2011/02/24

これからの「正義」の話をしよう / マイケル・サンデル 鬼澤忍


これからの「正義」の話をしよう」を読みました。

難しさのあまり途中で何度も挫折し、読み終えるまで半年以上もかかってしまいました。。。

展開を丹念に追いつつ読もうと思ったらかなりの時間がかかってしまいましたので、「速く読むのが得意」「時間をかけてもいいからじっくり読みたい」という人以外にはあまりおすすめではありません。

「なぜここに書くのか」というと、今回は「せっかく苦労して読んだんだから書いておきたい・・・」という、ただそれだけでして。。。

目的
・迷ったときにより良い道を選べるようによりよい意思決定の方法を学ぶ

目次
政治哲学でよく議論されるテーマが1章1テーマで紹介されています。
第1章 正しいことをする
第2章 最大幸福原理──功利主義
第3章 私は私のものか?──リバタリアニズム(自由至上主義)
第4章 雇われ助っ人──市場と倫理
第5章 重要なのは動機──イマヌエル・カント
第6章 平等をめぐる議論――ジョン・ロールズ
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
第8章 誰が何に値するか?──アリストテレス
第9章 たがいに負うものは何か?――忠誠のジレンマ
第10章 正義と共通善


まとめ

得た学びを5つの視点でまとめました。
1. テーマ
2. 要素
3. 代表的な考え方
4. 軸
5. マイケル・サンデルの主張

この本というよりは、この本をきっかけに学んだ「政治哲学」全体についての学びをまとめています。

1 テーマ
この本のテーマは「正義」です。つまり、「正しい行いとはどういうものなのか?」「ある行いが正しいとすればなぜそう言えるのか?」という疑問を軸に話が展開されています。

この本を読むまで知らなかったのですが、こういった学問分野のことを「政治哲学(political philosophy)」と呼ぶそうです。Wikipediaのpolitical philosophyのページにはこうあります。
Political philosophy is the study of such topics as liberty, justice, property, rights, law, and the enforcement of a legal code by authority: what they are, why (or even if) they are needed, what makes a government legitimate, what rights and freedoms it should protect and why, what form it should take and why, what the law is, and what duties citizens owe to a legitimate government, if any, and when it may be legitimately overthrown—if ever.
(意訳)
「政治哲学」とは、自由、正義、所有権、権利、法律、権力者によるルールの強制などといったトピックを扱う学問です。それらがどんなものなのか、なぜ必要なのか。政府はどういう要素によって適切なものとなるのか。政府が保証すべき権利と自由とはどのようなものか、そしてそれはなぜか。政府が取るべき形はどのようなものか、そしてそれはなぜなのか。適切な政府にはどのような法律があるべきで、国民はどのような義務を負うべきなのか。そして仮に、もしそれらが覆されるべきときがあるとすれば、そんなどんなときなのか。

「哲学」という全体の中での位置づけで言うと、哲学を「個人の哲学」と「社会の哲学」の2つに分けた場合における後者が政治哲学だと考えると良いみたいです。よく似た言葉に「社会哲学」という言葉もあるようですが、それらの位置関係は私にはわかりませんでした。。。

2 要素
正義をめぐる議論に登場する概念には次のようなものがあります。
・幸福
・自由
・美徳
・公共
・平等
・義務・責任
・差別・逆差別
これらの要素を視野に入れながら、具体的事例を用いて「どうあるべきか」「なぜそうあるべきなのか」という考察を進めていくのが政治哲学の人たちがやっていることのようです。

3 代表的な考え方
人類の思想の歴史を政治哲学の視点から見た場合に、価値や影響力の大きい主張として次のようなものがあります。
功利主義(utilitarianism)
リバタリアニズム・自由至上主義(libertarianism)
見えざる手(invisible hand)

功利主義(utilitarianism) 最大多数の最大幸福――「人々の幸せの総量を最大化すること」こそ正しいとする考え方。そこでは、一人ひとり価値観も背景も異なる人々の幸せを定量化できる、という前提がおかれる。本書で取り上げられている思想家…ベンサム・ミル。

リバタリアニズム・自由至上主義(libertarianism) 個人が可能な限りの自由を得ることこそが正しいとする考え方。「自由とはどういう状態なのか」という「自由の定義」をめぐってさらに意見が分かれていきます。本書で取り上げられている思想家…カント・アリストテレス。

見えざる手(invisible hand) アダム・スミスが「国富論」の中で提唱した考え方。厳密な意味合いはわかりませんが、おそらく「個人が自分の利益を追求するだけで、自然と社会全体に利益がもたらされる」とする考え方。良くも悪くも、個人主義、自由市場主義を助長する。

4 軸
政治哲学の議論においては、対立する2つの価値を対比する軸がよく登場します。
・個人 対 社会   (家族・地域・集団・国家など)
・意思 対 行為の結果(責任の所在をめぐった議論のときに)

