2011/03/31

脳が教える!1つの習慣 / ロバート・マウラー 本田直之 中西真雄美


脳が教える!1つの習慣」を読みました。原題は「One Small Step Can Change Your Life: The Kaizen Way」(「小さな一歩が人生を変える――カイゼン法」)。

脳の特性にもとづき、なるべく小さな小さな変化から始めて変化を起こそう、というメッセージの本です。

目的
習慣」についての理解を深める。特に、習慣にかかわる脳の特性を学ぶ。

目次
プロローグ 始まりはすべて「小さな一歩」
第1章 「一つの習慣」だけでうまくいく理由
第2章 小さな質問をする
第3章 小さな思考を活用する
第4章 小さな行動を起こす
第5章 小さな問題を解決する
第6章 小さなごほうびを与える
第7章 小さな瞬間を察知する
エピローグ 脳が教える!一つの習慣

この本からの学びのエッセンスを私なりにピックアップしてみました。全部で6つです。


#1 なぜ脳には「小さな変化」が良いのか?

脳は、大きく3つの部分に分けることができます。
1. 大脳基底核 一番内側  目覚め、眠り、体温調節、鼓動などを司る
2. 大脳辺縁系 真ん中  感情、危険の察知などを司る
3. 大脳新皮質 一番外側  創造(芸術・科学・音楽等)を司る
歴史的に見ると、出来た順番は1→2→3の順。

覚えておきたいポイントは、2の大脳辺縁系が出す信号の方が3の大脳新皮質よりも強力なこと。大脳辺縁系にある「扁桃体」が大きな変化を察知すると、大脳新皮質よりも強い力で「恐怖」の信号を出してしまいます。その信号が出ると、理性の力(3の部分)でのコントロールがうまく行きません。大きな変化が失敗しやすい原因はここにあります。

コツは、「恐怖」の信号が出ないように小さな小さな変化から始めること


#2 習慣化のプロセス

1.体(脳)の原理を知る
2.質問をする
3.イメージで馴らす
4.できるかぎり小さく始める
5.小さなごほうびを絶やさない


#3 変わるのは難しくて当たり前

本来、習慣化というのはとっても難しいこと。そこの認識が持てていないと、習慣化に失敗するごとに自己イメージが下がり、ついには、習慣化に取りかかることさえできなくなってしまいます。どんなに簡単なことでも続けることはすごいこと――この認識が必要です。


#4 一歩踏み出す前のさらに小さな仮想の一歩「マインドスカルプチャー」

マインドスカルプチャーとは、視覚だけでなく五感のすべてを使ってイメージトレーニングを行う方法。習慣化の場合は、実際に一歩踏み出す前に、自分にその行動が身についている状態をイメージします。


#5 なるべく小さく始める

脳に抵抗が起こらないように、とにかく小さく始めること。そして、同じレベルのまま気長に続けること。この2つが習慣化のポイントです。

たとえば、「毎日30分のジョギング」はなかなかできません。だからまずは「ランニングウェアに着替える」というところから。それを1ヶ月毎日続けると、続けていくうちに脳が自然に「もっとたくさんやりたい」と思ってきます。その欲求が生まれたときに、「外に出る」「10分歩く」と少しずつ次のステージへと上っていくとスムーズに習慣が身につきます。

1ヶ月も時間をかけることに抵抗があるという場合は、「短期間で付けた筋肉は短期間で落ちてしまう」のと同じように「短期間で身に着けた習慣は短期間でなくなりやすい」と考えるとよいかもしれません。実感としては、実際そのような気がします。

ちなみに、この考え方は行動分析学で言うところの「シェイピング」や「系統的脱感作」と呼ばれるテクニックに相当します。また、営業における「フットインザドアテクニック」、ニューヨークの治安改善に役立った「割れ窓理論」あたりの考え方のベースもこれと同じようです。


#6 自分へのごほうびを

軌道に乗り始めた習慣をそのまま継続していくコツは「小さなごほうび」。

本書の中でも少し触れられていますが、この小出しの小さなごほうび(報酬)について行動分析学では「トークン」と呼んでいます。クリッカートレーニングの理論的ベース。


まとめ

・習慣化のプロセス:質問→イメージ→スモールステップ→ごほうび
・変わるのは難しくて当たり前
・「マインドスカルプチャー」


・・・以上です。

イメージのわきやすい実例や自分で記入するワークシートがところどころに挿入されているので、とてもわかりやすく実践的に利用することができました。とにかくわかりやすい!


