かった。マーケティングや実店舗経営に関わっている方でまだ観ていない方にぜひおすすめしたい映画です。また時をおいて改めて観てみたいと思います。

2010/09/06

インコのしつけ教室 応用行動分析学でインコと仲良く暮らす / 青木愛弓


インコのしつけ教室―応用行動分析学でインコと仲良く暮らす」を読みました。

心理学の一種である「行動分析学(behavior analysis)」と呼ばれる分野の科学を用いて、合理的・効果的にインコと仲良くなる方法を学べる本です。理論をわかりやすく、そして、実践方法を丁寧に説明してあります。インコと暮らしてる方であれば、今すぐにでも始めたいしつけ方法がたくさん書かれています。

インコと一緒に暮らしてる方が具体的なしつけの方法を学ぶためにも、行動分析学の理論を学びたい方が事例を用いて実践的に学習するためにも使える一冊です。私の家には今インコはいないので、、私の場合はどちらかというと後者の位置づけで。。

行動分析学については詳しくはこちらがよいかと。
行動分析 - Wikipedia


目的
次の2つです。
1.犬と仲良くなれるようになる
2.組織マネジメント力を高める

対象がインコでも犬でも、適切なしつけのアプローチというのはほぼ変わらないみたいなので、この本を選びました。また、近年はこの行動分析学的アプローチをマネジメントの現場に導入しようとする試みもあるみたいですので、そちらの意味での勉強のためにも。


目次
序章
この本の読み方ガイド
1章 3つの箱と4つの法則でインコの気持ちを理解する
2章 ほめ上手になる秘訣教えます!
3章 インコのしつけ7つのルール
4章 どうしてそんなことするの? 理由がわかれば解決できる
5章 ほめてしつける実践編 手に乗る&おいで!
6章 インコはいつでも正しい
用語&対訳
索引
もっと行動分析学を学びたい方のための読書ガイド
あとがき


論理的な構成としては次のようになっています。最初に基礎理論を説明し、それを実践に落とし込む具体的な方法とケーススタディをその後に展開する、という流れです。

理論(原理原則)
→1章 3つの箱と4つの法則でインコの気持ちを理解する

基本(具体的方法)
→2章 ほめ上手になる秘訣教えます
3章 インコのしつけ7つのルール

問題別ケーススタディ
→4章 どうしてそんなことするの? 理由がわかれば解決できる

実践(具体的課題)
→5章 ほめてしつける実践編 手に乗る&おいで!

まとめ(次のステップ提示)
→6章 インコはいつでも正しい


ピックアップ
行動分析学のことを何も知らない状態で読み始めたので、目からウロコのことばかりでした。「複雑なことをシンプルな原則に落とし込む」という科学的アプローチが見事です。以下、学ぶべきところがたくさんありすぎて、ピックアップしまくりました。。。

インコは学習する
しつけの基本は、動物は学習する、ということを認識するところから。
行動の原因を明らかにして、行動に関する法則を見つけるのが行動分析学です。この法則を日常の様々な問題解決に役立てるのが応用行動分析学です。
行動分析学についてわかりやすく説明してあります。
インコは、自分の行動を上手に使って何とかして快適に過ごせるように一生懸命努力しています。だから、インコはどうしてそんなことをするのかな、と考えることが問題解決の第一歩になります。
著者の人柄がうかがわれます。インコが不可解な行動を見せたときに「もう、こんなことして!」と怒るのではなく、「なんでこんなことをするのだろう?どんな理由があるのだろう?」と不思議に思い、考える姿勢、それこそが大事なんですね。
左型の箱は、「どんな時」に行動したかで、中央は「行動(何をした)」、右側は行動の直後に「何が起こった」かを入れました。説明しやすいようにそれぞれ、ABCとこの3つの箱に名前をつけておきましょう。
行動分析学のABC分析(先行条件(Antecedent) - 行動(Behavior) - 結果(Consequense))についての説明。これが行動分析学の核。

