2011/04/30

ガラクタ捨てれば自分が見える 風水整理術入門 / カレン・キングストン 田村明子 その2


前回から引き続き「風水整理術入門」について(続きものですので、前回のエントリを読んでいない方はそちらを先に読むことをおすすめします)。

前回はガラクタの定義や整理することの意義など大枠のところについてピックアップしたので、今回は具体的な方法論についての部分をピックアップします。

今回は全部で6点です。


1 ガラクタをどう扱うかの3つの選択肢

実際にガラクタをどう扱うかを考えてみると、取りうる選択肢が3つあることがわかります。目をつむって放っておくか家族に任せるか自分で責任を持って処分するか
・自然のままに任せる(別名、決断放棄型)
・死ぬまで待って親戚に片付けてもらう
・責任を持って自分で片付ける


2 ガラクタ整理の3つの手順

大がかりな「ガラクタ整理プロジェクト」を始める気が出てきたら、いきなり作業を始めてはいけません。最初にやることは、1)全体を俯瞰すること、2)やる気を充填すること、3)作業がサクサク進むための環境を作ること、の3つです。
・リストを作る
・やる気を起こさせる
・段ボール箱、あるいは大きなゴミ袋をいくつか用意


3 ガラクタ整理の審査基準

ガラクタかどうかを判断する基準は「情緒的な便益が高いもの、機能的な便益が高いものは残す。他はガラクタだと判断して捨てる」といったように、シンプルな基準にすることがポイントです。

3つの質問にYESと答えられるものだけ残していきます。
・元気になれる?
・好き?
・使っている?


4 ガラクタ整理をうまく進める3つのコツ

コツとして、1)小さく始める、2)すぐに判断する、3)楽しむ、の3点が挙げられています。
小さなところから始める
ものを分別するときはその場でどうするか決める
作業全体を楽しむ
この本を読む前から小さく始めるのと楽しむことは大事だと認識していましたが、「すぐに判断する」というのポイントは新たな学びでした。


5 ガラクタを捨てた後にすることその1 = 定位置を決める

ガラクタが処分できたら、後は残った大事なものに、居場所を与えてあげます。定位置は、頻度、場所、グループを考えて
・同じような種類のものは、同じ場所に分類する
・使う場所の近くに保存する
・しょっちゅう使うものは、取りやすい場所にしまう
・(中略)本来しまうべき場所に簡単に戻せるようにしておく


6 ガラクタを捨てた後にすることその2 = 適量を保つ

ガラクタが無い、あるいは少ない状況をキープするには、適量を保つ工夫も必要です。適量 = よく吟味 + 入れたら出す
・何かを買う前に、よく考える。どこにしまうのか、どのように使うのか、買う決意をする前によく考えてみること。
・「何かを買ったら、何かを捨てる」というルールを自分で作ってください。

・・・以上です。


一言感想

良かったです。「整理」に関してあらゆることがカバーされてるんじゃないかというほど、非常に内容の濃い良書でした

今回私は焦点を「空間の整理」に絞って読みましたが、風水、カラダの整理(内臓環境を良くすること)といったポイントにおいても非常に内容が厚く学びの多い一冊となっています。そちらに興味がある方にもおすすめです。

おまけ
著者のカレン・キングストンの公式ページはこちら。
the feng shui art of space clearing(風水術:スペースクリアリング)


2011/04/28

ガラクタ捨てれば自分が見える 風水整理術入門 / カレン・キングストン 田村明子


風水整理術入門」を読みました。原題は「Clear Your Clutter with Feng Shui」(風水でガラクタをなくそう)です。

風水のアイデアを取り入れた整理術「スペース・クリアリング」(Space Clearing)を提唱したカレン・キングストンがその独自の整理術について語った一冊です。

整理」についての理解を深めるため整理関連本を探していたときに、Amazonでレビュー300件以上、平均点4点以上と非常に高い評価を受けているこの本に出会いました。実際に読んでみると、高評価であることに納得がいく非常に良い本でした


目次
第1部 「ガラクタ」を理解する
第2部 「ガラクタ」を見分ける
第3部 「ガラクタ」の処分の仕方


この本は風水の考え方をベースに住空間、カラダやココロの「ガラクタ」をどう減らしていくかを解説した本なのですが、今回は風水は抜きにしてシンプルに「空間の整理」にフォーカスして読んでみました(もっと広い視点で読むともっとたくさんの学びがかるかと思います)。

この本をその視点で読んで得られた学びを以下にピックアップしてみたいと思います。今回は全部で4点です。


1. ガラクタ(clutter)とは

まずは、議論の前提となるガラクタの定義から。ガラクタは、所有しているが使わないもの、好きではないもの、適当に放置してしまっているものを指します。
私が言う意味の「ガラクタ」とは、四つのカテゴリーに分類されます。
・あなたが使わないもの、好きではないもの
・整理されていない、乱雑なもの
・狭いスペースに無理に押しこまれたもの
・未完成のもの、全て


2. ガラクタ(clutter)が与える影響

上記のガラクタを放置しておくと、カラダココロ時間お金人間関係など、人生を構成するさまざまな側面で悪影響が出てきます。本書に出てきた「ガラクタの影響」を私なりに分類してみると次のようになりました。

■カラダ面
疲労感
運動不足に陥りやすくなる

■ココロ面
感性が鈍る
気分が晴れない
自分を恥じるようになる

■時間面
余分な掃除を強いられる
探し物が見つかりづらくなる

■お金面
保管するだけでお金がかかる

■人間関係面
親しい人との間でトラブルが起きやすくなる
・物事を延期したり約束を破ったりして他人を大切にできなくなる

■人生全体
人生の展開が遅くなる
大切なことに頭がいかなくなる
人生がどういう状況か不鮮明になる
人生の楽しみを味わう余裕がなくなる

■その他
火事の危険性

問題のサイズ感はそれぞれ異なりますし、中には「整理ができてなくても何も問題ない!」という方もいらっしゃるかと思います。

しかし、部屋が片付いていない人が「このどれひとつといって全く当てはまらない!」と自信を持って言える状況は稀なのではないかなと思います。

私は個人的に、どれも指摘されると納得のいくものばかりでした。。このリストを見ると、「ガラクタを整理しないなんてもったいない!」といますぐにでも整理に取りかかりたくなります


3. ガラクタを整理すると何が良いのか

さきほどはガラクタの問題点を挙げましたが、逆にガラクタを整理するとどうなるのか、というところを見てみたいと思います。

ガラクタの整理をすると、「ココロの中まで整理され、その後の人生が全面的に向上する」という非常に大きな効果があります。整理というほんのちょっとした投資を行うことで得られる見返りは、本当に計り知れません。

「ガラクタ」のクリアリングがこれほど効果的なのは、あなたが自分の外側を整理していくと、同時に内側も整理されていくからなのです。
私が(中略)お勧めしているのは(中略)身のまわりの整理整頓をすることによって、人生の整理整頓を行うということ。
障害物を取り除くことで、あなたの人生には新たなチャンスがめぐってくる余裕が出来てくるのです。
整理された家とは、整理された思考ということです。
机の上が整理されているのは、頭の中が整理されていること。整理された頭には、ヴィジョンと展望が開けます。
きれいな机で仕事をすると、能率が上がりアイディアがひらめき仕事に充実感が生まれます
だから、ガラクタを整理するということはつまらない雑務でも雑用でも何でもなく、自分や周りの人、与えられた人生をもっと大切にできる道に進むために不可欠な一歩、と言っても過言ではないかと思います(・・・とまで言うとちょっと大げさかもしませんが、本当にそう思います・・・)。

ちょっと話は逸れますが、個人的に主婦や主夫(housekeeping)というのは、本人がその気さえ持てば「非常に高度なマネジメント業務」だと思います。筆者もこう言っています。
家をちゃんと世話してあげることは、あなた自身を大切にして愛していることになるのです。
家のものを修理したり改善したりすることは、あなた自身への投資だと思ってください。
「ガラクタ」を処分することは、自分に良いことをしてあげている、という意識を持ってください!


4. モノを手放す第一歩を後押しするアドバイス

モノを手放すことに慣れていないうちは、手放すことは人生の一大事かのように思えます。そんなときは「すべてのものは一時的な借りものなんだ」というアイデアが助けになります。
すべてのものは一時期立ち寄るだけ
人生は常に変化しています。ですから何か新しいものがあなたの人生に転がり込んできたなら、それを満喫してうまく使い、そして時期が来たら手放しましょう。
あなた自身の体すら自分のものではありません。
単なる「借りもの」というのが、一番正しいでしょう。


本書は本当に良書で、他にも取り上げたいポイントがたくさんあります。全部書くと長くなってしまうので、今回はここまで。次回に続きます。


こんな方におすすめ
・きれいな部屋に住みたい
・整理したいのにモチベーションがいまいち上がらない


整理収納アドバイザー公式テキスト 一番わかりやすい整理入門 / 澤一良


一番わかりやすい整理入門」を読みました。

モノと空間の整理について書かれた本で、「整理収納アドバイザー2級」の公式テキストにもなっています。

整理」ということについての理解を深めたくて読みました。


目次
4つの章からなります。
はじめに
第1章 整理はこんなに得をする……わかっていてもあなたの家が散らかる理由
第2章 整理を始める前に知っておきたいこと……整理に対する新しい概念をもってみよう
第3章 整理・収納スキル5つの鉄則
第4章 整理収納アドバイザーというお仕事
第1章は整理の意義・価値について、つづく第2章で整理についての基本的な考え方が、3章で整理の方法論が書かれています。4章は整理収納アドバイザーを目指す方を対象に、1~3章の内容を実際に応用するときのコツやコンサルテーションの際のコツが書かれています。


本書から私が得た学びのエッセンスを以下にピックアップしてみます。今回は合計5点です。


1. 整理にはどんな価値があるのか?