こんな方におすすめ
・習慣化にかかわる脳の原理が知りたい

2011/03/30

デザイン思考の道具箱 / 奥出直人


デザイン思考の道具箱」を読みました。

慶應大学の奥出先生が書いた「デザイン思考(Design Thinking)」がテーマの本。「21世紀のものづくり」(イノベーションづくり)のスタンダードになるかもしれない「デザイン思考」について日本語で体系的に学べる、数少ない情報源です。

ポップで画期的なものを継続的に作り出しているというIDEOへの憧れがあり、その手法「デザイン思考」に長らく興味を持っていたのですが、どの情報を読んでも「デザイン思考」というのが何なのかよくわからなかったため、、本書を手に取りました。


目次
まえがき
第Ⅰ部 デザイン思考で経営する時代
第1章 知識から創造性へ――経営戦略が変わる
第2章 デザイン思考の試み――IDEO、Dスクール、そしてiPod
第Ⅱ部 デザイン思考の道具箱
第3章 創造のプロセス――デザイン思考の道具箱
第4章 経験の拡大――創造のプラクティス1
第5章 プロトタイプ思考――創造のプラクティス2
第6章 コラボレーション――創造のプラクティス3
第7章 イノベーションを評価する――創造のプロセスの下流
あとがき


本書の前提
本書を読む前に、持っておいた方が良い予備知識をいくつか挙げてみます。

■デザイン思考とは
デザイン思考アメリカのデザインファームIDEOが考案した商品開発手法。
IDEOのCEOティム・ブラウンがデザイン思考について次のように説明しています。
“Design thinking is a human-centered approach to innovation that draws from the designer's toolkit to integrate the needs of people, the possibilities of technology, and the requirements for business success.” —Tim Brown, president and CEO
(意訳)
デザイン思考とは、イノベーションを起こすための人間中心主義的なアプローチである。それはデザイナーのツールキットを用いて、1)人々のニーズ2)科学技術の可能性3)ビジネス上の成功、の3つを統合するものである。
―CEO ティム・ブラウン
この説明と必ず一緒にあるのが、互いに重なり合う3つの円の図です。3つの円は上記1~3に対応しており、それぞれ1)Desirability(Human)2)Feasibility(Technology)3)Viability(Organization)と書かれています。図はIDEOのAboutページにあります。

■デザイン思考のプロセス
こちらもIDEOのページから。
The design thinking process is best thought of as a system of overlapping spaces rather than a sequence of orderly steps. There are three spaces to keep in mind: inspiration, ideation, and implementation. Inspiration is the problem or opportunity that motivates the search for solutions. Ideation is the process of generating, developing, and testing ideas. Implementation as the path that leads from the project stage into people’s lives.
(意訳)
デザイン思考プロセスでは、ひとつながりの段階的ステップというよりもむしろ、オーバーラップする空間のシステムというような考え方をします。頭にとどめておくべき3つの空間があります。「inspiration」、「ideation」、「implementation」の3つです。inspirationは解決したいと思わせる問題や機会です。ideationはアイデアを生み出し、育て、テストするプロセスです。implementationはプロジェクトを生活の場へと持っていく道筋です。
inspiration」「ideation」「implementation」、3つの「i」をスパイラル的に高めていくプロセス、とのことです。

■製品・機能・経験の3層構造
「経験価値マーケティング」で提唱されるような、物理的な製品とその機能。機能と生きた人間が得る経験。それらをきちんと区別して顧客に届ける価値を設計しよう、というような考え方。


キーポイント
キーポイントをピックアップしてみます。まだよく咀嚼できていないので、そのままの抜粋になるものがほとんどです。。。

■デザイン思考を意識した創造プロセス
1 哲学とビジョンを構築する
2 技術の棚卸しとフィールドワーク
3 コンセプト/モデルの構築
4 デザイン――デモンストレーション用プロトタイプをデザインする
5 実証
6 ビジネスモデル構築
7 ビジネスオペレーション

■創造のプロセスを実行するのに必要な3つの力
A 経験の拡大 (ステップ2で必要)
B プロトタイプ思考 (ステップ3と4で必要)
C コラボレーション (すべてのステップで必要)

■タンジブルとインタンジブル
モノとサービスの別の呼び方。この視点で見ることにより、サービスにもタンジブルな側面が必要だし、モノを売る場合にもインタジブルな側面をきちんと考慮する必要がある、ということがわかります。