行動の直後に起こることが行動の回数を決める!
行動は行動の直後に起こったことに影響を受けます。うれしいことがあらわれたり、いやなことがなくなれば、その行動を繰り返すようになり、いやなことが起こったり、うれしいことがなくなれば、その行動をしなくなります。これが行動の4つの法則です。
これも行動分析学の核。いわゆるオペラント条件付けの拠り所。
「うれしいこと+あらわれる」はヤッター! だから、直前の行動を繰り返す!
「うれしいこと+なくなる」はガーン! だから、直前の行動をしなくなる!
上記の4つの法則のうちの2つ。
「いやなこと+あらわれる」はエー! だから、直前の行動をしなくなる!
「いやなこと+なくなる」はホッ… だから、直前の行動をするようになる!
同じく4つのうちの2つ。
叱るのは難しい
悪いことをしたその瞬間に、その行動をやめさせるだけの大きさの罰を毎回与えなくては、インコはその行動といやなことを結びつけられません。(中略)簡単にいえば、叱っても多くの場合、インコは何で叱れているのかわからず、罰を与える私たちを嫌いになり、噛んだり逃げたりするようになるのです。
これが、行動分析学が教えてくれるもっともすばらしい教えだと思います。倫理的な視点から「怒ったり叱ったりするのはよくない」と言うのではなく、あくまで科学的・合理的に突き詰めて考えると「怒ったり叱ったりするよりもほめることを基本として人や動物に接した方がいい」という結論が出る。

このことを、世のすぐ怒るすべて人たちに知ってほしいです。怒るよりもほめる方がいい。・・・と言いつつ、私も怒ってしまいますが。。。怒るの、やめよう。


・・・以上です。まずは第1章まで。

トゥーリッド・ルーガスさんのカーミングシグナルがまだ途中なので、そちらも読み進めたいと思います。


追記
この本が扱うのはインコを対象とした応用行動分析学でしたが、人間バージョンの本「行動分析学マネジメント」も読みました。こちらもよろしければどうぞ。

2010/08/31

On Talking Terms with Dogs: Calming Signals / Turid Rugaas

ON TALKING TERMS WITH DOGS: CALMING SIGNALS」を読みました。

この本は犬に特有の「カーミングシグナル」と命名されたジェスチャーについて解説した本です。著者はノルウェーのトレーナーであり行動分析学者であるトゥーリッド・ルーガス(Turid Rugaas)さん。

裏表紙には「カーミングシグナル」についての手短な解説が載っています。
She coined the phrase "calming signals" to describe the social skills, sometimes referred to as body language, that dogs use to avoid conflict, invite play, and communicate a wide range of information to other dogs -- and also humans.
意訳:
彼女(トゥーリッド)は、(犬の)ある社会的スキルに「カーミングシグナル」という名前をつけました。それは衝突を避けたり、遊びに誘ったり、他の犬(や人間)に幅広い範囲の情報を伝えたりするために犬が使うボディランゲージです。



目的
犬の行動面の習性(ボディランゲージ)に詳しくなって、犬の気持ちがわかるようになる。


目次
Preface - Vesla's Story
Forewords by Pat Goodman, Terry Ryan
1 Calming Signals: The Life Insurance Policy
2 Calming Signals: How to Identify and Use them
3 Some Case Histories
4 The Stressed Dog
5 Using Singnals in Practical Handling and Training
6 What Happens When a Dog Loses its Language?
7 Puppies and Calming Signals
8 Leadership and Parenthood
9 Your Choice
Epilogue
About the Author
Bibliography
By Same Authors



ポイント
まず、カーミングシグナルとは何なのかについて。

オオカミのカットオフシグナル
以前より、オオカミには「カットオフシグナル」(cut-off signal)という行動が現れることがわかっていた。それは、オオカミが別のオオカミをなだめるときに行う特定のボディランゲージである。

犬のカーミングシグナル
著者が見つけたところによれば、犬もオオカミの「カットオフシグナル」と似た行動パターンを持っている。トゥーリッドはそれを「カーミングシグナル」と呼ぶことにした。
(「カーミングシグナル」という言葉の生みの親はこのトゥーリッドさんだそうです)