まず、整理にはどのような価値があるのかというところから見ていきます。本書では、整理によってもたらされる効果(価値)の切り口として、1)時間、2)経済、3)精神、の3つを挙げています。
モノの整理をするとどんな効果があるか
・時間的な効果
・経済的な効果
・精神的な効果
時間的な効果は、探し物の時間が短縮されたり、目の前のことに集中できるようになったりすることで効率化されることを意味します。経済的な効果は、ムダにしている時間をお金換算すると○円、といった考え方になります。精神的な効果は、スッキリした気持ちになって、心にゆとりができる効果です。

この3つの価値の他にもうひとつあるのが「見る目が養われる」効果。多くの場合、整理のプロセスの中には「モノを大量に捨てなければならないフェーズ」が存在します。これを経験した後は、新しくモノを買うときに慎重に必要性を見極められるようになります。
慎重に気にいったモノを選ぶこと
長く大切に使い続けること
を覚えた結果、
モノの本質に近づける
ことになります。

余談になりますが、「整理の効果」について語るときは、マーケティングの分野でよく使われる「機能的便益」「情緒的便益」という切り口も便利です。


2. 整理の前提になる「人が所有するモノ」の分類観

持っているモノを4つの領域に分類して捉えるフレームワークが紹介されています。
モノと人との関係の基本領域図
・アクティブ領域
・スタンバイ領域
・プロパティ領域 
・スクラップ領域 
それぞれを私なりに手短に説明すると次のようになります。

アクティブ領域 現役としてよく使っている状態(≒スタメン)。
スタンバイ領域 今は使っていないがいつでも使える状態(≒アップ中orベンチ入りの選手)。
プロパティ領域 所有しているがすぐには使えない状態(≒その他の選手)。
スクラップ領域 廃棄を待つだけの状態。


3. 「整理をする」とはどういうことなのか?

整理された環境を作るための基本プロセスは、不必要なモノを取り除き残ったモノを区別し使いやすいように適切に配置する、です。
整理とは(中略)「不必要なモノを取り除く」こと
整理というのは「区別すること」
整理というのは、モノを使いやすくするためにどうするか、ということ
整理というのは「必要・不必要の区別をすることである」、そして「使用目的別に区別すること」なのです。


4. 整理の8ステップ

上記の整理のプロセスをさらに細かく分類したのがこの8ステップのフレームワークです。これが本書の核の2つめです。
1.所有の意味を考える
2.モノの本質を考える
3.整理の狙いを明確にする
4・狙いからグループ分けする
5.使用頻度でさらにグループ化
6.収納を分析する
7.グループと収納を重ねる
8.指定席の完成
基本的には、まず持つべき考え方と自分の価値観を知り(1・2)、対象となる範囲を整理する目的を明確にし(3)、モノを見て(4/5)、空間を見て(6)、最後に収める(7・8)、という流れになります。


5. 整理のもろもろのコツ

最後に。本の中のところどころで紹介されるコツとして、無闇にインプットせず適正量を保つ増えた分だけ必ず減らす散らかりにくい仕組みを作る身体のサイズに合わせて配置する、といったものが挙げられています。
モノを家に入れることを「止める」という感覚
家の中にあるモノの適正量を決めるということ
(中略)
適正量というのは、(中略)ライフスタイルにぴったりあった、必要なモノの量のこと
同類のモノを新しく増やしたらその分古いモノを捨てます
散らかしやすい環境は避ける
身体サイズ
余談ですが、「身体のサイズに合わせて環境を作る」という考え方を最初に言葉にしたのは、フランスの建築家ル・コルビジェです。コルビジェは人体の寸法と黄金比の考え方をベースにした寸法のセット(数列)「モジュロール」(modulor)を提唱しました。

・・・以上です。


一言感想

興味は持ちながらも、整理収納アドバイザーについてあまりよくわかっていなかったので、この本を読んでとても勉強になりました。この本に載っていることがそのすべてではないとは思いますが、考え方の「エッセンス」はいっぱい詰まっていたように思います。


こんな方におすすめ
・整理がもっとうまくなりたい
・整理収納アドバイザーに興味がある(けど取るかどうか迷っている)


おまけ
本書の監修を行っている(&整理収納アドバイザー資格を認定している)ハウスキーピング協会の公式サイトはこちら。
ハウスキーピング協会

余談に出てきたモジュロールについて詳しくはこちら。
モデュロール - Wikipedia


2011/04/27

掃除道 / 鍵山秀三郎著 亀井民治編


掃除道」を読みました。

著者は、イエローハットの創業者である鍵山秀三郎さん。「凡事徹底」をポリシーに毎日の掃除を50年近くにもわたって継続してこられたという、まさに「掃除の鬼」のような方です。

自分で掃除をするだけでなく、掃除の価値と方法を伝える「掃除に学ぶ会」という活動を日本全国でされています。「日本の歴史の中で掃除について最も啓蒙した人」と言ってもいいかもしれません。

この「掃除道」はそんな著者が「掃除」について語った一冊です。

最近、「整理」についての勉強&実践を続けている一環で、「整理」と近いところにある「掃除」についても理解を深めたかったのでこの本を手に取りました。

目次
本書は大きく3つの部分に分かれています。第1章は、著者が掃除をやり続けることになった背景。第2章は、掃除に対する具体的なマインドとハウツー。残りの第3章から7章までは「掃除の輪」が広まった先での実際のエピソードが紹介されています。
はじめに
第1章 掃除の変遷
第2章 掃除の基本と心構え
第3章 「日本を美しくする会」誕生
第4章 掃除で何が変わったか――企業経営編
第5章 掃除で何が変わったか――学校教育編
第6章 掃除で何が変わったか――地域社会編
第7章 掃除で何が変わったか――海外編
おわりに

読んでみると、どちらかと言うと、掃除のテクニックよりも、掃除の価値の高さを裏付けるエピソードに重きが置かれていました。

私は前者のテクニックの方を学ぶ目的でこの本を読み始めましたが、読んでいくうちに、エピソードや著者の人となりに感動し、最後の方はどちらかと言うとエピソードや心構えに引き込まれて読んでいました。

本書の中で特に私の学びとなったポイントをピックアップします。


1 著者が掃除を続ける理由

著者が50年近くにもわたって掃除をやり続けたきっかけは、1)両親の影響、2)人の心の荒みを減らしたいという思い、の2つだそうです。
私が掃除を始めるようになった動機は、二つあります。
一つは、何と申しましても両親からの影響です。もう一つは、「人の心の荒み」を何としてでも減らしたいという猛烈な願いからです。


2 掃除が続く3つの原則

掃除が継続できるようになるためには、環境作りと工夫が必要です。
掃除をする習慣を定着させるには、掃除の基本があります。その基本を大きく分けますと、次の三つが挙げられます。
1.掃除道具をキチンと揃える
2.掃除道具の置き場所を決める
3.工夫しながら掃除をする
さらに、置き場所を決めるときには、整理整頓をして、すぐ使える状態で保管することが大事、とのこと。
置き場所の整理整頓が大切
必要なものを一目で「誰でもわかる」「誰でもすぐ使える」「誰でもすぐに戻せる」仕組みにすることです。

また、自分自身の楽しみと成長のために、工夫し続ける心構えが大事、とのことです。
たえず工夫改善して進歩することです。
少しでも進歩すれば、楽しくなります。

3 「広く浅く」よりも「小さく徹底」

掃除する時間が少ない場合は、広く浅くやるよりも一ヵ所を徹底的にやる方がいいとのことです。そこで得た小さな成功体験が次につながり、プラスの連鎖が生まれていきます。
私どもがとくに心がけていることは、範囲を限定して掃除を徹底するということです。
これは、掃除にかぎらず万事にあてはまりそうです。

4 著者が徹底して掃除をする3ヵ所

著者がこの本の中で説明していたのは、お店や事務所の周り、営業車、トイレの3ヵ所でした。
外周りの掃除
洗車
トイレ掃除

それぞれの場所を掃除することには、次のような理由(効果)があります。

・外周りの掃除 = 近隣の方に迷惑をかけていることのお返し
会社を経営するうえにおいて、迷惑を避けることができないのであれば、他の何かでお返しできないものか
そういう考えが根底にあって始めたのが、近隣外周りの道路掃除です。

・洗車 = 事故を減らす + お客様から尊重される存在になる
洗車を徹底するようになった理由は、二つあります。
一つは、事故を減らしたいという願い。あと一つは、お客様(取引先)から尊重されたいという強い思いからです。

・トイレ掃除 = 謙虚 + 気づき体質 + 感動 + 感謝 + 心
1.謙虚な気持ちになれる
2.気づく人になれる
3.感動の心が育まれる
4.感謝の心が芽生える
5.心を磨く

5 体験者の声

著者に掃除指導をしてもらった体験者は、感謝の気持ち落ち着き気づき体質謙虚さ行動力達成の喜び(有能感)など掃除を通して得られたものがたくさんあると言っています。
だれよりも変わったのは、自分自身です。
それまでの私は、社員ばかりを責めていたように思います。しかし、社員と一緒に掃除をするようになってから、社員の後ろ姿に心のなかで手を合わせられるようになりました。同時に、少々のことでは動じないようになりました。また、身の周りに起こることの意味を感じられるようになったのです。
トイレ掃除をするようになってから、(中略)いままでの自分がいかに傲慢だったかに気づかされたのです。
そんな私の身の周りで、こんなことが起こるようになりました。
掃除をしている私に患者さんが声をかけてくださることが多くなったのです。(中略)不思議でなりませんでした。
(中略)
おかげさまで、以前とは比べようもないくらい地元の人や患者さんから好評をいただくようになりました。
結果において、患者さんの数が多くなり、業績好転につながったのだと思います。
掃除をすることによって得られた大きな効用の一つが、手間ひまかけることを面倒くさがらなくなったということです。気づいたことを億劫がらずに、サッと処理する行動力が身についたということです
最初は抵抗があったが、やりだしたら夢中になった。楽しかった。
自分が掃除をしたところと、他の人が掃除をしたところを見比べてみて、自分のほうがきれいだった。うれしかった。
掃除をすると、謙遜心が養えます。謙遜心を持つことができれば、立場の上下に関係なく相手に対して誠心誠意応えることができます。
同時に、汚いところを一所懸命に掃除することで、はじめは困難だと思っていても必ず乗り越えられるという意思が芽生え、楽なことを求めず何にでも挑戦できるようになります。