■ビジネスウィークが考えるこれからの企業戦略の変遷
第1段階 技術と情報がコモディティ化とグローバル化を引き起こす(80年代)
第2段階 コモディティ化に伴う空洞化、アウトソーシング(90年代)
第3段階 「デザイン戦略」が「シックスシグマ」を代替し始める(いま)
第4段階 創造的イノベーションが成長を推進する
第5段階 新しい「イノベーションDNA」をもつ創造的企業が勃興する

■マクロイノベーションとマイクロイノベーション
・技術革新が先にあるイノベーション
・顧客ニーズ認識が先にあるイノベーション
マイクロイノベーションを4つ5つ6つ合わせて、大きな市場価値をもつ商品をつくりだしていくのがデザイン戦略である、と。この「マイクロイノベーション」の考え方は、ゲームボーイを開発した故・横井軍平さんの哲学「枯れた技術の水平思考」とも似ています。


一言感想
難しかった、です。。全体像と概念はわかったのですが、「明日からやってみよう!」と思ってもとてもじゃないけど自分にはできなさそうです。。なんだか、プロ野球選手のカラダの鍛え方に関する解説をぼんやり眺めているような気分になってしまいました。

この本をきちんと理解し実践することができれば大きな競争力の源泉が得られるかとは思うのですが、、今はまだ読み解く力が足りないようです。いずれ再挑戦の意味を込めて再読したいと思います。


こんな方におすすめ
・デザイン思考(Design Thinking)に興味がある

2011/03/29

暮らしが変わる40の習慣 / 金子由紀子


「持たない暮らし」の金子由紀子さんの「暮らしが変わる習慣の基本」を読みました。

日々をゆったり、充実させて生きるコツが40コ。エッセイ風にまとめられています。私は「習慣」というものについて理解を深めたいと思いこの本を手に取りました。

目的
習慣」についての理解を深める。

目次
はじめに
習慣って、何だろう?
Chapter 1 暮らしにリズムを与える習慣
Chapter 2 見晴らしのいい部屋をつくる習慣
Chapter 3 シンプルな心とスリムな体になる習慣
Chapter 4 頑張りすぎない、おつきあいの習慣
Chapter 5 今すぐやめる!見なおしたい習慣
おわりに

以下に、私がこの本から得た学びのポイントをリスト形式でピックアップしてみたいと思います。


まずは、「そもそも習慣って何なんだろう」というところから。

習慣の位置づけ

・人は、習慣の束
よい習慣こそ、最大の財産
習慣を変えれば、人生がカスタマイズできる

習慣の意義

少ない負担で不可能を可能にしてくれるもの
・習慣には、心を落ち着かせる効果がある


次に、実際に習慣を取り入れようとしたときに「押さえておきたいポイント」というのを挙げてみます。

習慣化に必要な時間

・食生活の改善と同じ「2週間

習慣化のコツ

・改める習慣は、一度に一つだけ
・習慣化がうまく行かなかったときは、イチからやりなおせばいい
一つ得るためには、一つ捨てる


最後に、本書のメインである具体的な40コの習慣のうち、私が個人的にいいなと思ったものを7つ挙げてみます。

40の習慣のうち特にいいなと思ったものを7つ

1.日記は気持ちのクレンジング
2.床に絶対、モノを置かない
3.自分に必要なモノの適量を知る
4.笑顔は人のためならず
5.住んでいる街と仲良くする
6.デジタル社会にのみ込まれない
7.やる気が出ないときの自分暗示法

・・・以上です。

感想

「習慣」について理解を深めるという目的で読んだのですが、冒頭の「習慣って、何だろう?」という洗練されたくだりを読んで早くも、「あぁ、この本を買って良かった」と思いました。この本はとてもカジュアルなテイストで書かれていますが、「そうそう、そうですよね!」と思わず膝を打ちたくなる言葉がたくさん詰まっています。

何かを始めるときに「自分を変える!」とか「生活を改善する!」なんて思うとちょっと重たいけれど、「習慣を取り入れたり、なくしたりしてみる」と考えると、ちょっと気楽な気持ちで取り組めそうです。

また、「失敗したらまたイチからやり直せばいい」というスタンスで取り組むことも、失敗したときにも自己嫌悪に陥らないために大事なポイントだなと思いました。

実際に挙げられている「40の習慣」にも面白いものがたくさんあり、勉強になりました。少しずつ自分の暮らしに取り入れていきたいと思います。

こんな方におすすめ
・日々の暮らしをちょっとよくしたい
・自分の習慣を見直したい

おまけ
著者の金子由紀子さんのブログ・ツイッターはこちら。
a day in the life
金子由紀子(@nioiaraseitou)
なんでもないふつうの一日も、見方によっては楽しくなるんだなぁと気づかされます。