カーミングシグナルという呼び名の理由
カットオフシグナルではなく「カーミングシグナル」という名前にした理由は、オオカミのカットオフシグナルよりも広範な状況下で犬がそのジェスチャーを使っていることから。他の犬をなだめる(カットオフする)場面よりもむしろ、未然に衝突を予防する場面で使われることが多かった。また、自分自身をリラックスさせるために使われることもあることがわかった。

衝突を避けようとする種
オオカミや犬は、衝突を避けようとする動物(conflict-solving animals)である。

犬がカーミングシグナルを使う場面
犬はなだめるべき対象がいる場合はすぐさまカーミングシグナルを使う。実は、犬は起きている間中ずっとメッセージを発し続けている。

カーミングシグナルは世界共通言語
どのタイプのシグナルを使うか頻度のちがいは種によって異なるが、世界中の犬がカーミングシグナルを使うことがわかっている。その意味で、カーミングシグナルは世界共通の言語である。カーミングシグナルがわかるようになれば、世界のどこに行っても犬としゃべることができる。

カーミングシグナルの種類
カーミングシグナルとしておよそ30種類のジェスチャーが確認されている。

カーミングシグナルを理解することのメリット
カーミングシグナルがわかるようになると、自分の犬が何を感じているのかを理解することができるし、犬に対する理解をもっと深めることができる。


以上です。・・・使われている英語はやさしいのです、一気にたくさん英語を読むと大変なので、まずは大枠の定義の部分だけ。次は具体的なカーミングシグナルの種類についてピックアップしていきたいと思います。

犬のジェスチャーがどういう意味を持っているかがわかると、犬の気持ちをより深く理解できるようになりそうです。本を読むだけでなく、実際に実践して見る目を養う必要があると思いますが、今後が楽しみ。面白いです。


おまけ
著者のトゥーリッドさんが代表を務めているヨーロッパのトレーナー団体のサイトです。
Pet Dog Trainers of Europe - Home Page - German

2010/08/29

ちょっと寄り道:Bloggerの標準エディタのボールド表示ボタンを有効活用する方法

今回は読書録ではなくブログシステムBloggerを使う上でのいちテクニックのお話です。

Bloggerの標準の投稿フォーム(エディタ)には、ワンクリックで文字をボールド表示に変えるボタンが付いています。
これが非常に簡単・便利なので、僕はこれを文章を強調したい場所で使って(strong的な意味合いで使って……)います。ただ、これだと、シンプルなボールド表示にしかなりません。なりませんというかこれはこれで正しいふるまいなのですが、僕が本来やりたいことは「強調」です。。ですので、見え方はボールドじゃなくてもいいし、もっと派手な見え方をしてもらってもいいくらいです。

……ということで、テンプレートのcssの部分をちょっといじりました。


やったこと
テンプレートの中のスタイルを記述する部分に次の一文を挿入しました。
.post-body span[style="font-weight: bold;"] {
color:#f26;
font-size:120%;
}



結果
BEFOREがこちら


そしてAFTERがこちら


少しだけ読みやすくなったでしょうか。一方で、デザイン的にちょっとださくなってしまったような。。。気のせいでしょうか。

同じようなことをしたい方がいらっしゃったらぜひご参考にしてください。


……こういうカスタマイズをするとhtml+CSSの本来の使い方から外れてソースが汚くなってしまいますが、利便性を優先してしまいました。。しばらく試してみて、あまりよくなければ元に戻します。

ビジョナリー・カンパニー / ジェームズ・C・コリンズ ジェリー・I・ポラス 山岡洋一訳 2回目



ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則」を読みました。数年前に読んだことがあるのですが、ざっと読んでそのままだったので再読しました。

本書は1994年に出版され(1995年には日本語版も出版)、10年以上にわたり読み続けられているビジネス書のベストセラーです。最近、続編の「ビジョナリーカンパニー3」が発売されましたね。

製品ライフサイクルや世代を越えて存続している一流企業を「ビジョナリーカンパニー」と定義し(本当はもっと細かく丁寧に定義しています)、収集した膨大な情報をもとにその特徴と具体的な方法論をまとめた一大研究の集大成、の一冊です。参考文献が約700、直接集めた一次情報も膨大な数に上り、私と同じ人間がやったとは思えない気の遠くなるような仕事です。。その成果がたった2,000円(!)で手に入るなんて。。内容に全く触れないとしても、これだけで、すごい。。。これぞまさにstanding on the shoulders of giants.