・・・以上です。

一言感想

掃除を続ければ、心が穏やかにそして強くなる――本当にそうだろうなと思いました。掃除を、単なる雑用ではなく、自分を高めてくれて周りにも貢献できる便利な方法だと捉え直すと、掃除の意味が変わってきそうです。

整理だけでなく掃除もしっかりやるようにします。

おまけ
日本を美しくする会 掃除に学ぶ会
「掃除」をテーマとした鍵山秀三郎さんへのインタビュー記事 - 現代ビジネス


2011/04/26

3日で運がよくなる「そうじ力」 / 舛田光洋


3日で運がよくなる「そうじ力」」を読みました。

著者の舛田光洋さんは、「そうじ力」をキーワードに個人・法人の両方を対象に環境整備(整理・掃除)のコンサルティングをやっている方です。

本書では、著者の長年のコンサルティング経験をもとにして、掃除をすることの意義と具体的方法がわかりやすく解説されています。

私は「整理」と関係の深い「掃除」についての理解を深めたくて本書を読みました。整理をすることと掃除をすることは、「良い環境を作る」上での車の両輪だと思います。


目的
掃除」についての理解を深める。


目次
はじめに
第1章 「そうじ」と運命の不思議な法則
第2章 <部屋別>運気を上げるそうじのポイント
第3章 運が10倍速くよくなる「そうじテクニック」
第4章 さあ、今日から覚悟を決めて三日間!
第5章 「そうじ力」なら、どんな願いも思いのまま!
第6章 「プチそうじ」で、いつでもどこでも運気アップ!
おわりに


本書の中から得た気づきのエッセンスをまとめてみます。今回は全部で9点です。


1. 掃除をすることの意義

環境と人は密接にリンクしています。もし今環境が整っていないのなら、自分を成長させる近道は環境を整えることです。
きれいな部屋に住んでいる人は、内面もきれいです。
部屋が汚れているのは、自分を大事にできていない証拠です


2. 著者が提案する5つの「そうじ」

著者は、換気、捨てる、汚れ取り、整理整頓、そして、炒り塩。環境作りとして5つの作業を提案しています。
・換気
・捨てる
・汚れ取り
・整理整頓
・炒り塩
炒り塩というのがユニークです。


3. 換気がもたらす効果

日本を含めた東洋には「気」という概念があります。気は目で見て測定できるものではありませんが、「元気」「やる気」といった「気」に関わる言葉を私たちは日常的に使っています。

これらの「気」を良くするという意味で、換気は重要です。
換気をすると、悪い気を排出して、良い気を呼び込むことができます。
窓を開けて、部屋に新鮮な空気を取り込む。
たったこれだけのことですが、驚くほどの威力を発揮してくれます。
新鮮な空気は、プラスのエネルギーの源です。
きれいな空気を取り入れることは、健康面や衛生園にとって必要不可欠なのです。


4. モノを捨てられないときに失っているもの

モノをいっぱい抱えていると、新しいモノが目の前にやってきても、それをつかむことができません。常に自分をあたらしくするためにはあふれたモノを手放すことが必要です。
部屋がたくさんの荷物であふれているとしたら、それはあなたの心にそれだけ多くの荷物がある、ということです
捨てなければ、新しい運気はめぐってこないし、楽しい未来もやってきません。
これは単なる精神論ではなく、「何にどれだけの時間をかけているか?」という自分の「時間シェア」「意識内シェア」といった概念を考えてみると、とても納得のいくお話です。


5. モノを捨てるコツ

こんな理由で持ったままになっているものは、手放すことを検討した方が良いそうです。
1.過去――「思い出や栄光」
2.現在――「レベルを下げるもの」
3.未来――「いつか使うもの」
4.不安――「もったいないもの」
ただし、捨てるのはあくまでも手段であり、ルール通りに何でもかんでも捨てるのがベスト、とはかぎりません。「なくなったらつらいもの」は残すのが良いそうです。


6. 汚れを落とすときのポイント

汚れの落ちやすさは、「洗剤」「温度」「時間」「」。この4つの変数から決まります。これらを意識して、前者3つ――洗剤と温度と時間をうまく使うことで、必要な力を減らしてラクに掃除することができます。
・洗剤
・温度
・時間
・力
また、その工夫こそが、掃除のプロセスをちょっぴり楽しいものにしてくれるコツでもあります。


7. 整理整頓の意義

整頓とは、モノをあるべきところに置き、仕事や生活を効率化していくことだ、とのことです。
モノを「あるべくところに、あらしめる」のが整頓。
そして整頓とは、目的をスピーディーに達成させるために行なうのです。
一見たいしたことはないと思われる時間のロスも、積み重なれば、とてつもない無駄な時間になります


8. 炒り塩について

「炒り塩」を使う発想はこの本で初めて知りました。試してみます。
カラカラに炒った塩には、部屋の湿気をとると同時に、部屋に残留しているマイナスエネルギーを吸い取る働きがあります。


9. 掃除を失敗しないための最初の2ステップ

いざ掃除に取りかかる前に、優先順位、スコープ(どこからどこまでをやるのか)の2つを明確に決めることが重要です

欲張るのはよくありません。時間は限られています。あっちもやってこっちもと欲張ると「労多くして公少なし」になりかねません。
優先順位を決める→絞り込む→取りかかる
絞り込みができれば、それだけ成果を上げやすくなります。
小さな達成感を積み重ねることで自信が生まれ、やがてリビングなどの広い場所や、キッチンの換気扇と要った大物に取りかかるパワーとなります。


一言感想

よかったです。

わかりやすくて、深い。「まさしくプロだなぁ」との印象を持ちました。

私はこれまで「整理」ということについては深掘りしてきましたが、それと対になる「掃除」についてはあまり深く勉強してきませんでした。しかしこの本を読んで「良い環境作り」に掃除も欠かせないと確信することができました。

一度読んだだけではとても消化し切れないので、また掃除する際に辞書のようにこの本を開きたいと思います。


こんな方におすすめ
・掃除がもっとうまくなりたい
・掃除をしたいのに、なかなかモチベーションが上がらない


おまけ
著者の舛田光洋さんの公式サイトはこちらです。
世界に広がれ!そうじ力! 舛田光洋個人的ブログ
ヘブン-ワールド


2011/04/25

「捨てる!」快適生活―部屋スッキリの法則 / 飯田久恵


「捨てる!」快適生活」を読みました。

著者の飯田久恵さんは、1990年に「収納カウンセラー」として独立した後、20年にもわたって「整理・収納のプロ」としてコンサルティング、セミナーなどを行ってこられた方です。

本書は著者の専門分野である「整理」の中でも特に、多くの人がぶちあたる最大の壁「捨てられない」をクリアするための方法が説明してある「捨てる」ための一冊です。

具体的には、かさばるのになかなか捨てられないさまざまなもの――衣類、本、布団、オーディオソフト、いただき物、新聞・雑誌の切り抜き、領収書、はがき、化粧品などなど――がズラーッと挙げられていって、どう扱えばいいのかがひとつずつ詳細に説明されています。

私は、「整理」についての理解を深めたくて読みました。

目的
整理」についての理解を深める。

目次
はじめに
1章 部屋すっきり、心も軽くなる!「捨てる」整理術
2章 「豊かに」暮らしている人ほど、モノを持たない!
3章 「要るモノ」「要らないモノ」 徹底減量作戦の極意
4章 【場所別・モノ別】 あなたの家の「必携品」リスト
5章 最強の敵 「買いたい衝動」を撃退する!
6章 思いどおりの素敵な部屋に! 飯田式「魔法のプログラム」

私がこれまで「整理」について学んだことは割愛し、この本で特に新しく学んだこと、認識を改められたことをピックアップしてみます。今回は全部で6点です。

1 整理が重要となる背景 = 「ぜい肉が付きやすい時代」

暮らし全体を人間の体になぞらえて、必要だけど過剰にあると弊害をもたらすモノを「ぜい肉」と表現しています。確かに、ぜい肉は適量がいちばん。
日本の経済が豊かだったゆえに、住まいに余計なぜい肉をつけてしまった
私は家の中にある余計なモノを「住まいのぜい肉」と名づけました。
体のぜい肉は、動作を緩慢にし、美しさも減少させます住まいのぜい肉も、面白いほどそれと似ています

2 「捨てる」 = 「何が大切かを知る」

「捨てる」というのは単純にモノを減らすことだけではなく、全体を俯瞰して優先順位を付け、大切なものとそうでないもの、絶対に必要なものとそうでないものを分けるプロセスです。

具体的な「モノ」に向き合いながらモノを着実に捨てていくそのプロセスの中で、自分にとって何が大切かがあぶり出しのようにじわじわと見えてきます。
「捨てる」ということは、まず「何を持つべきか?」を考え、そして「自分の生活にとって大切なこと、必要なこと」を意識するきっかけになります。
「捨てる」ことを通して得られる最大のメリットは、意外にも、「モノを通して自分にとって価値のあることは何なのか」を知ることです。

3 快適な暮らしの特徴のひとつ = 「使いたいモノがすぐ取り出せて身軽なこと」

暮らしが快適であるためには、機能的な側面は無視できません。大切なことのひとつは「可用性(availability)」。使いたいモノがすぐに取り出せることです。
良い収納とは、「自分が許せる範囲の整然感・美感の中で、使うモノを最も早く出し入れできること」に尽きると私は思います。
住みやすい家とは「使いたいモノがすぐ出せる家」
「使いやすい収納」には省エネ効果も!
旅行の荷物の準備・後片づけも簡単!ラクチン!