2011/03/25

成功の教科書 / 原田隆史


成功の教科書」を読みました。副題は「熱血!原田塾のすべて」。

著者の原田先生は、大阪の公立中学校において陸上日本一を7年間で13回達成(!)したという元体育教師。現在は現場で培ったマインドと方法論を用い、教師の育成や企業研修などを主な活動とされているそうです。

この「成功の教科書」は、その原田先生が長年の実践で磨き上げた「心を鍛えながら成功する方法」を紹介する一冊です。

私の人生を変えた本」を5冊挙げるとしたら、この本は必ず含めます。そのくらい、この本と原田先生には影響を受けました。マイバイブル。「仕事と思うな!人生と思え!」。

目次
プロローグ
第1章 成功のための目標設定
第2章 成功のための準備と実践
第3章 成功のための心づくり
第4章 成功のための日誌
エピローグ


この本のエッセンスを0~4でまとめてみました。
0. 成功は「技術」
1. 成功とは 【成功の定義】
2. 成功するために必要なこと 【成功の原則】
3. 成功までのステップ 【成功までの見通し】
4. 目標設定用紙 【成功のためのツール】

0. 成功は「技術」

成功は「技術」――この本からの学びはこの一言に集約されます。

何かにおいて成功するためには「原則」に基づいた「技術」を身に付ける必要があります。この技術は、あらゆる分野に共通した普遍性を持った方法論としてまとめることができます。また、人が成功できない理由は才能がないからではありません。そういったことを、この本は教えてくれます。

※後述しますが、ここで言われる「技術」は何か特殊なものではなく誰にでもできるような単純なことです。単純だけど、実践が難しい。余談ですが、映画「カンフー・パンダ」の中で言われていた「There is no secret ingredients.」という言葉はこういったことを意味してるのだと思います。

※また、「成功」と聞くと「他人を押しのけて自分のことだけを考える人」をイメージしてしまうかもしれませんが、ここで言う「成功」はそれとは全く異なるものです。詳しくは次の【成功の定義】で。

1. 成功とは 【成功の定義】

成功を、この本では次のように定義しています。
成功とは、自分にとって価値のあるものを未来に向かって目標として設定し、決められた期限までに達成すること。


また、目標設定はこうあるべきだと言っています。
人から強制される目標は、真の目標とは言えません。目標は他人と比べるものではないのです。目標設定を行うときには、「自分にとってほんとうに価値のある目標」でなければなりません。

さらには、成功を何度も再現できる「成功のプロ」について。
成功のプロとは、自らを描き、それを目標に変え、方法を考えて、自分でやれる人間。そして失敗しても人のせいにせず自分で責任をとれる人間のこと。このような人間を自立型人間と呼ぶ。

成功がなぜ大事なのか、成功は人生においてどんな意味を持つのかについて。
成功は、充実感達成感満足感を生みます。そして成功を経験することで自己実現の喜びを知り、自己肯定感(セルフエスティーム)が高まってくると、自分の未来に希望が持てるようになっていくのです。
人生は成功するためにあるのです。

成功することの上位目的は、夢に向かい続けること心を磨き自立型人間になること。それらが欠けた人生なんて!と。


2. 成功するために必要なこと 【成功の原則】

上述しましたが、成功するためには、成功するための「技術」を身に付けることが必要だと著者は最初に言います。
成功は「技術」なのです。
「技術」は誰にでも身につけることが可能です。また身につけてしまえば、何度でも反復できるものです。

私はかつて、成功は「個人の生まれもった才能」によるものだと考えていました。今でも「才能」による部分はゼロではないとは思いますが、この本を読んだことで、才能以上に大切なのは「技術」だと考えるようになりました。割合としては「成功は、才能2割、技術8割」くらいでしょうか(もちろん、それを支える環境も大切です)。

さらに、継続的に成功するための「技術」の中身として、著者はこんなことを挙げています。
・期限付きの目標を設定すること
・目標を「必ず達成するんだ!」と決意すること
・目標までの小さな成功(スモールステップ)を積み重ねること
・成功のベースとなるを重視し鍛え続けること 心のコップ 心のつぼ
・目標を途中で見失わないように手入れをすること
・自分へのごほうびを作ること
他人から助けてもらうこと
・分析力と心を高めるために、日誌を続けること
全部を実践するのは難しいのですが、私はこれらのことをなるべく日々意識するようにしています。