5 マイケル・サンデルの主張
本書の着地点として著者が持ってきた主張は、次の3つに集約することができます。

  1. 行いが正しいかどうかを普遍的に決める、ただひとつの原則を導き出すことはできない
  2. その中でなるべくbetterな行いをするためには、一人ひとりが「公共の善」というものを意識して都度議論していくほかない
  3. この複雑な多元的社会において、政治は道徳的な問題にも介入していくべきだ

3つ目の主張はマイケル・サンデルのごく個人的な意見な印象があるので置いておくとして、前者2つは中立的な立場から見ても納得がいくものです。

人類がこれまで蓄積した知見を総動員しても、普遍的な正しさを決められる判断軸は存在しない。正しさというのは、都度目の前に現れる判断の機会において、持つべき視点を洗い出し、判断基準を選定する。そして、微妙なバランスの中でより良いものを信じて決断する、その中にしか現れないもののようです。

また、なるべく正しい道を選ぶには、これまでの人類史の中で展開されてきたさまざまな考え方――「功利主義」「リバタリアニズム」などを参考にするのが良い、stand the shoulder of giantsというのもこの本で言われていることのひとつです。


一言感想

難しかったです。。。

最終的な結論には励まされました。複雑な問題は「持つべき視点を洗い出して当事者たちが議論して決めるほかない」という認識を持てていると、複雑な問題に出会ったときにさじを投げずにじっくり向き合って考えることができそうです。


こんな方におすすめ
・政治哲学のややこしい議論でも論じられる力を磨きたい


ちなみに
私は、ジョン・ロールズ、アファーマティブ・アクションのくだりは読み飛ばしました。ロールズはあまりに難しかったので。そして、アファーマティブ・アクション(とそれによって起こる逆差別の問題)は今のところ身近に感じられなかったので。


おまけ
マイケル・サンデルの講義をさらに楽しみたい場合はこちらのページがおすすめです。
Justice with Michael Sandel
ハーバード白熱教室 - NHK

本書に興味があってまだ読んでいない場合は、公式ページから第1章をPDFでダウンロードして試し読みすることができます。
これからの「正義」の話をしよう - 早川書房

政治哲学について掘り下げたい場合はこちらがおすすめ。
Political Philosophy - internet Encyclopedia of Philosophy
Political philosophy - Wikipedia


余談
政治哲学という日本語
個人的には、「政治哲学」という名前がしっくり来ません。
「政治」と聞くと私はどうしても、立法や行政といった狭義の「政治」を思い浮かべてしまうのですが、英語のpoliticalには「政治の」のほかに「賢明な」「分別のある」といったニュアンスがあり、また、「方針」という意味のpolicy、「行儀の良い」という意味のpoliteとも語源が近い言葉なことを思うと、politicalの部分をもっとうまく訳す方法はないのかなと思います。

哲学とは
Wikipediaによると、哲学とはこのようなものだと説明されています。
Philosophy is the study of general and fundamental problems, such as those connected with existence, knowledge, values, reason, mind, and language.
(意訳)
哲学とは、普遍的で基本的な問題を扱う学問である。そのテーマは存在や知、価値、理由、心、言語などに関するものである。

2011/02/22

プロフェッショナルの条件 / P.F.ドラッカー 上田惇生


ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」を読みました。

正式なタイトルはもう少し長くて「[はじめて読むドラッカー・自己実現編]プロフェッショナルの条件-いかに成果をあげ、成長するか」です。

この本はドラッカーの数ある著作の中から「個人の生き方・働き方」に関する記述を抜粋したものです。ドラッカーが扱った2大テーマは「組織のマネジメント」と「現代と未来のマクロ環境」だと思うのですが、それらの文脈の中で考える「個人はどうあるべきか?」という問いへの答えがぎゅっと凝縮されてまとめられています。

テーマはマネジメントではなく「個人のあり方」ですので、ドラッカー本の中では比較的幅広い層の人が楽しめる一冊なのではないかと思います。

本書からの最大の学び:「正しい認識と集中こそが一番大切」ということ

まず、自分と目の前の仕事、そして時代背景について正しく認識すること。

自分はどんなことが得意で、どんなときにパフォーマンスが上がるのか。どんなことが好きでどんなことが嫌いなのか。つまり、強みと弱み、向いているワークスタイル、価値観。

そして、出すべきアウトプットは何なのか。逆に、要らないアウトプットは何なのか。どんな作業が必要なのか。仕事とその目的。

そして、時代背景。

これらの認識をかけあわせた末に見えてくる「重点ポイント」に徹底的に集中すること。

これが仕事における最上位の戦略でありもっとも大切なことである・・・というのが今回私が本書から得た最大の学びです。

私はよく、もう少し下の階層の「どういう技能を身に付ければいいか」「どういう風に仕事をするべきか」というところ(≒戦術)から考え始めてしまいますが、それをする前に、上位のことをきちんと考える必要がありそうです。

また、これは誰かが言ったのを聞いて「なるほど」と思ったことがあるのですが、「ドラッカーはいつも詳細のロジックは書いていない。だからこそ、いつの時代にもマッチするし説得力がある」。この「プロフェッショナルの条件」を読んで、確かにそうだなと感じました。