4 捨てられないモノナンバー1は「衣類」、ナンバー2は「本」

私の場合は、長年捨てられなかったモノ第1位は「本」でした。著者がサービスを行っている中で感じるかぎり、一般には衣類と本が最も捨てにくいそうです。
捨てられないモノの第1位として、多く挙げられるのは衣類です。
本は、収納しきれない、処分できないモノの第2位に多く挙がるモノです。

5 本が捨てられない理由はさまざま

本が捨てられない理由は本当に人それぞれ、さまざまです。
この本が好きだったので、また読みたくなるかもしれない
まだ、内容が頭に入りきれていない。熟読していない
並んでいる本を見るたびに、読破したという満足感を得られるのがうれしい
並べた本の量で、知識人と思わせたい
私の場合は、自分では意識していませんでしたが深層心理で「自分を知識人と思いたい」「人に思わせたい」という気持ちがあったような気がします。私事ですが、今年に入ってから本を数百冊単位で一気に捨てたのですが、捨てた今は「捨てて良かった」と心から思います。

6 飯田さん流の整理収納5ステップ

最初にあふれたモノを捨てて、次に残ったモノを整理収納し、さらに継続する。そのプロセスを細かく分けると全部で5つのステップになります。
飯田久恵の整理収納の法則「モノが片づく5つのステップ」
STEP1 モノを持つ基準を自覚する
STEP2 不要品を取り除く
STEP3 置く位置を決める
STEP4 入れ方を決める
STEP5 快適収納の維持管理
片づかなくなったら繰り返す
また、次のように3つに集約することも可能です。
・STEP1 + STEP2 = 「捨てる」
・STEP3 + STEP4 = 「整理収納の方法」
・STEP5 = 「継続させる方法」
※ちなみにこの「「捨てる!」快適生活」は、このうちのSTEP1 + STEP2を詳しく説明したものです

一言感想

私がこれまで読んだ整理関連本の中で、この本は、最も経験の深い著者が書かれた本でした。実際、ノウハウがたくさん蓄積されており、消費者インサイト、捨てるコツともに納得・共感のいくものがたくさんありました。

またひとつ整理について理解が深まりました。

こんな方におすすめ
・モノがうまく捨てられるようになりたい
・取捨選択ができるようになりたい

おまけ
著者・飯田久恵さんの会社「ゆとり工房」のサイトはこちら。
有限会社ゆとり工房


2011/04/24

たった1分で人生が変わる片づけの習慣 / 小松易


たった1分で人生が変わる片づけの習慣」を読みました。

著者の小松易さんは「かたづけ士」という肩書きのもと片づけ・整理のコンサルタントをされている方です。2005年に独立後、のべ1000人以上もの人を対象に片づけコンサルティングを行ってこられたとのこと。

本書は、そんな片づけ・整理のプロである著者が書いた「片づけのコツ」の本です。片づけの意義、原則とコツが合計44コのコラムにまとめられています

私は「整理」(≒片づけ)についての理解を深めたくて読みました。


目的
整理」(≒片づけ)についての理解を深める。


目次
次のような3部構成となっています。
はじめに
Lesson 1 人生が変わる!「片づけ」のはかりしれないパワー
Lesson 2 意外と知らない 片づけの基本とコツ
Lesson 3 もうリバウンド知らず!片づけを習慣化する方法
おわりに
Lesson 1で「片づけのパワー」すなわち片づけの意義が述べられた後、Lesson 2では散らかった環境を整える方法が、Lesson 3では整った環境を維持する方法が紹介されています。

この本を読む前から私が知っていたことは割愛し、この本を通して初めて知ったこと、あるいは認識が深まったところに絞ってポイントをピックアップしてみたいと思います。今回は全部で8点です。


1. 整理が重要な時代背景

モノと情報の量が日増しに増える現代は、「整理」することの重要性が急速に高まっています。
今では、「モノあまり」の時代になっています。
モノが多いと、ひとつひとつのモノを軽視してしまいがちです。


2. 人のパフォーマンスと環境には深い相関関係があるからこそ、整理が大事

整理をすると気持ちがいい、といった情緒面の価値があるだけでなく、パフォーマンスの面(機能的側面)においても環境を整理することには大きな価値があります。
「あなたの人生」と「身のまわりの状態」はリンクしています。
身のまわりを片づけると、人生が好転し始める。
ちょっと魔法みたいな話ですが、これは理にかなっていることです。
余談になりますが、整理することを覚えた人が経験値的に確信するこの事実を、科学――心理学、認知科学、神経科学など――を用いてきちんと裏付けたいと思っています。


3. 整理は、典型的な「緊急度が低いけれど重要度が高いこと」

整理はすぐにやらなくても問題にならないけれど、長い目で見た場合、するのとしないのとではいずれ大きな違いが生まれてきます。それをわかりやすく教えてくれるものとして、この「10年後のあなた」という発想にはインパクトがあります。
ミス・ユニバース日本代表の専属栄養士であるエリカ・アンギャルさんは「今日あなたが食べるものが、10年後のあなたを変える」と言っています。
これは片づけにも言えます。「今日、あなたが片づけをすることが、10年後のあなたを変える」 これは紛れもない事実です。
片づけは、緊急性はないけれど、人生においてはとても重要なことです。
今日の片づけがじわじわと人生に影響を及ぼしていき、10年後のあなたを幸せにします。


4. 整理が行き届いた理想的な状況とは「何がどこにあるのか」が把握できている状態

環境として理想的なのは「どんなものにもすぐにアクセスできる状態」。その存在や居場所を忘れてしまうくらいのものなら、持っていても持っていなくても大差はありません。しかし、この「押し込んで忘れしまう」パターンは本当によく起こります。。
かたづけの基本動作の最後の項目「しまう」ですが、間違った方向に向かうと、さらに悪い状況を生み出すことになります。
「しまう→押し込む→隠す→忘れる」という負のスパイラルに陥るのです。


5. 整理に関して著者が最も重視する3つのポイント――ゴール・1ヵ所ずつ・4ステップ

著者が片づけ指導において必ず押さえるポイントは、1)ゴールを明確にする2)1ヵ所ずつ取り組む3)明確な4つのステップを踏む、の3つです。
片づけのポイントが3つあります。
1つ目は「ゴール(目標)をはっきり決めてその姿を明確に思い浮かべる」です。
2つ目は「1日15分で1箇所だけ片づける」です。
最後のポイントは「片づけの4ステップ 出す→分ける→減らす→しまう」です。


6. 整理がうまくいかないときに見るべきなのは「つまづきポイント」

整理がうまくいかないときは、整理のどの段階でつまづいているのかを把握することが有効です。それができれば、適切な対策を打つことができます。
私は、「どの段階でつまづくか」を大きく3つのタイプに分類しています。
3つのタイプとは「前」「中」「後」の3タイプです。
・前 はじめられない
・中 うまくいかない
・後 リバウンドする


7. なかなか捨てられないモノを捨てるコツ

整理が苦手な人が一番陥りがちなのが、「捨てられない」状態です。捨てられないときにすぐにあきらめず、自分の価値観と向き合って「本当に必要か?」を判断していくことが、整理ができる人になるためには不可欠です。

その際のヒントとして著者は、他で入手できたり「いつか使うかも」程度の使用頻度だったりするものは思い切って捨てること、を提案しています。
片づけの対象となるモノが「ほかで入手可能なのか/不可能なのか」という判別方法を使うことで、一発で「捨てる/捨てない」を判別することができます。
「いつか使える」と思った瞬間に、それは、一生使うことはありません。「いつか」は永遠に来ないのです。
・他で入手可能なら→捨てる
・迷ったら→捨てる
・「いつか使える」ものは・・・→捨てる


8. 整理をコツコツやる派と一気にやる派

整理ができるようになるために、最初の整理はコツコツやるべきかそれとも一気にやるべきか――ここは議論が分かれるところです。この本の著者はコツコツやるやり方をおすすめしていますが、「人生がときめく片づけの魔法」の著者は一気にやる方法をおすすめされています。
一気に片づけると、とても「リバウンド」を起こしやすくなります。
(片づけの指導のときに)念をおすのが「片づけは細分化して行う」ということです。


こんな方におすすめ
・整理・片づけがもっと上手にできるようになりたい


おまけ
著者の小松易さんの公式ページはこちら。
スッキリラボ
かたづけ士の整理・整頓日記


2011/04/23

ライフオーガナイズ もっと心地いい暮らし方 / 一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会監修


ライフオーガナイズ もっと心地いい暮らし方」を読みました。

監修者の日本ライフオーガナイザー協会とは、アメリカで普及している「プロフェッショナル・オーガナイザー」という職業とその手法を日本に広めるべく2008年に設立された団体です。

この本には、そのライフオーガナイザー協会が提案する整理術の特徴具体的なTIPS写真付きの実例など幅広い内容が載っており、これを読めば一通り「ライフオーガナイズ」の全体像がつかめる!――そんな一冊となっています。

私は最近勉強している「整理」についての理解をさらに深めたくて読みました。

目的
整理」についての理解を深める。

目次
プロローグ
わたしの「心地いい」をつくるライフオーガナイズ
Chapter 1 自分らしくすっきり暮らす一人ひとりの基準と仕組み
Chapter 2 はじめてのライフオーガナイズ
Chapter 3 課題をクリアした一人ひとりの発想と工夫
Chapter 4 快適の仕組みをつくるアイデアとグッズ
エピローグ

個人的に、「プロフェッショナル・オーガナイザー」や「オーガナイズ」についてはこの本を読む前から少し勉強してましたので、そのあたりの部分については割愛し、私がこの本を読んで初めて知ったこと、あるいはクリアになったことだけをピックアップしてみます。今回は全部で6点です。

1. ライフオーガナイズとは俯瞰し仕組み化すること

ライフオーガナイズとは「人生の中のあらゆるものを俯瞰して、自分の価値観と照らし合わせながらより快適になるように仕組み化していく」そんな技術のようです。
ライフオーガナイズは、「空間や暮らし、人生を俯瞰し仕組み化する技術」のことです。
ライフオーガナイズには、「人によって適した方法は異なり、正しい方法はない」という基本理念があります。

2. 一般に整理がうまく行かないのは「価値観」が明確でないから

どうにもうまく行かない場合は、価値観をはっきりさせるプロセスが抜けているかもしれない、とのことです。
自分の『価値観』をはっきりさせる、という最初の一歩。
これは、佐藤可士和さんの超整理法で言うと、視点導入とプライオリティの決定ができていないから。

たとえば、価値観が明確でないときにはこんなことを自分に問いかけてみるのが有効です。
理想の暮らしは?
なりたい自分って?
心地いい部屋とは?
そこで毎日どんなふうに過ごしたい?