ちなみに原題は「BUILT TO LAST - Successful Habits of Visionary Companies」。そのまま訳すなら「存続するべく設立された会社たち。ビジョナリーカンパニーの成功習慣」でしょうか。日本語版のメインタイトルを「ビジョナリーカンパニー」としたのは、マーケティング的な意味ですばらしい判断だったと思います。ただ、このタイトルには弊害もあり、本書の本当のテーマは「長きにわたり一流であり続けている会社」であるのに対して、日本では「理念がある、先見的」といった意味を込めた「ビジョナリー」が前面に出過ぎてしまったかなという気はします。。

でもその部分を考慮に入れたとしても、この本の翻訳がすばらしいことに変わりはありません。




目的
「良い会社」の定義と、その作り方を学ぶ。
最近、「会社をより良くするにはどうすればよいか?」というのを考えています。そのときにまず決めるべきは「良りよくするとはどういうことか?」(ゴール)、次に「そのためにはどうすればいいか」(戦略)だと思います。その上で良書とされている本書を参考にしたいと思い、読みました。
(後の方でも述べますが、この本で定義されている「ビジョナリーカンパニー」は必ずしも「良い会社」ではないし、逆もまたしかりだと思います。「ビジョナリーカンパニー」と「良い会社」、ふたつの概念に共通部分はありますが、これらはもともとは別概念です。このあたりを混同して読むと、本書のメインメッセージを誤読してしまいます。)


目次
第1章  最高のなかの最高
第2章  時を告げるのではなく、時計をつくる
第3章  利益を超えて
第4章  基本理念を維持し、進歩を促す
第5章  社運を賭けた大胆な目標
第6章  カルトのような文化
第7章  大量のものを試して、うまくいったものを残す
第8章  生え抜きの経営陣
第9章  決して満足しない
第10章 はじまりの終わり
付録



内容
本書の内容をばっくりまとめました。



■ビジョナリーカンパニーの定義
以下の条件をすべて満たす企業
・業界で卓越した企業
・広く尊敬されている
・この世界に消えることのない足跡を残している
・50年を超える歴史がある
・CEOが世代交代している
・製品やサービスのライフ・サイクルをいくつか繰り返している

■ビジョナリーカンパニーの特徴
ビジョナリーカンパニーに共通する特徴は次のとおり。
・時を告げるのではなく、時計をつくるという考え方
(製品やサービスをつくるのではなく、会社をつくるという考え方)
・基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みを持っている
1.基本理念
2.進歩
3.具体的な仕組み

■ビジョナリーカンパニーをつくる具体的方法
本書では基本理念を維持し、進歩を促す具体的な方法(考え方と仕組み)を5つ挙げています。
基本理念:
・カルトのような文化
・生え抜きの経営陣
進歩:
・社運をかけた大胆な目標(BHAG:Big Hairy Audacious Goals)
・大量のものを試し、うまくいったものを残す(進化による進歩)
・決して満足しない(不安を持つ仕組みと長期を見据えた投資)

□誤読してしまいがちなポイント(僕自身がかつて誤読しました……)
本書は次のような主張はしていません。ここを読み違えると、違ったビジョナリーカンパニー観を持ってしまいます。

―「ビジョナリーカンパニーとは、基本理念を維持し進歩を促す仕組みを持った企業である」
これが一番誤読してしまいがちなポイントだと思います。
本書のビジョナリーカンパニーの定義は、あくまでも上記の「一流であり続けている企業」です。そう定義した企業群が(結果として)共通して備えていたのが「基本理念を維持し進歩を促す仕組みを持っている」という特徴です。こちらは定理です。この定義と定理を混同するとわけわからなくなります。