ドラッカーは主張の裏付けとなる数字や論理的根拠はほとんど示しませんが、その主張は妙にしっくり来るというか反論しにくいというか、妙に説得力があります。「議論をし尽くしたら最終そこに行き着くのかな」と納得する何かがあるように思います。

ポイント

今の私が本書から学べた「プロフェッショナルの条件」となるポイントは以下の4つでした。
1. 自分の理解
2. 目的の理解
3. 仕事の理解
4. 自己責任意識

1. 自分の理解
・強みと弱み
・向いているワークスタイル
・価値観

2. 目的の理解
・定義
・集中
・目的に沿わないものは捨て続ける

3. 仕事の理解
・タイプ
・構成要素となるタスク

4. 自己責任意識
・「自分を活かすのは自分」
・独自性に必要なものを徹底して考える



最後に、目次その他を書いておきます。

目次
Part 1 いま世界に何が起こっているか
Part 2 働くことの意味が変わった
Part 3 自らをマネジメントする
Part 4 意思決定のための基礎知識
Part 5 自己実現への挑戦

こんな方におすすめ
・「もし高校野球の~」を読んで、次にどのドラッカーの本を読もうか迷っている
・何かの「プロフェッショナル」として生きたい

おまけ
編訳をされた上田惇生さんはドラッカーの著作のほとんどを訳し、日本に紹介されています。その上田さんと糸井重里さんの対談がこちら。
はじめてのドラッカー - ほぼ日刊イトイ新聞

ドラッカーを読んだことがないけど興味がある場合は、まずはこの対談から入るのがおすすめです。

私は、翻訳というのは「あっちからこっちに移す」比較的簡単な作業なのかなと考えしまっていたのですが、これを読むとその考えが改まりました。奥が深いです。


2011/02/20

デザインの原形 / 日本デザインコミッティー



デザインの原形」を読みました。


一言紹介
2002年に開かれた「デザインの原形」展のカタログです。深澤直人さんが選んだ「原形性のあるプロダクト」が、美しい写真と丁寧な解説を添えて、約50点紹介してあります。


目的
美しいものを見て単純に楽しむ。


一言感想
・・・本書を読んで初めて、私は「原形」を求めること、「クラシック」を目指すことのおもしろさと難しさを知りました。この本と出会うまでは、「個性的なもの」「新奇性のあるもの」が常にすばらしいものだと思っていのたですが、この本と「デザインの輪郭」(こちらも深澤直人著)とを読んだことで、その考え方が180度変わりました。

「個性が一番」と自分の中に閉じこもるのではなく、社会の方向を向いて、歴史といまを見つめて、多くの人々の頭の中の「○○らしさ」(時計らしさ、コップらしさ、イスらしさ)のイメージのエッセンスをつかみ取る。そうすることで、誰もが知っていて誰もが作れない「原形」を生み出す。そんな創造性というのが、「ものづくり」において一番すごいことなんじゃないかといまは思っています。

この考え方を持つと、マスマーケティングはものすごくエキサイティングだし、ポップなものを作り出す人はすごいなぁと純粋に尊敬できます。

ちょっと余談ですが、私がマーケターやライターの立場で仕事をするときには、この「原形」という考え方を参考に、なるべく「ベタかもしれないけれど、きちんと顧客に伝わる、ストレートな施策」をするように心がけています。


ピックアップ
画像を転載するのはさすがにアレなので、本書の中に載っているもののなかから特に好きなものをピックアップします。
Less - Jean Nouvel
Sleek - Achille & Pier Giacomo Castiglioni
ステンレスボウル - 柳宗理
Door Handle - Jasper Morrison
Mobil - Antonio Citterio
Cubo - Bruno Munari
Wall Clock - 倉俣史朗
※各リンク先はGoogle画像検索の検索結果です


おまけ
日本デザインコミッティーの公式サイトはこちら
日本デザインコミッティー

製品を選定者の深澤直人さんのブランドはこちら
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2011/02/17

グランズウェル / シャーリーン・リー ジョシュ・バーノフ 伊藤奈美子


グランズウェル」を読みました。この本が出版されたときに一度読んでいるので、今回は2回目です。

ブログタイトルに掲げている「マーケティング」関連の本を久しぶりに読みました。。


こんな本
さまざまなソーシャルメディア(もしくはCGM)をビジネスで活用する方法について説明してある本。

具体論よりも大づかみの概論、普遍的な基本原則に重きが置かれており非常によくまとまっている(構成がきれいなツリー構造になっており、すんなり頭に入ります)ので、この分野では定番扱いになっているようです。

ちなみに、タイトルの「グランズウェル(groundswell)」は英語で「大きな波のうねり」「高まり」を意味する言葉。近年のソーシャルメディアの盛り上がりを表現しているそうです。


目次
大きく3つのパートに分かれていて、おおよそ、第1部が「グランズウェルとは何かの説明」、第2部が「グランズウェル活用法」、第3部が「グランズウェルの企業での活用実践法」といった内容になっています。
第1部 グランズウェルを理解する
第1章 なぜ今、グランズウェルに注目すべきなのか」
第2章 柔術とグランズウェルのテクノロジー
第3章 ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール

