2010/11/23

さあ、才能に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす / マーカス バッキンガム、ドナルド・O.クリフトン著、田口俊樹訳



さあ、才能に目覚めよう」を読みました。原題は「Now, Discover your strengths」。


読んだ目的
自分の強み・弱みをしっかり把握すること。


内容の紹介
内容はそのまま、「自分の強みを明確にし、積極的にそれを活用しよう」ということを主張した本です。その基本原則は
(人の)性格や能力は一人ひとり異なるという事実を踏まえて、そのちがいを活かすこと


アメリカ内外の企業に勤務する8万人(!)のマネジャーに対するインタビュー結果から、「人間の能力に対して一般の人々は2つの誤解を持っている」と主張しています。その2つの誤解とは…
  1. 人はだれでもほとんどすべてのことにおいて、能力を発揮することができる。
  2. だれにとっても最も成長の余地があるのは、その人の一番弱い部分である。

の2つです。私なんかは、「そういう考え方もあるし、そうでない考え方もできるしなぁ」とどっちつかずの考え方をしてしまうのですが、本書ではこの考え方を完全に否定しています。ビジネスパーソンやマネジャーは上記の2つの誤解を捨て、次の2つの認識を持つべきであるとしています。
  1. 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである。
  2. 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。


また、本書には、パターン化された34コの強みのうち、自分にどれがあてはまるのかを特定するツール(オンラインテスト「ストレンクスファインダー」)も付属されています(一冊ごとに異なるユニークコードをウェブページで入力してテストを受ける形となります)。この本の値段は、ほぼこのオンラインテストを受けるために支払うといってもいいかと思います。

……私はリアルタイムには知らないのですが、日本では2001年に発売され、当時結構話題になり、その後継続的に売れている本のようです(私の手元にある本は第1版36刷)。

目次は次のとおりです。


目次
はじめに 企業における「強み革命」
第1部 強みを解剖する
第1章 強固な人生を築く
第2章 強みを築く
第2部
第3章 強みを見つける
第4章 34の強み
第3部
第5章 疑問を解く
第6章 強みを活用する
第7章 強みを土台にした企業を築く
参考資料 ストレンクス・ファインダーに関するテクニカル・レポート



ピックアップ
・本書では、34コの強みとして次のようなものが提案されています。
アレンジ 運命思考 回復志向 学習欲
活発性 共感性 競争性 規律性
原点思考 公平性 個別化 コミュニケーション
最上思考 自我 自己革新 社交性
収集心 指令性 慎重さ 信念
親密性 成長促進 責任感 戦略性
達成欲 着想 調和性 適応性
内省 分析思考 包含 ポジティブ
未来志向 目標志向

この強みを表現する言葉選びには細心の注意が払われてるかとは思うのですが、中には日本語としてわかりづらいものもありますので、本書を買った場合は英語でのラベリングもきちんと見ておくのがおすすめです。このあたりのことについて、dankogaiさんは次のように言われています
本書の核を成す34の強みに関しては、日英双方で併記した。英語の方がよりその才能に関して自然なものもあるし、その逆もあるからだ。訳者はあくまでも逐語的ではなく「原点思考的」(contextual)に訳しているのだが、そのおかげでかえってピンと来ないものも少なくないので。

私も同感。。


診断結果
ブログ主の私自身が診断した結果として出てきた「強み」は次の5つでした。普段自覚しているものが多かったのですが、こうやって明確な言葉に落とし込んで突き付けられると、、感慨深いものがあります。人は自分をこう見てるのか。

あなたの強み
1. 戦略性 strategic
2. 学習欲 learner
3. 目標志向 focus
4. 達成欲 achiever
5. 着想 ideation


感想
先日書いたキャリア・アンカーとはまたちょっと違った切り口から自分を客観視することができ、よかったように思います。5つ、丸暗記しよう。

・強みを認識した次のステップは「強みを伸ばす」「強みを活かす」だと思いますが、ここもきっちりやらないと認識しただけ、になるので、、この結果をうまく使っていきたいと思います。

・ロジカルで丁寧に書かれており、テストも類似のものがあまりない良質のものになっているかと思うので、、1,600円でこれなら、安いと思います。少しでも興味があるなら、やっておいて損はありません。


こんな人におすすめ
・キャリアの節目にいる人(就職・転職・退職など)
・自分の強みを活かせる分野で、より幅広く活動したいと思っている人

2010/11/12

行動分析学マネジメント / 舞田竜宣 杉山尚子

行動分析学マネジメント」(副題:人と組織を変える方法論)を読みました。

以前に読んだインコのしつけ教室と同じ「行動分析学」と呼ばれる理論をベースに、人と組織のパフォーマンスを引き出す方法を紹介する本です。「インコの教室」がインコを対象としていたのに対し、この「行動分析学マネジメント」は「人と組織」を対象としています。