3. 成功までのステップ 【成功までの見通し】

成功までの7ステップ。
1.大きなを描く。
2.夢を具体的な目標に変える。
3.目標達成のための方法を考え、「これでやれる」という自分への期待感を高めて、やる気にスイッチON!
4.できることの継続やり切りを強くする。
5.考察と手入れを整理する。
6.培った自分の強み(コンピテンシー)を広め、周囲から認められる。そして自信を持つ。
7.そして、自己実現した別の生き方、人生に到達する。


4. 目標設定用紙 【成功のためのツール】

上記の7ステップに含まれる、最終目標の設定・分析から、方法(スモールステップ)の洗い出し、日々のルーチンへの落とし込み、続く仕組み作りまで。すべてをカバーする目標設定用紙が付録として付いてきます。

シートの埋めるべき項目はどれも日本語としては単純なことですが、実際にやってみるとこれがなかなか埋められません。。それは、成功の技術がまだ身についていない証拠なのでしょう。継続することでしか向上しない、これも技術と言われる所以です。

・・・以上です。

こんな方におすすめ
・達成したい夢や目標がある。
・人生をめいっぱい充実させたいけど、ついダラダラしてしまう。

おまけ
原田隆史公式サイト
原田教育研究所公式メールマガジン
本を買う前に著者がどんな感じの方なのか知りたい、という場合にはぜひメールマガジンを。


2011/03/23

ゼロからはじめる社会企業 / 炭谷俊樹



ゼロからはじめる社会企業」を読みました。

「第3の教育」の炭谷さんが書いた、社会起業(Social Entrepreneurship)のマインドと方法論がテーマの本です。

オビには「魂のこもったプランのつくりかた」とあります。読んで確かに、炭谷さんの技術と思いがこもった本という感じがしました。

一般に、ビジネス書は
・一流の内容が書かれているが、やたらに難しいもの
・内容はわかりやすいが、根拠・理論的な裏付けやまとまり感が弱く心許ないもの
のいずれかに分類されることが多いかと思います。

個人的には、前者は研究者やMBAホルダーが書いたものに多く、後者は我流のコンサルタントが書くものに多いという印象があります。

そんな中、この炭谷さんの本は「内容が一流で、かつ、わかりやすい」という稀なケースの本だと思いました。考えがしっかりしていて、かつ、素人にもわかりやすい。余談ですが、こういった本は守破離のプロセスを辿った人だからこそ書けるのだと思います。




目的
事業の計画と運営について、現状持てていない視点を獲得する。


目次
第1章 テーマを決め仮説を描く
第2章 「人が喜んでくれるか?」を検証する
第3章 「独自性を築けるか?」を検証する
第4章 「収支はとれるか?」を検証する
第5章 起業する
第6章 活動範囲を広げる

起業前の段階において「考えるべきこと」が1章から4章に、起業後の「行動と展開」に関することが5章、6章に収められています。


ピックアップ

■社会起業とは
社会起業とビジネスの起業を明確に線引きする必要はなく、バランスだと思いますが、あえて「社会起業」とは何かと問われれば、「社会価値」を「経済価値」よりもより優先する活動を起こすことだと言えるでしょう。

社会起業のわかりやすい説明。「お金という血液が必要」「長続きさせるためにはお金がうまく循環する仕組みを考えることが不可欠」という点では、社会起業も通常のビジネスと同じです。

■個人の心構え
我々一人ひとりの生活にも「社会価値」と「経済価値」のバランスをとることが必要でしょう。

この本は社会起業に関する本ですが、ここで言われている「一人ひとりの社会的役割」というところに関する認識も、今後10年くらいでガラリと変わっていくのだと思います。


学びポイント

■社会起業の事業ドメイン選定の評価軸
2つの視点から評価すると良い。
1. 社会問題の重要性(市場の視点)
  社会価値
  成長性
2. 自分(達)の適応度(自社の視点)
  経験・資源
  自分の価値観・目標

■社会起業の全体像把握のフレームワーク
1と2のビジョン(WHAT)が一番大切。それを踏まえた上で3(HOW)を適切に行う必要がある、と。
1. 問題意識
2. 提供価値
3. 実現に必要なもの
  人材
  技術・ノウハウ
  資金源