3. 生活全体を見渡したときに整理がうまく行かない具体的な理由

整理がうまく行かない理由は大きく分けて次の2つです。1)やり方を知らないのか、2)やろうと思ってもできないか

やろうと思ってもできない場合はさらに2つにわけられて、環境由来のものかその人の性質由来のものかに分かれます。

本書の中ではよくある「片づかない状況」として次の3つが挙げられています。
1.片づけや収納方法を知らない
2.出産や引っ越し直後など、環境や状況の変化が原因で、片づけられない状況に陥っている
3.心理的原因、心や身体の病気、脳の機能障害のために慢性的に片づけられず、生活の質が落ちている
ちなみに、オーガナイザーという職業が主に対応できるのは、このうちの1と2の場合です。

4. 整理することは単純に見えて意外と難しい作業

上手に整理をするためには、対象や状況の認識力、分類や優先順位付けに必要な判断力、モノの配置を考える空間思考力スケジューリング力などなど、様々な能力が必要となる、と述べられています。

確かに、「整理」と一口に言ってもそのプロセスの中でやるべきことはたくさんあります。ですので、ある意味、整理はスポーツのように「いろんな能力が養える格好のエクササイズだ」と考えても良いのかもしれません。頭と体の両方を使うという意味では、脳トレよりもいいかも。
整理や片づけに必要となる能力:
・ものの識別
・要不要の判断
・三次元空間の把握
・用途や頻度の判断
・片づけのスケジューリング
・形状や大きさに合わせた配置

5. オーガナイズでやるべきことは大きく3つ――「減らす」「整理する」「維持する」

オーガナイズ(人生を俯瞰しての整理)で行うことをプロセスで分けた場合、次の3つの作業が存在します。
オーガナイズの手法
1.減らす
2.整理する
3.維持する
これらをごちゃごちゃにやるのではなく、「今どの作業をやっているのかな?」ということをきちんと認識しながらやること(作業プロセスそのものも整理すること)が、整理のコツのひとつかもしれません。

6. モノを捨てるときの判断基準も3つ――「頻度」「状態」「感情」

整理の最初のステップ「減らす」。それをやるにもどこから手を付けていいかわからない――そんな場合には、優先順位(=劣後順位)を決める際に有効な3つの軸が存在します。
「減らす」に効果的な分類キーワード
・使用頻度
・状況
・感情

一言感想

理論がコンパクトにまとまっており事例も豊富だったので、その間を行き来しながら読むことができ、とてもわかりやすかったです。雑誌をパラパラ眺めるような気分で読めて、素直に「整理することってこんなすばらしいことなんだなぁ」と思えました。

ここで学んだエッセンスを取り入れて、私自身の整理の考え方をブラッシュアップしていきたいと思います。

こんな方におすすめ
・整理や片づけの本を何冊か読んだけど、まだできるようになっていない人
・整理や片付けに対するモチベーションを高めたい人

おまけ
日本ライフオーガナイザー協会


2011/04/22

金哲彦のマラソン練習法がわかる本 / 金哲彦


金哲彦のマラソン練習法がわかる本」を読みました。

著者の金哲彦さんは、自身箱根駅伝で2度の区間賞を獲得し、小出監督とともに有森裕子さん、高橋尚子さんなどトップアスリートのコーチも行ったことがあるランニングコーチの方。

本書はその著者がアマチュアランナーに贈るマラソン練習本です。どちらかというと(私のような)初心者向けで、複雑なロジックはちょっと置いておいて、大事なポイントだけをとにかくわかりやすく紹介してくれる。そんな一冊です。


目的
マラソン出場を見据えた練習を始める際の事前勉強
・習慣化の一環としての「継続トレーニング」の考え方を学ぶ


内容
トレーニングについての基本的な考え方と、3タイプのマラソンランナーを対象とした具体的なメニューが紹介されています。3タイプのランナーとは次の3者です。
・初心者:6時間以内での完走が目標
・中級者:4時間以内での完走が目標
・上級者:3時間以内での完走が目標


目次
プロローグ トレーニングメニューのつくり方
第1章 フルマラソンを完走する魅力
第2章 トレーニングの基礎知識
第3章 初心者マラソントレーニング
第4章 中級者マラソントレーニング
第5章 上級者マラソントレーニング
第6章 駆け込み30日トレーニング
第7章 マラソンあれこれQ&A
エピローグ すべてのランナーの成功を願って

本書のエッセンスだと思えるポイントをピックアップしてみます。今回は全部で6点です。


1. トレーニングの効果を高める5つの原則
トレーニングを効果的なものにするために覚えておきたい5つのポイントというのがあるそうです。
意識性 トレーニングに集中する
漸進性 トレーニングを持続すること
反復性 繰り返すことによってはじめて身につく
全面性 すべての運動を意識した全体的な訓練を心がける
個別性 人それぞれトレーニングメニューをアレンジする
※これに「過負荷」「特異性」の2つを加えた7つのバージョンもあるそうです

これらはどれも、特定のスポーツを続けたことがある人であれば経験的に知っているようなことですが、ここでは、漠然と知るだけではなく「言語化して意識すること」が大切なのかな思います。

2. レースから逆算して考える「ピーキング」
レース当日にベストコンディションとなるように準備期間を過ごす考え方「ピーキング」。ボクシングでよく行われているイメージがありますが、マラソンでもこの考え方が有効だそうです。「適切な時期に適切な練習をしよう」という考え方。

プロジェクトマネジメントの考え方とも通じるものがあります。


3. マラソンのトレーニングメニュー
著者は、アマチュアランナーが取り入れられるトレーニングメニューとして次の9つを紹介しています。
・ウォーキング
・ジョグ
・LSD(ロングスローディスタンス)
・レースペース走
・持久走
・ウィンドスプリント
・ビルドアップ走
・坂ダッシュ
・クロスカントリー

この本を読んだ読者は、このリストを素材に、著者のモデルケースを参考にして、全面性の原則、個別性の原則を意識したオリジナルメニューを作ることができます

私は、このメニューの幅を知ることで、マラソントレーニングへの理解がぐっと深まりました。


4. トレーニングの全体像に対する理解
コーチが作成したトレーニングメニューを見るときにランナーに期待すること。それは、「なぜこのメニューなのか」を理解することだそうです。各メニューの意味とピーキングを想定した時間的見通しを知ることで、意識性の原則を押さえたトレーニングが可能となります。
トレーニングメニューを、いわゆる単純なマニュアルとしてとらえずに、トレーニングメニューの構造と意味を理解してほしい。「今なぜ、この練習メニューをこなすのか」という練習の目的を、最終目標を常に意識しながら考えるようにしよう。


5. 月間走行距離の前に気にすべきこと
「走った距離は裏切らない」との言葉のもと「走行距離」ばかり気にするランナーが多いそうですが、それよりももっと前の段階で気にすべきことがあります。それは、自分の現状と目標に合った適切なトレーニングメニューを作ること。いわゆるトレーニングの戦略です。
ただ漠然と距離を走る努力をするだけではダメで、頭をフル活用して自分の身体を最高の状態につくり上げる道案内が、トレーニングメニューなのだ
この考え方は私が最近追求している「習慣化」においても同じことが言えます。習慣化が失敗するのは本人の意思に原因がある場合よりもメニューに原因がある場合がほとんどだと思います。

私の周りを見ていても、マラソンをしている人はこの「頭を使って自分をつくりあげる力」を持っている人が多いように思います。


6. トレーニングのちがいがパフォーマンスのちがい
良いトレーニングが良い結果を生む。悪いトレーニングをすれば良い結果は生まれない。このように、レース当日だけでなく、長期的な因果関係を捉えることが必要、とのことです。
日本のある有名なマラソンコーチが以前こんなことを言った。
世界一になるには、世界一のトレーニングをやればいいんだよ
(中略)
世界一のトレーニングを実行する前に、なにが世界一かということを知る情報収集力と想像力が必要なのだ。
これも「習慣化」に通じる考え方です。「世界一のトレーニング」という言葉にインパクトがあります。

私はこの一節を読んで、「最初にその人にとって一番良いメニューを作ってあとはメンタル面のサポートに徹する」というのもコーチとしてのひとつの理想形なのかなと思いました。


こんな方におすすめ
・我流でジョギングしてきたけれど、マラソン完走を見据えてさらにレベルアップしたい人
・理論をきっちりと押さえて、なるべくケガせず効率的にトレーニングしたい人

2011/04/20

風塵抄 / 司馬遼太郎

風塵抄」を読みました。

風塵抄は、司馬遼太郎が1986年から1991年までの約5年間産経新聞紙上で連載したコラムを一冊の本にまとめたものです。

あるデザイナーの方が「日本人としての背骨を構築する際の糧になる」と推薦していたのをきっかけに読みました。

全部で65個のエッセイが収められています。その中でも、特に今の私に響いたものを4つピックアップしてみたいと思います。
“独学”のすすめ
変る
新について
悲しみ


“独学”のすすめ
司馬遼太郎さんが子どもの頃、教師にある質問をしたら怒声で叱られ罵られたそうです。それは「不愉快な経験だったけど、その教師のおかげで独学の習慣がついたとも言える」と司馬さんは言っています。

その教師の態度はアレかなとは思いますが、偉大な作家司馬遼太郎が生まれたのはこの教師のおかげと言ってもいいぐらいかなと思います。

人生、独学・独力が基本」というのは、サミュエル・スマイルズの自助論のメインメッセージにもなっていて、人生の早い時期に教われば教わるほどよい教訓のひとつだと思います。


変る
中国、三国志の時代に呂蒙(りょもう)という武将がいたそうです。

三国志好きにはお馴染みの武将ですが、子どもの頃は、無知で無学な街のごろつきとして有名だったそうです。それがあるとき心を入れ替え猛勉強を始めたとのこと。結果として、武将になった頃には、高い学識と武略、人柄を備えた人物になっていたそうです。

魯粛(ろしゅく)という別の将軍が、立派な呂蒙将軍がかつてのあの街のごろつきであるという噂に驚き本人に確認したところ、呂蒙はその事実を認め、このように言ったそうです。