舞台は架空の企業「ノルウェー・モバイル」。「サカモトさん」という人事コンサル(「HRビジネスパートナー」と呼ばれています)が活躍するストーリーです。

1章で1テーマを扱い、ストーリーの後に理論的な補足があるので、じっくり読み進めていくことで、少しずつ着実に行動分析学に対する理解を深められるようになっています。

行動分析学は
・人の行動原理を極限までシンプル化し、
・非常にシステマティックに、
(しかし人間性を軽視することなく)
・人の行動を効果的にマネジメントする、
という理論で、最初しばらくはこの面白さにピンと来なかったのですが、見通しがクリアになってからはとても面白いと思うようになりました。

マネジメントすべきは「人」ではなく、あくまでも「行動」である、というのがそのコアアイデアです。これが、人を叱ったり怒ったりする考え方から、「罪を憎んで人を憎まず」的な考え方へと誘ってくれます。


キーワード/キーフレーズ
内容が盛りだくさんなので、キーワード/キーフレーズだけ挙げておきます。
・医学モデル
・行動の真の原因は行動の直後に
・好子/嫌子
・強化/弱化
・消去
・復帰
・強化スケジュール
・シェイピング
・チェイニング
・弁別刺激
・ABC分析(Antecedent - Behavior - Concequence)
・随伴性
・随伴性ダイアグラム
・プロンプト
・生得性好子(一次性)/習得性好子(二次性)
・トークン
・行動分析学的フィードバック
・確立操作
・遮断化/飽和化
・自己強化のための記録
・抹殺法
・レスポンデント条件付け
・系統的脱感作(systematic desensitization)
・ルール支配行動/随伴性形成行動

・・・以上です。

個人的には、この本で紹介されている行動分析学の考え方を身につけることによって
・どうしてもやめられないこと
・どうしても習慣化できないこと
があるときに「なんて自分はだらしない人間なんだろう・・・」と自分を責めて悩むことが一切なくなり、それが本書を読む最大のメリットのひとつかと思います。

人の行動や習慣は何らかの外部要因とその刺激に適応した結果として起こっているため、「なぜこうなっているのだろう?」「どうすればいいのだろう?」(随伴性をどう変えればいいだろう?)とあくまで実践的に、少し引いたところから自分の行動や習慣を見つめることができるようになりました。


こんな方におすすめ
良い習慣作りや規則的な生活リズム作り、組織行動学などについて実践的な手法を学びたい方におすすめの一冊です。


2010/11/08

武士道 / 新渡戸稲造 (Google Booksのテスト)

「武士道」を読みました。…と言っても、読んだのは数年前のことです。

今回はGoogle Booksというサービスを試しに使ってみたかったので、Google Booksでプレビューが見られて、かつ私が読んだことがある本を一冊取り上げたい、ということで武士道を選びました。

私が実際に読んだ武士道とはバージョンが異なりますが、Google Booksを使うとこんな形でインラインプレビューを出すことができたりするみたいです。




こんなパターンで入れることもできるみたいです。

フローティング


これはプレビューページへのリンクのパターン。



公開されているオンラインのコード生成ウィザードを使えば、本のISBNを入力するだけで、手軽にスクリプトを生成して利用することができます。API keyが必要ないのも、大きなポイントです。



……と使ってみたものの、、印象としては、見え方があまりきれいじゃないような、、気がしました。。が、もうちょっときれいに挿入されるようになれば、バシバシ使ってみたいなと。日本語の書籍だとプレビューできる本がまだまだ少ないみたいですが、今後に期待です。

しかしすごい時代になりました。。

2010/11/03

実践するドラッカー[行動編] / 上田惇生監修・佐藤等編著



先日読んだ思考編に続いて、今度は「実践するドラッカー[行動編]」を読みました。

位置づけとしては、「思考編」が成果を出すための「心構え」について書かれてあるのに対し、こちらの「行動編」は成果を出すための「技術・行動習慣」について書かれてあり、2つが対になっています。
行動編の中には、「学習」「時間」「意思決定」「目標」「計画」の5つのテーマが各1章を割いて収められています。

いずれも王道的なことが書かれており目新しさはありませんが、「それって大事だよね」としみじみと思うことが丁寧な言葉でつづられています。うんうんとうなづきながら、でも「これを実際にやるのは、難しいんだわ」と思いながら読みました。


目次
第1章 時間が成果を決める
第2章 意思決定が未来をつくる
第3章 目標が成長を促す
第4章 計画が実現性を高める
第5章 生涯を通して学ぶ



学び
取り上げられている5つのテーマ――「学習」「時間」「意思決定」「目標」「計画」のそれぞれについて学びとなったポイントを書き出してみます。やや多めですが、全部で11個になりました。



■学習
1.学び続ける
知識社会においては、継続学習の方法を身につけておかなければならない。内容そのものよりも継続学習の能力や意欲のほうが大切である。(中略)学習の習慣化が不可欠である。(ドラッカー)
学習の内容<継続の能力や意欲」とのこと。日々の学習を成果とリンクさせたり、小さなステップに分けたりしてプロセスを楽しくする、ということをどれだけできるかがポイントだと思います。