第2部 グランズウェルを活用する
第4章 グランズウェル戦略を立てる
第5章 グランズウェルに耳を傾ける
第6章 グランズウェルと話をする
第7章 グランズウェルを活気づける
第8章 グランズウェルの助け合いを支援する
第9章 グランズウェルを統合する

第3部 グランズウェルで変革を起こす
第10章 グランズウェルが企業を変える
第11章 グランズウェルを社内で活用する
第12章 グランズウェルの未来



一言感想
ソーシャルメディアマーケティングの背景と方法論がきれいにまとまっており、とてもよかったです。さまざまな技術やサービスが存在しているために全容が把握しづらい「ソーシャルメディア」というものについて、これほどきれいにまとまっているのはすごいと思いました。

「ソーシャルメディアと長期的にうまく付き合っていきたい」という方にどれか一冊本をおすすめするとしたら、私ならこの本をおすすめします。

また、ソーシャルメディア関連の書籍・サイトを読みあさって知識を深めたいときにも、最初にグランズウェルを一度読んでおくと全体像・見通しがつかめてよいかと思います。

日本ではあまり馴染みのない英語圏のソーシャルメディアの事例が豊富だったのも良いポイントでした。


ピックアップ
中でも学びになったポイントをピックアップします。

グランズウェルとは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す。

まずはここで語られている「グランズウェル」の説明から。この認識が本書の出発点です。

創造のためのテクノロジー:ブログ、ユーザー生成コンテンツ、ポッドキャスト
つながるためのテクノロジー:ソーシャルネットワークと仮想世界
コラボレーションのためのテクノロジー:ウィキとオープンソース
リアクション(反応)のためのテクノロジー:フォーラム、格付け、レビュー
コンテンツを整理するためのテクノロジー:タグ
コンテンツの消費を加速するテクノロジー:RSSとウィジェット

「主な用途」という切り口からソーシャルメディアが分類されています。最後の「ウィジェット」は今で言うならiPhoneアプリ、Androidアプリ、Chromeアプリなどでしょうか。

ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィールは、消費者を次の6グループに分類する。
創造者
批評者
収集者
加入者
観察者
不参加者

名著「キャズム」で提示されていた「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」などの区分は「消費者」を分類したものでしたが、こちらは「ソーシャルメディア利用者」を分類したものです。キャズムの時代には消費者はあくまでも受け身の存在でしたが、ソーシャルメディアの時代の消費者は企業と対等な創造者であったり、コンテンツを集めて他の人に提示する収集者であったりします。

究極の質問:なぜ人間はグランズウェルに参加するのか?
友人づきあい、友人づくり、友人からの圧力、先行投資、利他心、好奇心、創造的衝動、他者からの承認、同好者との交流。

ソーシャルメディアはあくまでもメディアで、そこで展開されるのは「BEFOREソーシャルメディア」の時代と変わらない「人と人のコミュニケーション」です。だから、「なぜ人間はグランズウェルに参加するのか?」という質問の答えは「なぜ人は人とコミュニケーションを取りたがるのか?」という質問とほぼ同じ答えになるようです。

グランズウェル戦略を立てる際は(中略)4段階のプロセスに従う必要がある。各段階の頭文字を取って、我々はこれを「POST」と名付けた。(中略)
P - People 人間
O - Objectives 目的
S - Strategy 戦略
T - Technology テクノロジー

(おそらく)その筋では有名な「POST」フレームワーク。これはグランズウェルにかぎらず、今後「既存技術の新しい組み合わせによる価値創造」が増えるであろう時代に普遍的に使えるフレームワークだと思います。これは要丸覚え、と。

グランズウェル戦略の5つの目的
1 耳を傾ける(傾聴戦略)
2 話をする(会話戦略)
3 活気づける(活性化戦略)
4 支援する(支援戦略)
5 統合する(統合戦略)

従来のマーケティングでは、消費者の購買プロセスを「AIDMA」「AISAS」といったフレームワークで分解して考えることが多かったかと思うのですが、ソーシャルメディアにおけるマーケティングでは、ことはもう少し複雑になるようです。

企業においてソーシャルメディアのマーケティング施策を提案する場合には、意思決定者がこれらの目的と「売上やコスト」との関係性を頭の中に描けているかどうかが最初のポイントになるかと思います。

小さく始める
グランズウェル戦略がもたらす影響を考え抜く
高い地位にいる人物を責任者に据える
テクノロジーの選択とパートナーの選択は慎重に

ソーシャルメディアを活用するときのKSF。

我々はグランズウェル的思考の実践者たちから7つの教訓を学んだ。(中略)
1 グランズウェルでは、すべてが「人対人」であることを忘れない
2 良い聞き手になる
3 辛抱強くあれ
4 好機を待つ
5 柔軟であれ
6 協力する
7 謙虚であれ

ソーシャルメディアを活用するときの基本の心構え。


こんな方におすすめ
・ソーシャルメディアの全容、見通しをつかみたい
・ソーシャルメディアをビジネスで活用したい
・ソーシャルメディア時代のコミュニケーション力を身に付けたい