士、別レテ三日ナレバ、則チ当(まさ)ニ刮目(かつもく)シテ相待ツベシ

言葉の意味は「人は変われるものだから、再開するときには目をこすって見直す(=刮目する)必要があるよ」。

このエピソードは子どもの頃に聞いた覚えがありますが、最近はすっかり忘れてしまっていました。私も、もう成長できない日が来るまでは、人に自信を持って「武、別レテ三日ナレバ・・・」と言えるくらい、成長し続けていきたいと思いました。


新について
こちらも中国の故事から。

古代王朝・殷を興した王「湯(とう)」は、毎朝顔を洗ったのですが、そのために使う青銅製盤に九つの文字を彫りつけていたといいます。

荀日新、日日新、又日新。
まことに日に新たなり、日日新たなり、又日に新たなり。

孔子の「大学」にも載っている有名なエピソード。何千年も昔の話ですが、当時の光景が目に浮かぶようです。朝目覚めたら、すぐに顔を洗って「今日は新しい一日だ!新しい俺だ!」と言う元気な王の姿。今を懸命に生きる明るい王の姿が想像できます。


悲しみ
司馬遼太郎さんの夏目漱石論が展開されるエッセイです。漱石は、人生において長らく場ちがい感を感じていたといいます。漱石が30歳ぐらいの頃に読んだ句に次のようなものがあります。

菫(すみれ)ほどな 小さき人に 生(うま)れたし

司馬さんは「この一句によって漱石という人がわかるような気がする」と言っています。

振り返ってみれば、後者3つ「変る」「新について」「悲しみ」には共通するテーマありました。それは「成長」ということ。「人はその気になれば、成長し続けられる」ということです。

・・・以上です。


一言感想
司馬遼太郎作品の背景にある広大な知の世界を、ほんのちょっと垣間見ることができたような気がしました。誰もが経験するような身近な出来事も視点の持ち方次第でこうも多様な見方ができるんだ、という驚きと楽しさがあります。

また、今回どの話をピックアップするか選ぶ段階で「今の私は、人の変化と成長ということが気になっているみたいだ」と気づくこともできました。時期が違えば、どの話をピックアップしたくなるかが変わってくると思います。

またときを置いて、読み返したいと思います。


こんな方におすすめ
・司馬遼太郎の世界観が知りたい
・日本人としてのモノの見方、考え方を養いたい


おまけ
Wikipediaの風塵抄のページには、目次が載っています。
風塵抄 - Wikipedia

Wikipediaには、司馬遼太郎についても詳しく載っています。ペンネームの由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(太郎)」だったそうです。
司馬遼太郎 - Wikipedia

2011/04/18

佐藤可士和の超整理術 / 佐藤可士和



佐藤可士和の超整理術」を読みました。

クリエイティブディレクターとして多方面で活躍する佐藤可士和さんによる「整理」論が展開された一冊です。佐藤可士和さんの過去の作品を具体例に、一冊まるごと整理術話が展開されています。

第一線で活躍する人がどのような整理観を持っているのかを知りたくて読みました。

目的
整理」についての理解を深める。

目次
まえがき
1章 問題解決のための“超”整理法
2章 すべては整理から始まる
3章 レベル1「空間」の整理術―プライオリティをつける
4章 レベル2「情報」の整理術―独自の視点を導入する
5章 レベル3「思考」の整理術―思考を情報化する
6章 整理術は、新しいアイデアの扉を開く
あとがき


この本を読んで、本書のエッセンスだと思えた部分をピックアップしてみます。今回は4点です。
1 整理観の背景
2 整理の価値
3 整理を行う上で大切なポイント
4 整理のプロセス

1 整理観の背景

整理が重要だと考える背景にあるのは、「現代は、現状を認識することさえも難しいカオスな状態である」という事実認識です。

物事をよりよくするためには、本質に迫ることが必要。だけど、現状が正しく認識できていなければ、本質に近づくことさえもできない、とのことです。
前提として述べておきたいのが、いかに現代の世の中が混沌としているか、ということです。現状を把握するということが、不可能に近いくらい難しい。
物事の根源まで立ち返って解決しようと思わないと、本当の意味での問題解決にはつながりません。

2 整理の価値

整理ができると何がよいのか。それは「心身ともにスッキリして、ものごとの本質が見える。効率も大幅に上がる。」から、とのこと。
“情報”や“思考”の整理の最終的な目標といえば、「ビジョン=あるべき姿に近づくこと」です。
整理というのは、価値観を変えてしまうほどものすごい力を秘めているのです。身の回りも頭のなかも常にクリアな状態になり、仕事面を含めたライフスタイルが劇的に変わる。
目の前のものを的確な視点で組み替えることで、見違えるほど精度が上がるものです。
人の精神は、視界にすごく左右されます。多くのものが見えていると、気が散ってしまう。
自らの成長とともに整理術も成長し、磨かれていくのです。これを実感するのも、整理の醍醐味といえるでしょう。

3 整理を行う上で大切なポイント

整理を行う上で大切なのは、まず最初に正しい心構え(整理に対するポジティブな気持ち)を持ち適切な順番でひとつずつ、着実にステップを進めていくことです。

具体的なポイントはこちら。
・しようがないという気持ちではなく、仕事の効率を上げるというポジティブな気持ちで取り組む
・思考を情報化する(もやもやとした無意識的な思いを言語化する)
視点を導入し、ビジョン(理想形)を明確に設定する
プライオリティをつけて大切なものを見極め、その他は捨てる
・わかりやすく分類するために、フォーマットを統一する
・モノは定位置に置き、使ったらすぐに戻すルールを作る

4 整理のプロセス

ディレクションを行う際の整理のプロセスは、集約すると3つのステップに分けられる、とのことです。上記3の大切なポイントがここですべて網羅されています。
1.状況把握
2.視点導入
3.課題設定

・・・以上です。

一言感想

佐藤可士和さんといえば、キリンの「極生」、スマップのCDジャケット、ホンダ「ステップワゴン(こどもといっしょにどこ行こう?)」、今治タオルユニクロのもろもろ、などでしょうか。

この本を読む前の佐藤可士和さんに対する私の印象は「強いロジックにもとづいた骨太でミニマルなデザインをする人」でした。

この本を読んでそのイメージは間違ってなかったなと思うとともに、なぜ佐藤可士和さんはそんなことができるのか、そのカラクリが少しわかったような気がしました。名著「アイデアのつくり方」や「いかにして問題をとくか」に書かれていたものに通じる、明確でシンプルなプロセスがその陰にはありました。

良かったです!

こんな方におすすめ
・佐藤可士和さんの創造力の源泉を知りたい
・整理ができる人の考え方を知りたい
・ものづくり・ことづくりに整理の技術を活かしたい

おまけ
佐藤可士和さんの公式ページ
佐藤可士和さんと糸井重里さんの対談「デザイン論」


2011/04/17

行為の意味 青春前期のきみたちに / 宮澤章二


詩集「行為の意味」を読みました。

「行為の意味」は、詩人であり作詞家でもある宮澤章二さんが中学生たちに向けて30年にもわたって送り続けた詩を一冊の本にまとめたものです。

AC(公共広告機構)のCMで詩の一節が採用されたことをきっかけに、この詩集が再販されたそうです。



「こころ」はだれにも見えないけれど
「こころづかい」は見える

「思い」は見えないけれど
「思いやり」はだれにでも見える


宮澤章二さんは、東京大学文学部を卒業後、高校教師を経て文筆家になった方です。その生涯で手がけた校歌は300校以上にも及ぶ、とのこと。「ジングルベル」の歌詞も手がけられたそうです。

この本の詩はいずれも中学生を対象に作られたものですが、中学生の時期をとうに過ぎた私にも非常に強く訴えかけてくるものがあります。子ども向けに作られたからこそ、純粋で人生の本質を真正面から捉えている――そんな詩が多いように感じました。

ひとつひとつの詩に、エネルギーがあります。詩作は宮澤さんにとってまさに人生のライフワーク、魂を込めた仕事だったのでしょう。息子さんが書いたあとがきの言葉にこう述べられています。

詩人にとって
詩作は 自らの生そのものだった

詩作を自らの使命と考え
日常のすべてを詩作に捧げた

人間は 誰しも使命を持って生きている
それを認識するかしないかで
人間の生き様が変わる

詩人は 身をもって
それを家族に教えてくれた

自分の使命を認識し、日常のすべてをひとつのこと(試作)に捧げる。。。すごいことです。

とはいえ、おそらく宮澤章二さんは詩作のために家族を犠牲にすることはなかったのでしょう。これほど息子さんに理解されているということは、きっとそういうことだったんだと思います。


人に元気を出してもらいたいときや、自分自信が元気をなくしてしまっているときには、「自分で見つけながら」という詩が助けてくれるような気がします。

自分で見つけながら
生きることにあきたな なんて言うな
花の乱れ咲く春が毎年めぐって来るように
流れる汗を楽しむ夏も毎年めぐって来る

生きていても楽しくないな なんて言うな
泉のようにあふれ続ける 若い命の力
その力が尽きぬ限り 楽しさも必ず湧く

やりたいことがないよ なんて言うな
やっても仕方ないよ なんて言うな
どうしてもやらなければならないことが
人間のつくる社会には 無限にある

それはなにか それは どこにあるか
みんなが 自分で見つけながら生きている
楽しい遊びを 笑いを よろこびを
幼児たちさえ自分で見つけるではないか


一言感想
最近実用書と呼ばれる類の本を読むことが多かったため、「今年(2011年)は小説や詩をなるべく読みたい!」と思っていたのですが、この詩集を読んでその思いを強くしました。やはり、いい詩にはいろんな良いエネルギーがあります。

バランスが崩れない範囲で、なるべく良い詩に触れるようにしていきたいと思います。


こんな方におすすめ
・最近忙しくて人生を俯瞰する暇がない
・心をスッキリさせたい
・もっと元気になりたい


習慣力 1日1分7つのステップ / 今村暁


習慣力」を読みました。

習慣というものの価値やそれにまつわる原理、習慣化の具体的方法について書かれた一冊です。

著者の今村さんは子ども向けの個別指導塾を経営されており、その経験から培ったノウハウを「習慣」という切り口でまとめ上げたのがこの「習慣力」のようです。


目的
習慣についての理解を深める。


目次
習慣教育を体験した方からの声
第1部 「良い習慣」とは何だろう?
第2部 それでは実際にやってみよう!「良い習慣」が身につく1日1分7つのステップ
第3部 「習慣道」を極める「早起き」「掃除」」「日記」そして「十の誓い」
あとがき