■社会起業において意識すべき関係者
通常のビジネスで考慮するのは主に1・2だけですが、支援してもらうことを望むなら3の視点が必要、と。
1. サービスの「受け手」 …ビジネスで言う「顧客」
2. サービスの「提供者」 …ビジネスで言う「スタッフ」
3. 「支援者」 …通常のビジネスではあまり考慮しない人

■社会起業におけるリーダーシップの2タイプ
1. カリスマリーダー型
2. ネットワーク型
1のぐいぐい引っ張る「ついて来い」型のリーダーシップだけでなく、2のネットワーク型のリーダーシップも持っていると、長い目で見るとうまく行きそうです。

■新しいボランティアの形「プロボノ
専門的な知識と経験を持っている人が、非営利活動に対して自分の持つノウハウを無償で提供するという、プロフェッショナルなボランティア。

■組織のフレームワーク:7S
・Shared Value 価値観
・Strategy 戦略
・System システム
・Structure 組織構造
・Staff 人材
・Skills スキル
・Style スタイル
コンサルティング会社のマッキンゼーが開発したことより、一般に「マッキンゼーの7S」と呼ばれることが多いようです。

■社会起業のメリット/デメリット(通常のビジネスと比べた場合)
・顧客以外からの収入や特別価格でのやりとりがあるため、「自由度が大きい」
・自由度が大きい分考えることが多く、より難しい

■人に直接会うこと、直接話すことの大切さ

■分析の大切さ


一言感想
この本を読むまでは起業というものについて複雑に考えていましたが、この本を読んだことで、シンプルな見通しが持てるようになりました。この本を読んだだけで、実際の起業、運営プロセスが簡単になるわけではないと思いますが、把握すべき全体像をシンプルに見通せたという意味で、この本を読んで良かったです。


こんな方におすすめ
・将来起業を考えている人
・社会起業家に協力したいと思っている人

2011/03/19

アンソニー会計学入門 / ロバート・アンソニー レスリー・ブライトナー 西山茂


アンソニー会計学入門」を読みました。原題「Essentials of Accounting Review」。

会計のエッセンスをぎゅっと凝縮してまとめてある本です。

本のオビには「アメリカ会計学の巨匠アンソニー教授によるハーバードビジネススクールの定番テキスト」とあります。実際に定番なのかどうなのかはわかりませんが、ブレない筆致で企業会計の基本、原則がまとめられていました。


目的
会計の基礎を学ぶ。

自分で事業活動(計画と運営)をする場合に必要な「お金リテラシー」を高めるための一連の勉強の一環。


目次
 1章 基本原則
 2章 貸借対照表の変化:損益の測定
 3章 会計記録と会計システム
 4章 収益と貨幣性資産
 5章 費用の測定:損益計算書
 6章 棚卸資産と売上原価
 7章 固定資産と減価償却
 8章 負債及び純資産の部
 9章 キャッシュフロー計算書
10章 財務諸表の分析
11章 非営利組織体の財務諸表
12章 政府会計



この本のスコープ
この本はこんなことについて書かれています。
・会計の基本原則
・財務3表の構成要素とルール
・財務諸表分析の視点
・営利企業以外(非営利組織と政府)の会計


今回の学びのポイント
■会計の9つの基本原則
一般に、会計においては次の9つの原則が前提とされています。言葉は難しいですが、本書の中身を読むとどれも「なるほど」と思えるものです。
1 貸借一致の原則(Dual-aspect concept)
2 貨幣価値測定の原則(Money-measurement concept)
3 企業実体の原則(Entity concept)
4 継続企業の原則(Going-concern concept)
5 資産価値測定の原則(Asset-measurement concept)
6 保守主義の原則(Concervatism)
7 重要性の原則(Materiality)
8 実現主義の原則(Realization)
9 費用収益対応の原則(Matching concept)

■財務諸表分析の3つの視点
・総合力
・収益性
・効率性

■各会計用語の英語での呼び方
・「貸借対照表」「損益計算書」
 貸借対照表:Balance Sheet
 損益計算書:Income Statement

・「資産」「負債」「純資産」
 資産 :Assets
 負債 :Liabilities
 純資産:Equity

・「流動」と「固定」
 流動:Current
 固定:Noncurrent
 ※このことを知ると、貸借対照表上「流動」が「固定」より上に現れることに合点がいきます