おまけ
私がいつも読んでいるこちらのブログの方もグランズウェルを過去にレビューされています。
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 - 情報考学 Passion For The Future
グランズウェル - smashmedia

グランズウェルの公式ページ(英語)はこちら。
Groundswell - Empowered


2011/02/16

第3の教育 / 炭谷俊樹

第3の教育」を読みました。

著者の炭谷俊樹さんは、神戸の六甲山で「ラーンネット・グローバルスクール」という小・中学校を運営されています。理系学部の出身でマッキンゼーコンサルティングに10年ほどお勤めの後、新しい教育の実現を目指してラーンネットを立ち上げられました。


きっかけ
「将来、教育や学習支援に関わりたいと思ってます」ということをいろんなところで言っていたら、「近くにこんな人がいるよ」と知人からラーンネットと炭谷さんの存在を教えていただきました。


一言紹介
「第3の教育」では炭谷さんの生い立ちからラーンネットの立ち上げに至るまでのストーリーと、そこで培われた教育観が語られています。教育観の根底には、炭谷さんが2年間を過ごしたデンマークの人々とその教育スタイルがあるようです。


目的
21世紀の教育のあるべき姿を考える際のヒントをもらう
・学校立ち上げのヒントをもらう
読んだ目的は以上2点です。教育観(≒人間観)と立ち上げまでの経緯の両方に興味があり読みました。


目次
A章 私の人生を変えたデンマークの生活
B章 自分で学校を創る決意
C章 ラーンネット誕生
D章 「第3の教育」の実現
E章 見せかけの学力・学歴は要らない
F章 親が変われば、子どもも変わる
G章 私の受けた教育と生い立ち
H章 マッキンゼーで体得したもの
I章 21世紀を生き抜く子ども像
あとがき

A~Iの9章からなります。ABC、Gは主に背景・経緯について、DEF、HIは炭谷さんの教育観について書かれています。


感想
本書を読んで感じたことの中から、3点ほど挙げてみます。

■教育の姿も変わるべき時期に来ている
MUSTという視点から――日本の経済成長が長らく停滞し、少子高齢化が進み、ものやサービスの供給力が需要を上回って、生き方や暮らしの考え方を根本から変えていく必要があります。
CANという視点から――ITの発展や規制緩和によって、子ども自身の意欲を尊重して個別化するような新しい教育が実現できるようになってきています。

■とはいえ第3の教育を実現するは大変そう
新しい教育を行うには、多くの課題がありそうです。
・新しい教育の妥当性が未検証
・求められる水準が高過ぎることによる人材不足
・コンテンツ作成に求められる高い技術力
・親世代の教育観
・お金
さまざまな課題がありますので、すべての人々がこういう形の教育を受けられるようになるには、50年かそこら以上の年月は必要かなと思います。規模はまだまだ小さいとはいえ、ラーンネットがこれらの問題をクリアして運営を継続しているのは、本当にすごいことです。

■既存の教育を全否定することはない
こういった「新しい教育」のあり方が提示されると、既存の教育のあり方が全否定されがちですが、全否定はすべきではないのかなと思いました。今もっとも普及している、標準化された点数主義、職業教師の教育スタイルを、歴史的に見ると、「望んでも教育を受けられない」人々が多くいた時代に「望めば教育を受けられる」という「その時代の理想」を実現したものでした。教育のあり方もあるべき人間像も時代の流れに合わせて、前の時代のものをたたき台として、カイゼンしていくべきものなのでしょう。

この本を読むことで、大変そうだけど面白そうな新しい教育をつくる、ということへの興味がますます強くなりました。


こんな方におすすめ
・日本でモンテッソーリ教育を下敷きとした教育を実践している事例が知りたい
・いきいきしている人を増やしたい
・やさしくてたくましい人間を育てたい
・子どもの自主性と興味を尊重し、良いところを伸ばしてあげたい


おまけ
炭谷さんが運営するラーンネットのページはこちら。見学会なども定期的にされているようです。
ラーンネット・グローバルスクール | 神戸・六甲山の森で独自メソッドによるオリジナル教育を展開

紹介記事もありました。
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん上
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん中
ラーンネット・グローバルスクール代表 炭谷俊樹さん下

2011/02/15

On Talking Terms with Dogs: Calming Signals / Turid Rugaas 2回目



On Talking Terms with Dogs: Calming Signals」を読みました。タイトルを直訳すると「犬と話す言葉:カーミングシグナルについて」。

一冊まるまる犬のカーミングシグナルについての本です。

ずいぶん前に書いた前回のエントリでは、カーミングシグナルの定義や意義といった大づかみの部分について書きました。今回は、カーミングシグナルの具体的な種類について取り上げてみたいと思います。


カーミングシグナルの種類
カーミングシグナルには多くの種類があるとされています。
顔を背ける
目を細める
体を背ける
鼻をなめる
じっと硬直する
ゆっくり歩く、ゆっくり動く
プレイバウ(前足を伸ばす伸びの動作)をする
しゃがむ
ふせる
あくびをする
くんくんとにおいをかぐ
ぐるっと迂回して歩く
(犬と犬との)間に割って入る
しっぽを振る