習慣について私がこれまで学んできたポイントは割愛し、今回はなるべくこの本独自のポイントに絞ってピックアップしてみます。今回は合計7点です。

まずは、習慣の議論の前提となる、習慣に対する認識、人間に対する認識から。


1. 習慣 = コンピュータのプログラム

習慣とは「日々の積み重ね」であり、「人間という超高性能のコンピュータの上に載るプログラム」であるという考え方をされています。

この比喩に込められた意味は、1)習慣化や脱習慣は誰にでもできる2)特定の習慣をインストールするにはそれにふさわしいステップが必要、といったところでしょうか。


2. 人間 = 感性 + 理性 + 知識 + 行動

人間は、感性、理性、知識、行動。この4つの要素で説明するとわかりやすいとのことです。車にたとえると、それぞれ
感性 = ガソリン ※夢・目標など
理性 = 車体 ※論理的思考力・判断力・本質志向・計画力・プラス思考など
知識 = マニュアル
行動 = アクセル・ブレーキ・ハンドル ※手・口・足を実際に動かすこと
にあたるそうです。ここから言えることは「すべてがきちんと整っていて始めて夢に向かって走ることができる」と。このたとえも非常にわかりやすいです。

続いて、習慣を身につけることにはどんな意義があるのか、について。


3. 習慣の価値

第一に言えるのは、習慣をコントロールせずして成功することがそもそも難しい、ということ。
「一瞬のやる気」では夢は叶わない
継続なくして成功するはずがありません
実際に「行動」と「継続」がない限り、人は変わりません

もうひとつ言えるのは、習慣の活用は誰にでもできる、ということ。
人は誰でも変わることができます
人は誰もが「行動を継続する」ことで変われるのです

そして、人生は習慣に助けてもらうか足を引っ張られるかで大きく変わる、というポイントも挙げられています。
自分を助けてくれる良い習慣をひとつでも多く持つか、自分の足を引っ張る悪い習慣をひとつでも多く持つかで人生は天と地ほど変わってしまうのです

また、夢が明確にあるならいいが、そうでない場合は習慣がきっかけになる、とも。
世の中の全体の90~95パーセントの人は、この「行動の習慣づくりから入る」ことが大事だと考えています

最後に、習慣化に関わる原理と習慣化のプロセスについて見てみます。


4. 習慣化に関わる原理

習慣化に関係する原理として次のようなものがあるとのことです。
・人間の活動は、感情と意志によって決まる
・感情は、言葉や動作、表情、姿勢などの外面を変えれば変えられる
・意識 = 顕在意識(表面) + 潜在意識(中身) + 感性(核)
・一番深層にある感性にはたらきかけるには内観が必要
・内観をし、頭の中がスッキリすると、ブレーキがはずれ自然に前に進むようになる


5. 習慣化の方法

習慣化を行うには、合計7つのステップを踏むのが有効です。
1.現状認識 「今のままじゃ、まずいなぁ
2.感性、欲求 「変わりたいなぁ
3.「変わるぞ!」と決意する
4.仲間をつくる
5.良い気持ちを味わう
6.反復トレーニングをする
7.維持する仕組みを考える
まずビジョンを持って決意し、仲間の助けやごほうびに支えられながら習慣化に取り組み、最終的には仕組みのサポートを受けながらひたすら続ける、となります。


6. 他の習慣の基礎となる4つの習慣

早起き → プラス思考の源泉
掃除 → 自分の人生をコントロールできている実感
日記 → 内観と自分への励まし
記録シート「十の誓い」 → 習慣化の促進


7. その他注意点

自己啓発本やマニュアル本を読むことが目的化してしまうことに注意、とのことです。「成功哲学マニア」になることと「「成功する人」になることは全然違います、とのことでした。耳が痛い言葉です。


一言感想

実例も豊富に盛り込まれており、実践から練り上げられた考え方だということがよくわかりました。

なかでも、習慣を「コンピュータのプログラム」と捉える視点は非常に直感的でわかりやすく、良かったです。人間を要素に分解して全体的に捉える視点も、習慣化を考える上で確かに大切なポイントだなと感じました。


こんな方におすすめ
・習慣についての理解を深めたい
・習慣化のスキルを身につけたい


おまけ
著者の今村さんの公式ページはこちら。
習慣教育 今村暁 オフィシャルブログ
今村暁について - メンタルリスクマネジメント株式会社
個別指導塾アシスト


2011/04/15

Holistic Learning / Scott H Young


今回は電子書籍。小冊子「Holistic Learning」(ホリスティックラーニング)を読みました。

従来の「ガッツで丸暗記」タイプの方法とは全く異なる新しい学習方法「ホリスティックラーニング」について解説した一冊です。全部で20数ページと短い本ですが、ムダがなくエッセンスが凝縮されている印象を受けました。

著者のScott H Youngは、人生をより充実させること(Get More from Life)をテーマにしたサイトを作っている人です。

ちなみに、Holistic(ホリスティック)とはギリシャ語のHolos(全体)を語源としており、「全体的な」「総合的な」といった意味合いの言葉だそうです。

目次
クイズ
ホリスティックラーニング:イントロ
ホリスティックラーニングと従来の記憶法
建物(construct)をつくる
模型(model)から始める
ホリスティックに学ぶ方法
方法1:肉体化
方法2:メタファー
方法3:探索
ホリスティックラーニングへの反論
サマリー

この本が提唱する「ホリスティックラーニング」のエッセンスを以下にまとめてみます。今回は全部で5点です。

1.ホリスティックラーニングの定義

従来の丸暗記型の学習方法とは異なり、脳がすでに持っている既存の知識を足がかりとして新たな知識を取り込む(編み込む)ような学習方法。

実際の学習方法は「これまでとは全く異なる突飛なもの」というわけではないのですが、この「既存の知識に編み込んでいくイメージ」を持って学習を進めるということが非常に重要です。

2.ホリスティックラーニングにおけるベースの認識

前提となる認識は「脳はネットワークである」というもの。

それぞれ特定の概念を保持したニューロンが互いに接続され、全体として複雑なネットワークを構成しているイメージ。PCのフォルダシステムのように、階層的に整然と配置されたハコの集まりでは決してない。

3.ホリスティックラーニングで提案するアプローチ

ひとつひとつの小さなアイデアをブロックと見立てて、たくさんのブロックを明確な見通しのもとに組み立てて、「建物」(construct)を作っていくようなイメージで学習する。

その際には、全体像の見通しが非常に重要。順序としては、実際の建築と同じように、いきなりブロックを並べ始めるのではなく、小さな「模型」(model)を作るところから始める。

4.ホリスティックラーニング具体的プロセス

次の3ステップで展開する。
1. 肉体化(Visceralization) 視覚的イメージとその他五感的イメージを用いて、既存の知識と新しい知識をリンクさせていく段階。
2. メタファー(Metaphor) 既存の知識によるメタファー(比喩)を用いて、新しい知識の全体像をイメージする段階。
3. 探索(Explore) 肉体化とメタファーのプロセスを通じて構成したネットワークを、演習や実践を通じて体に馴染ませていく段階。
※このあたり、理解が十分ではありません。。

5.ホリスティックラーニングの限界

ネットワーク構造で理解するのにふさわしい何らかのシステムや原理を持った分野であれば、ホリスティックラーニングがプラスの効果を発揮する。

しかし、そのようなシステムや原理が見い出しづらい分野にはホリスティックラーニングのやり方はあまり向かない。その例のひとつは法律。法律はルールが細かいためにシステム的な理解をしようと思っても難しい。

・・・以上です。


一言感想

このホリスティックラーニングの考え方は、さまざまな場面で使える汎用性の高いものだと感じました

もう少しブラッシュアップされていけば、「ロジカルシンキング」や「問題解決技術」と並ぶくらいの、定番の領域横断スキルとして認められていくのではないかと思います。

こんな方におすすめ
・丸暗記ではなく、使える知識を勉強するための効果的な方法が知りたい
・勉強することがいっぱいある・・・
・ついでに英語も勉強したい

おまけ
著者のサイトはこちら。
Holistic Learning EBook(PDF)
Scott H Young

2011/04/11

ブログタイトルを変えました

ブログタイトルを「マーケティング読書録」から「整理と習慣化のための読書録」に変えることにしました。

理由は、私の興味の中心がマーケティング周辺のものから整理や習慣といったところにシフトしてきたことです。

生き方や仕事に向かう姿勢といった「仕事人としてのベースの部分」への関心は以前と変わらないのですが、スキル面における興味がマーケティングなどの「事業活動」に関することから、整理や習慣化といった「暮らしのこと」の方向に移ってきました。


マーケティングについて
マーケティングは「心理学と統計学のミックス」あるいは「アートと科学のミックス」。とても面白い領域です。

マーケティング力を高めたい気持ちは私の中に依然強くあります。しかし、今後数年の間マーケティングに関しては、新しい知識を仕入れることよりもこれまでの学びを駆使して経験を蓄積することに集中したいと考えています。


整理と習慣について
ある切り口から見ると次のように言えるかと思います。整理とは外部環境を整えること習慣化とは内部環境を整えること。いずれも、人生全体、暮らし全体に直結するとても大切なことです。


QoL(クオリティオブライフ)を向上させようとするときの、そのアプローチ方法はさまざま。まさに人それぞれです。何を幸せに感じるかが一人ひとりちがうため、アプローチ方法はちがって当然です。

しかし、そのアプローチを実現するときのベースの考え方(プロセスやフレームワーク)には、共通で普遍性のあるものがあるんじゃないか、と今の私は考えています。

・・・そのあたりを部分を本を通していろんな方から学び、深掘りして、凝縮し、エッセンスを共有していく。そんなことをこのブログを通してやっていければと思います。

ちなみに、「○○ハック」と呼ばれるものや「生活の知恵」「シンプルライフ」「オーガナイズドライフ」と呼ばれるものが「整理と習慣」の上位概念にあるということも認識はしています。