―「ビジョナリーカンパニーは良い会社である」
著者らがやったのは、あくまでも科学的なアプローチのもとに、「長きにわたって一流であり続けている会社」の特徴を調べた研究に過ぎません。そもそも、「良い会社」に客観的・普遍的な定義を与えること自体が難しい話だと思います。

―「すべての会社はビジョナリーカンパニーを目指すべきである」
この本に書かれている経営者や企業家へのメッセージは、「もし例に挙がっているような企業(本書が定義する「ビジョナリーカンパニー」)を作りたいのであれば、参考になる情報があります」程度のものです。

―「基本理念を維持し、進歩を促すようにしてさえいれば、必ず時代を越えて一流であり続けられる」
十分条件と必要条件を混同して、無理やり帰納的に結論を出せばこういう結論が出てきてしまいます。
しかし、「基本理念を維持し、進歩を促す」というのは、今回研究対象となった「ビジョナリーカンパニー」に偶然たまたま一致した特徴であって、「時代を越えて一流であり続ける」ための十分条件ではありません。……そう考えてみればこれは経営学全般に言えることかと思います。経営学では「Aさえやれば必ずBになる」のA(十分条件)を出すということがそもそも原理的にできません。このあたりも間違いがちです(僕自身が……)。

……1)あくまでも科学的アプローチに基づいているということ、2)(「すべての会社はビジョナリーカンパニーを目指すべきである」などの)倫理観に関わる部分に立ち入っていないこと――この2点が本書が使いやすく、信頼に足る理由だと僕は思います。


ピックアップ
以下、本書からいくつか重要なポイントだと思えた箇所をピックアップします。
ひとりの指導者の時代をはるかに超えて、いくつもの商品のライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くのは、「時計をつくること」である。
(中略)会社を築くこと、つまり、時を刻む時計を作ること
(中略)建築家のようなやり方で、ビジョナリー・カンパニーになる組織を築くことに力を注ぐ。こうした努力の最大の成果は、(中略)会社そのものであり、その性格である。
「会社こそが作品である」という考え方。

わたしたちの調査によれば、ビジョナリー・カンパニーの「時を刻む時計」の重要な要素は、基本理念、つまり、単なるカネ儲けを超えた基本的価値観と目的意識である。
基本理念を持つことから始まる、というお話。

基本理念 = 基本的価値観 + 目的
基本的価値観 = 組織にとって不可欠で不変の主義。(中略)
目的 = (中略)会社の根本的な存在理由。(中略)
基本理念のシンプルでわかりやすいブレークダウン。

基本理念を、文化、戦略、戦術、計画、方針などの基本理念ではない慣行と混同しないことが、何よりも重要である。(中略)少なくともビジョナリー・カンパニーになりたいのであれば、基本理念だけは変えてはならない
基本理念とは、「それだけは決して変えない」もの。基本理念以外はすべて環境に即して変えていいもの。

組織を築き、経営している読者に向けた本書の主張のなかで、何よりも重要な点をひとつあげるなら、それは、基本理念を維持し進歩を促す具体的な仕組みを整えることの大切さだ。これが時計をつくる考え方の真髄である。
ここに、1)基本理念、2)進歩、3)具体的な仕組み、という話が出て来ます。

社運をかけた大胆な目標――リスクが高い目標やプロジェクトに大胆に挑戦する。
カルトのような文化――すばらしい職場だと言えるのは、基本理念を信奉している者だけであり、基本理念に合わない者は病原菌か何かのように追い払われる。
大量のものを試して、うまくいったものを残す――多くの場合、計画も方向性もないままに、さまざまな行動を起こし、なんでも実験することによって、予想しない新しい進歩が生まれ、ビジョナリー・カンパニーに、種の進化に似た過程をたどる活力を与える。
生え抜きの経営陣――社内の人材を登用し、基本理念に忠実な者だけが経営幹部の座を手に入れる。
決して満足しない――徹底した改善に絶え間なく取り組み、未来に向かって、永遠に前進し続ける。
今回の対象企業の多くで見つかった具体的な仕組みの例。