・「複式簿記」
 複式簿記:Double-entry Bookkeeping System

・損益計算書と貸借対照表の別名
 損益計算書:Flow Report
 貸借対照表:Status Report
 ※それぞれ、フローとステータス(静的な状態)を表すことから

・「借方」と「貸方」
 借方:Debit
 貸方:Credit
 ※Debit、Creditを最初に借方、貸方と訳した人はすごい。


感想
会計の基本(概念)がコンパクトにまとめられていて、わかりやすかったです。

ただし、あくまでも過不足のない「教科書」的な位置づけのもの。これ一冊だけで学ぶのは難しそうなので、他のより簡単な会計入門あるいは具体例のわかるドリルのようなものとあわせて読むと良いように思いました。

実際、私の場合はこの本を最初に読んだときはうまく読み進められませんでした。。しかし、一度挫折した後に別の本を読んでから再読するとスイスイわかったので、位置づけとしては、ある程度財務会計リテラシーのある人がすでに持っている知識を整理、体系化するのに読むのがいいと思いました。


こんな方におすすめ
・ある程度財務会計リテラシーがあってそれを確かなものにしたい方
・会計の原則をしっかりと押さえておきたい方

2011/03/04

これで話せる!英語のバイエル 初級 / 大西泰斗 ポール・マクベイ


これで話せる!英語のバイエル」を読みました。

この本は体に馴染むまで使い続けるタイプの本だと思いますので、いまも継続して使っています。いまの時点で約2ヶ月続けています。

目的
生きた英語力を身につける(ゆっくりでもいいので話せるようになる)

一言説明
応用可能な基本例文集」を音楽の「バイエル」になぞらえ、「英語のバイエル」というコンセプトでまとめあげた英語勉強用の本です。

目次
はじめに
Part 1 かんたん英文法(バイエル初級用)
Part 2 The English Beyer Basic
part 3 暗記用切り取り式カード
おわりに

本書の位置づけ

現時点での私の認識では、「生きた英語力」を身につけるためには次の6つのステップを踏んでいくのが良いと思っています。
0. 目的 英語力を高めたい理由を明確にし、モチベーションを上げる
1. 文法 英語の文法をマスターする
2. 音  英語独特の音(母音・子音)の聞き取りをマスターする
3. 例文 簡単な英文を使って体に染み付くまで英語を話す
4. 語彙 語彙力を上げる
5. 量  ひたすら量を増やしていく

このステップのうち、「英語のバイエル」では「1. 文法」と「3. 例文」がカバーされています。

本書からの学び

この本から私が得た学びを3点ピックアップしてご紹介します。
1. 英語は配置のことば
2. 文法の基本原則はシンプルにまとめられる
3. 他言語を話すのは音楽やスポーツと同じ

それぞれどういう意味なのかを以下にご説明します。

1. 英語は配置のことば
英語はね、配置のことば。どの位置に表現を置くのか、がとっても重要なことばなんですよ。
話す練習を続けていると、この言葉の意味がじわじわとわかってきます。日本語を話していると、助詞という便利な道具が使えたり主語や目的語を省略しても意味が通じたりするので「文の中での単語の配置」ということをあまり意識しませんが、英語の場合は助詞がないため、配置をつかって文章の構造や意味を表します。この指摘には目からウロコでした。

2. 文法の基本原則はシンプルにまとめられる
驚くべきことに、英語には基本となる配置がA~Dのわずか4通りしかありません(基本配置)。(中略)修飾などさまざまな枝葉を付けて豊かにする――そのやり方にもわずか4つのルールしかないのです(展開ルール)。
この本では独自の切り口で英文法の基本原則をまとめています。学生時代やたらと難しいものに感じてしまった英文法が「たった4つの基本配置」と「たった4つの展開ルール」ですべてカバーされる、というのは大きな驚きでした。この認識を身に付けると、ややこしく捉えがちな英文法の全体像がスッキリとクリアに見渡せます。

3. 他言語を話すのは音楽やスポーツと同じ
バイエルは、みなさんの頭の中に「形のストック」を作ります。(中略)いつ何時でも、反射的に使うためには、「暗唱する」必要があります。
英語をただ単に「理解できるレベル」を越えて「反射的に使えるレベル」に。この練習こそが重要なのですが、ついついないがしろにしがちです。でも、楽しみながら練習を続けていると、本当に反射的に言葉が口を付いて出てくるようになるから不思議です。音楽やスポーツと同じで、知ったことを体に定着させる練習がとても大切です。