ふだん犬と接していれば日常的に見るような動作の多くがカーミングシグナルであると言われています。犬と楽しく暮らしたいのであれば、何気ない動作や挙動不審と思える動きも犬にとってはちゃんと意味のある行動だ、ということを認識する必要がありそうです。
(もちろん、ひとつひとつの動作がカーミングシグナルかどうかは、表情や筋肉の緊張度合い、前後の文脈なども考慮して判断しないといけないかとは思います)

面白いのは、これらのカーミングシグナルは、人間がやったときにも、犬はそれをカーミングシグナルだと認めてくれる、というところです。

犬と接するときには、犬がどんなメッセージを発しているのかをちゃんと見て、自分がどんなメッセージのあるジェスチャーをしているのかということに意識的になりたいものです。


一言感想
外国語をきちんと覚えるとその国の人たちとの会話が楽しくなるように、カーミングシグナルも、その表現の意味がわかるようになると犬たちとのコミュニケーションがよりスムーズに、より楽しいものになるんだなと思いました。

情報源は忘れてしまいましたが、少し前に「日本で飼育される犬の頭数が15歳以下の子供の人数を上回った」という話を聞きました。犬がこれほど多くなった社会では、単純に確率の問題で犬絡みのトラブルも増えてきてしまうかと思います。しかし、トラブルの原因の多くは人間の側にあります。より多くの人が、犬とうまくコミュニケーションを取る方法を身に付けられたらいいなと思いました。

またこの本には、本を読んだ次のステップとして何をすべきかというところも(さらっとですが)提案されていますので、その後も継続的に学習を進めることができるので、その点もいいなと思いました。


こんな方におすすめ
・犬の言葉を理解したい人
中身は英語ですが、写真が豊富で厚さも100ページに満たないので、英語に強くなくても犬とのコミュニケーションに興味のある方であれば、買って損はないかと思います。


おまけ
トゥーリッド・ルーガスの公式サイトはこちらです。
Turid Rugaas - Calming Signals Community

2011/02/03

日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方 / 山本敏行



大阪の気鋭のIT企業、EC studio代表の山本敏行さんが書かれた「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」を読みました。


きっかけ
きっかけは、「ITツールでもっと生産性を高めたい」と思ってウェブ検索をしていたときに「人生は時間(時間を何倍にも増やす52チップス)」というブログ記事を読んだことです。その記事で紹介されていたITツールの徹底活用法に驚き、ブログ主の山本さんとEC studioに興味を持ちました。


本の一言紹介
「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」は、EC studioで実践されている「経営ポリシー」と「具体的仕組み」、「IT活用法」が紹介してある本です。

実際に運用されている「経営ポリシー」と「具体的仕組み」が紹介されていて、成果が出た実証済みの「IT活用法」だけが紹介されているという意味で、単なるハウツー集とはまた違った本になっています。

実際に私はこの本にならっていくつかのツールを使い始めました。この本をきっかけにひとつでも新しいITツールがうまく導入できたら、この本を読んだ価値はあるかと思います。


目的
「ITの活用」で最先端を行っている会社の考え方と具体的活用法を学ぶ。


目次
はじめに
第1章 「社員第一主義」の非常識な働き方
第2章 社員の満足度がアップする非常識な制度
第3章 小さな会社が成功するための非常識な戦略
第4章 小さな会社の利益を増やす3つのIT戦略
第5章 モチベーションと利益が劇的に高まるITツール活用法



ピックアップ
ココ!というところを取り上げます。

うまくいっている会社の経営者は、まず、自分の社員のことを第一に考えている!

「人を大切に」というのは松下幸之助の時代(あるいはもっと前)から言い尽くされてきたかと思いますが、本書を読むかぎりEC studioではこれを掲げるだけでなく実践されているようです。ときには失敗するアクションや仕組みもあることと思いますが、トライアル&エラーをしていることが重要かと思います。

ECスタジオでは、経営理念・経営ビジョンといった目指すことだけではなく、会社として「しないこと」を明確にしています。何をなすべきかと同時に何をしないかが重要だと考えています。
(「しないこと14ヵ条」から抜粋)
2 株式公開しない
3 他人資本は入れない
8 売上目標に固執しない
12 会社規模を追求しない
14 日本市場だけにこだわらない

「やらないことを決めて、明文化する」――これは目から鱗でした。「やること」よりも「やってはいけないこと」を決めた方がより指針が明確になり動きやすくなることもあるようです。私もやりたいと思います。

ECスタジオのサービスは「ハイクオリティ・ロープライス」をモットーにして提供していますが、それを実現するためにお客様にもご協力いただいています。
(中略)
最初は勇気がいるかもしれません。でも、「何でもできます!」と言って無理をして、社員が疲弊して結果的に顧客にも迷惑をかけ、自社の利益も減らしているケースが中小企業には多い。そんな負のループから抜け出すために、お客様は神様です思考からパートナー思考へ変えることは、結果的にお互いにとっていいことなのです。