ビジョナリー・カンパニーの真髄は、基本理念と進歩への意欲を、組織のすみずみにまで浸透させていることにある。
基本理念と進歩への意欲を言葉にしているだけ、トップが思っているだけでは十分でない、とのこと。

一貫性を達成するためには、働き続けるしかない。以下に、いくつかの指針をあげておこう。
1 全体像を描く
2 小さなことにこだわる
3 下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる
4 流行に逆らっても、自分自身の流れに従う
5 矛盾をなくす
6 一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す
具体的な仕組み作りにおいて重要な「一貫性」を保つ上で参考にすべき指針。

本書を読んで、今後のビジネスに活かし、周囲の人たちに伝える教訓として、以下の4つの概念だけは覚えておいてほしいと願っている。
1 時を告げる予言者にはなるな。時計をつくる設計者になれ。
2 「ANDの才能」を重視しよう。
3 基本理念を維持し、進歩を促す。
4 一貫性を追求しよう。
本書のメインメッセージをまとめた部分。

(「ビジョナリー・カンパニーを築くには適していない人はいるのか」という問いかけに対する回答の一部として……)
ほとんどいない。適していないと言えるのは、長期にわたってねばり強く仕事を進めていくのを望まない人、成功すれば自己満足して努力しなくなる人、基本理念を持たない人、自分が去ったあとの会社の姿に関心を持たない人だけである。
進歩への意欲がないのであれば、(中略)ビジョナリー・カンパニーを築くには適していない。
目的を持った価値観を重視する会社にすることには興味はなく、カネさえ儲かりさえすればよいのであれば、ビジョナリー・カンパニーを築くには適していない。
ここで、誰もがビジョナリー・カンパニーを目指すべきである、とは言っていない。「~人だけである」と限定して言ってますが、逆に、これらのどれにもあてはまらない人、つまり「ねばり強く仕事を進めることを望んでいて、成功後も絶えず努力し続けて、基本理念を持ち、自分が去った後の会社にも強い関心を持っている人」がどれだけいるか、、、と考えるとむしろそちらが疑わしいような気もします。。

(「調査結果が21世紀になれば時代遅れになってしまうのではないか」という問いかけに対する回答の一部として……)
わたしたちの調査結果を企業に適用するにあたっては、創意工夫が必要となる。わたしたちはあえて、「ビジョナリー・カンパニーをつくる10の方法」といったノウハウ本のスタイルを避けてきた。(中略)手軽なノウハウ本に精巧に秘訣を求めるというのは、ビジョナリー・カンパニーがこれだけはやらないことである。あなたにも名画がかけますというキットを、ミケランジェロが買うようなものではないか。ビジョナリー・カンパニーを築くのは、設計の問題であり、偉大な設計者は一般的な原則を活かすのであって、決められた手順に機械的に従っていくわけではない。
ミケランジェロの例がわかりやすいです。そもそもビジョナリー・カンパニーはマニュアル志向で到達できるレベルではない、ということでしょうか。


感想
「製品やサービスではなく、会社自体を作品と考える」という発想がなかったので、そこでまず衝撃を受けました。

基本理念と進歩。それらの具体的な仕組み。。。自分のキャリア観、ビジネス観に大きな影響を与えてくれた一冊だと思います。

今後のITの進化によって、会社と外部の境目、会社の輪郭がますますあいまいになっていくかと思いますが、この研究成果はまだまだ使えるものだと思います。また、会社にかぎらずあらゆる組織、コミュニティに通用する考え方だと思うので、自分の人生で実際に活かしていきたいと思います。

これだけの内容が2,000円ほどで手に入るなんて、本当にすごい時代です。。

仕事を通じて、次の世代に残すものを作りたい、という方にぜひ読んでいただきたい一冊です。