・・・以上です。

一言感想

以上の3ポイントプラス具体的なバイエルが付いてこの値段、というのは本当に安いと思います。ただ単に例文を集めただけではなく、骨太な基本原則に基づいた一冊です。

ただし、使い尽くすためには100時間かそこらは必要だと思って臨む必要があります(私の場合は少なくともそれくらいは必要な感じがしました)。

こんな方におすすめ
・英語をある程度読めるけど会話がうまくできない人(話せるようになりたい人)

おまけ
この本の公式ページや著者関連のページ。
これで話せる!英語のバイエル 初級 公式サイト - NHK出版
English at heart(公式サイト)
「英語のバイエル」、レベル分けについて - 著者大西泰斗さんのブログ
大西泰斗 - twitter
大西泰斗 - Wikipedia


2011/03/01

映画:カンフー・キッド(The Karate Kid)



今回は映画です。映画「カンフー・キッド」を観ました。

先日のカンフーパンダに続くカンフーものです。

この映画は1980年代のヒット作「ベスト・キッド」(The Karate Kid)のリメイク版。舞台が中国に変わり、主人公役はウィル・スミスの息子(ジェイデン・スミス)、師匠役がジャッキー・チェンとなっています。私的には非常に豪華なキャスティングになっていたので、ストーリーは知りつつもまた新たな気持ちで楽しむことができました。

予告編


学び

私が今回この映画から得たもっとも大きな学びは、「一瞬、一秒が修行(修養)だ」ということです。映画ではカンフーを主題にしているけれど、カンフーにかぎらず、これはおそらく人生の中で人が打ち込むすべてのことにおいて。

以下、ちょっとネタバレを含むので観る前に知りたくない方は読み飛ばしていただければと思います。

ちょうど映画の真ん中に、このようなシーン↓があります。

主人公の男の子(ジェイデン・スミス)が、意味のわからない単調な練習ばかりを続けさせられてそれが嫌になり、「もういいよ!」と怒り出します。するとそこにジャッキーが稽古を付けて、直後にこう伝えます。
英語版:
Kung fu lives in everything we do!
It lives in how we put on the jacket, take off the jacket. It lives in how we treat people...
Everything is Kung Fu.

日本語吹き替え版:
カンフーはあらゆる動きの中にある。
ジャケットをどうやって着るか、どうやって脱ぐか。人に、どうやって接するか。
・・・すべてが、カンフーだ。

子どもの頃の私なら、このメッセージはある種神秘的な言葉として(かっこいいだけの抽象的な言葉として)受け止めていたのですが、今なら、少しだけですが、この言葉の重みがわかるような気がします。

意味するところとしては
人生には、練習の時間とそうでない時間があるわけではない。ほんのわずかな「練習の時間」、「練習中の動作」だけが練習なのではなく、人生のすべての一瞬、すべての一秒が練習である。己の体と心を鍛え、磨くときである。
と。そして
またこれは「道徳」ではなく「実利」としての意味も含んでいる。つまり、1日のうちのわずかな練習の時間だけに身体を鍛えるのではなく、24時間あらゆるときに意識して「いま身体を鍛えているんだ」と思う。その方が練習量は格段に増える。そして、練習量に比例して成果も上がる。
・・・ということかなと思いました。

常に気を張りつめておくのはしんどいなと思いますが、「リラックスしながら、かつ、意識して生きる」ということはできそうな気がします。なので、もしそれができるのであればぜひやりたい。

一瞬一秒をどう生きるかで自分が積みあがっていく、自分の体と心が出来上がっている」と意識できている方が、いい行動が取れるはず。

そのような「意識できる時間」を毎日毎日少ーしずつ伸ばしていくことが、人生を通して死ぬまでできる「尽きない遊び」のひとつなのかなと思いました。

・・・良かったです。


こんな方におすすめ
・カンフー好き
・ジャッキー好き(ジャッキーのアクションが少なめでもいい方)

余談
本来の中国語の意味として、カンフー(功夫)は武術だけを指す言葉ではないようです。Wikipediaでは次のように説明されています。
In Chinese, kung fu can also be used in contexts completely unrelated to martial arts, and refers colloquially to any individual accomplishment or skill cultivated through long and hard work
(意訳)
中国語では、「カンフー」という言葉は格闘技以外の文脈でも使われます。何かに熟達することや長期間の鍛錬の末に獲得できたスキルなどを指したりします。


公式ページ
The Karate Kid(英語・公式ページ)

カンフーキッド(字幕版)