これはアイデアとして言うことは簡単でも実践がなかなか難しいもの。。。意思決定しやすい立場にある人が、びしっと言うしかないかな、と。

ネット上からの情報収集はもちろんのこと、毎年シリコンバレーに出張して、現地では何が起こっているかを視察して、最新情報を入手しています。

「IT企業」という立ち位置でいくなら、冷静な目を持ちながら最先端に触れておくのが大事、とのことでしょう。最先端のものに「飛びつかない」「振り回されない」ためにも、自分自身で触れることが必要のようです。

ECスタジオでいつも心がけていることは他社との差別化です。他社と同じであれば顧客にECスタジオを選んでもらえず、ECスタジオとして存在価値がないということになります。

ポーターが提示した「差別化」か「コストリーダーシップ」のどちらかしかない、という話をきちんとアクションに落とし込まれてるようです。これも自分の商品、自分のビジネスとなると批判的な目をなくしてしまい、ついつい抜けがちな視点です。

ECスタジオでは「こだわる」と決めたことは徹底的にこだわっています。その中でも顕著な例の1つが「1と4へのこだわり」です。(中略) 1と4にこだわると決めてから、数字を決める際に非常にスムーズになり、社員に対しても数字の根拠を話す必要がなくなりました。
会議の参加人数は4人まで

これも、目からウロコでした。地味だけど、すごいと思います。

たとえば、何かの数字を「4で行きましょう」と決めたときに、上司や部下から「どうして3でも5でもなくって4なの?」と問いかけられることがあります。

こういう場合、答えるのは簡単ではありません。0か1のデジタルな意思決定であれば明確な根拠を示すことは比較的簡単ですが、アナログの意思決定(連続値の意思決定)においては「なぜ他でもないその値なのか?」という細かいロジックは詰め切れないということがよく起こります。

そういうときには何がしかの「決め」で意思決定するしかないのですが、権限がある人がその場その場の気分で「今日は2月4日だから、4!」などと適当に決めてしまうと、権限が無い人のモチベーションが落ちかねません。

ですので、「1か4にする」というのを事前に決めておくというこの仕組みはすごいと思います。あらゆるアナログの意思決定を早めるという意味で大きな効果を発揮してそうです。


決まった時間の中で利益を上げようとすると、1人当たりの生産性を高めるしかないのです。
ECスタジオがITを重要視しているのは、活用の仕方によってITが時間を何倍にも増やすことができる「時間製造ツール」だからです。
人が得意なことは人に、ITが得意なことはITにさせるという考え方で、人は付加価値創造が得意で、ITは繰り返し作業が得意(以下略)

こういった「利益観」「IT観」が社内で共有できているのであれば、これがEC studioの強力な強みだと思います。

これは、人のこと、ITのことをきちんと勉強して、きちんと理解していないと実践できないことです。多くの人は「IT活用」という話題を前にすると、IT恐怖症になるかIT依存になるか。

そのどちらでもなく、冷静に正しくITを活用するということ。

今後の10年は、こういうIT観のある企業とない企業との間の格差が、どんどん開いていく時期だと思います。

直接会って話す、電話、メール、チャット、ツイッター、手紙など、それぞれとりたいコミュニケーションの目的、緊急度、重要度によって使い分ける必要があります。社内においてコミュニケーション手法を明確にしておかないと、緊急度も重要度も低いような用件を電話で連絡することがあり、電話を受けた社員の業務を中断させてしまうことになります。

これも「正しくITを活用する」お話。半世紀前に開発されたメールがデファクトスタンダードだからといっていつまでもこれを使うのではなく、様々なコミュニケーションパターンそれぞれの目的と押さえるべきポイントに応じて、適切なものを選ぶことが必要、とのことです。




感想
具体的に今日から真似できる考え方、ITの活用法を学ぶことができました。

私は個人の視点で読みましたが、個人だけでなく、家族の視点、サークルの視点、大企業やその他の大きな組織の視点から読んでもたくさんの学びがあると思います。


こんな方におすすめ
・自分が経営・所属する企業の生産性を高めたい
・強いIT企業のあり方を学びたい
・さまざまなコミュニケーションツールをうまく使い分けたい
・GoogleカレンダーなどのITツールが気になってるが使っていない


おまけ
人生は時間(時間を何倍にも増やす52チップス) - EC studio 社長ブログ
EC studio
IT実践会 - EC studio

2011/02/02

あたらしいあたりまえ。 / 松浦弥太郎


あたらしいあたりまえ。」を読みました。

著者は、現在「暮らしの手帖」の編集長をされている松浦弥太郎さん。

「あたらしいあたりまえ。」は、その松浦さんが発見した「毎日をおだやかに、なおかつしゃきっとして、めいっぱい楽しく過ごすコツ」が詰まったエッセイ集です。毎日の仕事や雑務からは少し離れて静かな場所でゆっくり読むと、旅行に行かなくても旅行気分になれる、すごい一冊です。