2.自分の強みを知る、持つ
「自らの強みが何か」を知ること、「それらの強みをいかしてさらに強化するか」を知ること、そして「自分には何ができないか」を知ることこそ、継続学習の要である。(ドラッカー)
私は、負けず嫌いで諦めたくない性分が強いみたいで「これが苦手」と宣言することが得意ではありません。。でも、人もモノのマーケティングと同じで、強み(Strength)と弱み(Weakness)をきちんと把握できてこそ、本当の価値が発揮できるんでしょうね。。


3.学びの仕組みを作る
私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの方法を身につけた。(ドラッカー)
「一度にひとつのことに集中する」――これがドラッカーが長年の間に身につけた最適な学習スタイルのようです。このように、各人が自分に合った学習スタイルを知っておくことが大切ですね。
学ぶことについて誰かの助けを必要とするようでは、終生学び続けることはできない。
一人で学べる力を付けろ、と。納得。個人的に、受験勉強、学生生活の中で一番学ぶべきことは、コンテンツではなくこの「自学自習の仕方」だと思います。


■時間
4.重要なことに時間を割く
時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。(ドラッカー)
大切なのは、順位です。順位には「優先順位」と「劣後順位」があり、これらをもとに機械的に決定することがポイントです。(解説)
「機械的に決定することがポイント」と言われても、劣後順位を決めるのがなかなか難しいものです。「何をやるか」を決めるよりも「何を捨てるか」を決めることの方がずっと大変です。私の場合は、テレビを見る時間、通勤にかかる時間、自炊の時間、本屋に行く時間をなるべく減らして、勉強、人と会うこと、趣味、遊ぶことなどにあてているつもりです。


■意思決定
5.重要なことに時間を割く
重要な決定に集中する。(ドラッカー)
意思決定をするその前に、「その決定は重要かどうか」を判断することが必要、と。


6.ポイントを明らかにする
意思決定においては、決定の目的は何か、達成すべき目標は何か、満足させるべき必要条件は何かを明らかにしなければならない。(ドラッカー)
正しい決定は、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討から生まれる。(ドラッカー)
両方とも、、おっしゃるとおりです。議論してるうちにそもそも何が問題なのかワケわからなくなることがあるので、気を付けます。


7.人を巻き込む
意思決定の実行を効果的なものにするには、(中略)決定の実行を妨げうる者全員を、決定前の議論の中に責任をもたせて参画させておかねばならない。(ドラッカー)
「ステークホルダー」という便利な言葉があります。ステークホルダーに確認を取ろう、ということですね。ちゃんと確認したつもりが「実は隠れたステークホルダーがいた!」という場合が厄介ですが、、それは気を付けるしかない、ということで。。


8.フォローする
最善を尽くしたとしても必ずしも最高の決定を行えるわけではない(以下略)(ドラッカー)
ベストを尽くしても間違う場合、状況が変わる場合はあるから、意思決定した後もそれが妥当だったのか検証しよう、ということですね。


■目標
9.自分で立てて管理する
目標管理は、支配による管理から、自らの動機に基づく管理に転換すべきだというのが、ドラッカー教授の考えです。これこそ、MBO(Management by Objectives and Self-control)の真髄なのです。(解説)
MBOの最後に「Self-control」が入っているパターンを本書で初めて見ました。目標は自分で管理できるのが一番いい、と。


■計画
10.3W(いつ、誰が、何を)を入れてともかく計画を立てる
行動の前には計画しなければならない。(ドラッカー)
計画とは、知識を成果に変えるための道筋として、「いつまでに」「誰が」「何を行うか」を決めることです。(解説)
アイデアを実現するための行動が妥当なのかどうかを事前に検証し、目的達成度と効率を上げるためには計画を立てることが大切、と。誰かといっしょに仕事をする上でも、計画があった方がいいですね。


11.フォローする
途中でアクションプランをチェックすることなくしては、成り行きの中で意味のあるものとないものとを見分けることすらできなくなる。(ドラッカー)
意思決定と同様、計画についてもある時点で最善な計画が立てられたとはかぎらないので検証が必要、とのこと。


……と、盛りだくさんになってしまいましたが、以上です。思考編に続いてこちらもよかったです。
ドラッカー関連の本を読んでいると、いろんなことを経験して超越した年配の人と一対一で話をしている気分になります。語り口はやさしいものの、どれも本質的なことを言っているように思います。


まとめ
この数カ月の間に、もしも高校野球の女子マネージャーが…マネジメント基本と原則実践するドラッカー思考編と立て続けにドラッカー関連本を読んできましたが、いずれも何度も読み返したくなる、スルメ本だったと思います。時期が変わると読み方もまた変わると思うので、また時を置いて、読み返したいと思います。いい意味で、根本の考え方を大きく変えてくれる一冊でした。よかった!