まずは余談から
本の内容に入る前にちょっと前置きを。

最近ある発見をしました。それは「旅行気分なら、どんなことでも楽しい」ということ。

旅先であれば、遊んでもごはんを食べても宿に泊まっても。どんなことでも楽しく感じられます。旅先で出会うすべての人やものに「あたらしい感触」が備わっています。

そして、旅行から戻ってきたときには、いつもの部屋や街にもどこか「あたらしい感触」があります。

旅行に行くことの本質は、実はこの「あたらしい感触」を得ることにあるのだと最近思っていて、旅行に出ずして(日常の中で)この「あたらしい感触」が得られるなら、それがいちばん贅沢なことなんじゃないかと考えています。

この視点を日々の暮らし、ビジネスやマーケティングに持ち込めればおもしろいなと思います。ぜひ今後は、こういうところに切り込んでいければと。
(余談ですが、インスタレーション等の(一部の)現代アートの狙いも、この「あたらしい感触」を与えることにあるのだと思います)

この考えのきっかけを私に与えてくれたのが他でもないこの本でした。

目次
全部で50近くの短いエッセイが、明日、今日、昨日、毎日という切り口で分類されて入っています。
はじめに あたりまえの見つけ方
第1章  明日を楽しみに。
第2章  今日もきげんよく。
第3章  昨日にこだわらない。
第4章  毎日をちょうどよく。
おわりに あたりまえの本質

ピックアップ
いいところだらけなので良いポイントを挙げていくとキリがないのですが、、、私が特に良かったと思うところを5つ挙げてみました。

毎日の仕事と暮らしを、つつましくも、常にあたらしくありたいと思っています。
あたらしいというのは、はつらつとした初々しさがあり、ぴかぴかした鮮度があり、やさしいやわらかさがある、ということです。
仕事と暮らしとは社会とのつながりを持つための行為です。そこには人と分かち合うことで得る大きなしあわせがあります。

タイトルにもある「あたらしい」という概念のイメージと「仕事と暮らし」のとらえ方。ここで言う「あたらしさ」とは、歴史的にあたらしいことではなく、自分にとってはつらつとして、ぴかぴかしているもののようです。また、つい忘れてしまいがちな「分かち合うことで得る大きな幸せ」という視点が提案されています。

「ものごとには、功徳と不徳があります。功徳というのは、まったく見返りを求めない無償の行い。不徳とはその逆。(中略)あたりまえに仕事をし、あたりまえに暮らしていたら不徳は増えていくでしょう。だからときには意識して、功徳をしなければなりません

東洋思想を学んだ「ヂェンさん」という方の言葉。「功徳を積む」というのはこういうことなんですね。

どんなときでも、僕には「商売っ気」があります。
(中略)
商売っ気というのは、単にお金を儲けることではありません。
自分が持っている知識、経験、能力などを世の中で機能させること。
(中略)
家で料理を作ることでも、趣味で絵を描くことでも、何か物を売ることでも、自分のすることに対して「商売っ気」をもったらどうでしょう。
もともと好きなこと、得意なことが、もっと好きに、もっと得意になるはずです。

私はつい、仕事は「自分を殺して人に尽くすこと」だと思ってしまいますが、、仕事とは「自分のものを人のためにも活かして、喜びを共有すること」だと捉えられたら、働くことがとても楽しく思えてきます。
自分一人で楽しむのではなく、健全な商売っ気を持つことは人生を豊かにしてくれそうです。

人にはだいたい、友だちプラス知り合いが50人いるそうです。
(中略)
目の前の相手の背後にはそれぞれ50人いるということです。
ちょっとイメージすると、まるで木の枝葉のように広がっていく人の連なりに思えてきます。
(中略)
自分がかかわる人たちと、一生懸命、誠実に付き合っていきたいと思うのです。
(中略)
50人のその人たちこそ、自分に何かを教えてくれたり、幸せにしてくれます。

50人しかいない、と考えると、毎日会う人をもっと大切にしないと!と思えてきます。

自分で決め、自分で果たすものなら、ルールは生きがいになります。だから僕は、毎日を自分がつくったルールによって、楽しくしています。
(中略)
長い階段を一段ずつのぼっていくように、毎日毎日、絶えることのない営みがなければ、目指す場所にはたどり着けないのです。
逆に言えば、ちゃんと毎日階段をのぼるようなルールを決め、それを守ってさえいれば、必ず何かしらの結果は出ます

何も制限のない「自由」よりも、自分で自分を律する「自律」の方が楽しいし、結果も出てうれしい。


・・・こういうことをバタバタする中でもちゃんと思い出せるようになりたいものです。

こんな方におすすめ
・最近、毎日が同じことの繰り返しのように感じる
・毎日の暮らしをもっとハリのある、楽しいものにしたい
・アクセルもブレーキもめいっぱい使えるようになりたい

おまけ
松浦さんについてはこちら
松浦弥太郎 - Wikipedia
松浦弥太郎さん「本当に満たされる暮らしとは?」 - MYLOHAS

本のコーディネートなどを行う「COW BOOKS」の代表もされています。

■通いたくなる書架を。
レストラン、カフェ、ホテルといった施設にて、COW BOOKSセレクトによる書籍閲覧コーナーのプロデュースをいたします。

COW BOOKS

松浦さんが編集長を務める暮しの手帖はこちら
雑誌『暮しの手帖』