いずれはそこにもアプローチしたいのですが、私の今の力量でダイレクトにそこに行くと収集のつかない濫読になってしまいそうなので、今は整理と習慣に関すること(プラス、これまで通り「仕事に向かう姿勢」に関すること)になるべく集中させたいと思います。

自助論 / サミュエル・スマイルズ 竹内均


自助論」(竹内均翻訳版)を読みました。原題は「Self-Help」。

人生をいかに生きるべきか」を豊富な事例を用いてさまざまな切り口から解説した本です。

英語版は1859年に出版され、日本語版は明治初期に「西国立志編」というタイトルで出版されたそうです。明治の終わりまでに100万部売れ、福沢諭吉の「学問のすすめ」と並んで明治の青年たちを奮い立たせた一冊だったと聞きます。

本書の例に挙がっているロールモデルは日本人には馴染みの薄い名前ばかりですが、これでもかというくらい豊富な具体例と偉人の発言が紹介されていて刺激的。

この本はとことんポジティブで読むといつも元気になれるため、数年前に買ってから繰り返し読んでいます。

目次
1章 自助の精神
2章 忍耐
3章 好機は二度ない
4章 仕事
5章 意志と活力
6章 時間の知恵
7章 金の知恵
8章 自己修養
9章 すばらしい出会い
10章 信頼される人


本書の内容は多岐にわたるため、グッとくるポイントは読む人によって異なるかと思います。以下は、あくまでも私なりにグッときたポイント。今回は全部で6点です。

1. 自助の精神

自助の精神を持とう!――これが本書のメインメッセージです。
天は自ら助くる者を助く
(中略)
自助の精神は、人間が真の成長を遂げるための礎である。
人から援助してもらうことも必要だけど、成長の核となるのは常に自分の意志と努力である、と。つい人のせいにしそうなとき、なるべくこの言葉を思い出すようにしたいものです。

2. 人に対する援助や教育のあるべき姿

人を長期にわたって助けたいのなら、魚をあげるのではなく、釣りの方法を教えるのでもなく、自助の精神のメリットを伝えることこそが必要なのかもしれません。
いかにすぐれた制度をこしらえても、それで人間を救えるわけではない。
いちばんよいのは何もしないで放っておくことかもしれない。そうすれば、人は自らの力で自己を発展させ、自分の置かれた状況を改善していくだろう。
最良の教育とは、人が自分自身に与える教育である
(中略)
学校教育は、真の教育のほんの手始めにすぎず、精神を鍛え勉強の習慣をつけるという意味でのみ価値がある。
いつの時代も、最良の教師たちは自己修養の重要性を真っ先に認め、自力で知識を習得するよう学生を励ましてきた

3. 習慣の価値

私が最近注目している「習慣」についての記述もありました。
最大限の努力を払ってでも勤勉の習慣を身につけなければならない。
人間は習慣の寄せ木細工であり、習慣は第二の天性なのだ。
詩人メスターシオは、「人間においては習慣がすべてだ。美徳でさえも習慣にすぎない」とまで断言した。
習慣は若いうちほど身につきやすく、一度身についたら終生失われはしない。ちょうど木の幹に刻まれた文字のように、時代を経るにつれて大きくなっていくのだ。
人生の若い時期に得た習慣は、悪に対する真の防波堤となる。なぜなら、人間が品行方正になるのは習慣を通じてであり、モラルが損なわれないよう守ってくれるのもまた習慣の力なのだ。
習慣は人間の「美徳」というきわめてマインド寄りの部分とも直結していると言っています。私も最近こう思うようになりました。習慣と独立したマインドはありえません。

4. 決意・集中・努力

決意をし、目の前のことに集中し、ひたすら努力を続けること。実践するのは難しいですが、やるのもやらないのも自由――となると、やらない手はありません。
どんな分野であれ、成功に必要なのは秀でた才能ではなく決意だ。あくまで精一杯努力しようとする意志の力だ。
絵画にしろ他のどんな芸術にしろ、卓越した作品を生み出そうと意を決したなら、朝起きてから夜の眠りにつくまで全精神をそこに傾けなければいけない
ねばり強く努力を続ければ、誰でも人に抜きん出ることができる
卓抜な技量は、努力によってのみ与えられる。すぐれた才能を持っていれば、勤勉がその才能をいっそう高めるだろう。能力が人並みであっても、勤勉がその欠点を補うだろう。努力が正しい方向へ向けられてさえいれば、決して裏切られることはない
困難は乗り越えるためにある。だから、ただちに困難と取り組め
(中略)
困難を征服しながら、われわれは学んでいく。一つの困難を克服すると、それが新たな困難に立ち向かう助けとなる。
誰でも、才能があろうがなかろうがひたすら努力していれば何かはつかめますよ、と。本書のこの身も蓋も無い感じというかやたらにポジティブな感じが私は好きです。そりゃそうですよね。がんばろ。

5. 人生の目的

人生の目的は人間性を高め続けることにある、と。ワタミの渡辺さんも同じことを言っています。人生最大の創作物は自分自身。
人生の最高の目的は、人格を強く鍛えあげ、可能な限り心身を発展向上させていくことである。これこそ唯一の目標であり、それ以外のものはこのための手段にすぎない。
われわれは、自分が「いかにあるべきか」、そして「何をなすべきか」を自分自身で選び取る必要がある。
この問いの答えを自分で決めるというのが、人生の自由であり義務でもあり、面白いところです。

6. 勤勉・正直・感謝(訳者)

巻末の「訳者のことば」にこうありました。
私の理解では、自己実現とは①自分の好きなことをやって②十分に食うことができ③のみならずその結果が他人によって高く評価されることである。
そして、その方法としては勤勉正直感謝以外にないというのが私の結論である。
これは竹内均さんの信念として方々で紹介されているそうです。勤勉さも正直さも感謝の気持ちも、すべて10代のうちに知るような簡単な概念ですが、ここにこそ本質がある、と。


・・・以上です。


一言感想

本書が今から150年以上も前に書かれ、150年もの間いろんな形で読み継がれてきたということに、単純に、すごいと思いました。私が生まれるずっと前に生きた人が私を刺激し励ましてくれてると思うと、非常に感慨深いものがあります。

こんな方におすすめ
・自分の人生に対してもっと主体的になりたい
・もっとポジティブになりたい


2011/04/08

最新脳科学で読み解く脳のしくみ / サンドラ・アーモット サム・ワン 三橋智子


最新脳科学で読み解く脳のしくみ」を読みました。原題は「Welcome to Your Brain」。

2人の著者のうち、ひとりは科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」の元編集長、もうひとりはブリンストン大学の神経科学准教授。神経科学の第一線で活躍する2人の科学者が書いた、一般向けの脳科学本です。アメリカで2008年に発売されベストセラーになった一冊だそうです。

習慣」と「学習」への理解を深めるという視点から読みました。


目次
第1部 脳の世界とあなたが住む世界
第2部 脳で感じる五感
第3部 脳の一生
第4部 感じる脳
第5部 考える脳
第6部 変性意識状態の脳


「習慣」と「学習」という観点から見た本書のエッセンスをピックアップします。今回は7点です。


1. 効果的な学習方法「散らばり学習」
散らばり(スプレッドアウト)学習」のメリットは大きくて確実。間隔をおいて2度勉強すると、おなじ時間、休みなしに勉強するより、2倍も学習できる。間隔をおいた訓練は、年齢や能力に関係なく、すべての学生に有効で、学習内容や教育方法も問わない
これはよいことを聞きました。このことが知れただけでも、この本を買ったかいはある気がします。すごいのは、誰でも使えるどんな内容でも使える、という点。スキマ時間をもっと有効に使いたいと思います。


2. 学習に関する特性は何によって決まるか
わたしたちが学ぶことは、種の生物学的特徴、個々の遺伝的要因、個人的体験など、多くの要素に影響される。
当たり前のことかもしれませんが、学びやすさは個人的体験だけでなく、1)種の特徴2)遺伝にも影響される、とのこと。ということは、人間という種の特徴や自分のDNAを考慮して適切な学習方法を選ぶことができれば、より少ない労力でより効果的に学習することができそうです。人間の特徴として
人間は並外れて視覚的な動物
というのがあるみたいなので、「図解」シリーズの本を使う、学びを自分で図にまとめてみる、などやれることは色々ありそうです。


3. 良いビジョンを持つことやイメージトレーニングの重要性
自分にあてはまる否定的な固定観念が頭にはあると、人はできが悪くなるんだ。
すぐれた成果を出している人の多くは、訓練のはじめに、自分が達成したいと思う結果を、何度も頭の中でリハーサルするようになる。望む結果をくり返し思い浮かべることは、脳のなかに強い心的イメージを生みだすために、とても効果的なやり方だ。
セルフイメージやセルフエスティーム(自尊心)というものがパフォーマンスに影響することが科学的に実証されている、と。傲慢になってはいけませんが、ほど良い自信を持つことは大切。


4. 一番の脳トレは運動
年をとった脳を健やかに保つのにいちばん効果的な方法(中略)は運動。
中年期に定期的な運動をしている人は、していない人とくらべ、70代にアルツハイマー病にかかるリスクが3分の1になる。
体を鍛える訓練は、コンピューターを使った脳の訓練で示されているどんなメリットより、何倍も大きな効果がある。
・・・神経科学者の結論は「結局運動がいちばん!」と。。ふだんから頭をよく使っていることが前提だとは思いますが、ストレスを減らす、脳の血流をよくする、などなど運動にはいろんな効果があるそうです。運動がおろそかだった時期が悔やまれます。ちゃんと運動しよう。


5. どんなことにも馴れてしまう
大きな出来事は、意外にも、幸せに持続的な影響をおよぼさない。(中略)わたしたちの幸せは、よい出来事や悪い出来事に対して一時的に強く反応したあと、人それぞれの「設定値」に戻る傾向があるらしい。これは「適応」と呼ばれる。
幸福感を高めようとする意図的な試みは、効果が長つづきするものはあるけど、頻繁にくり返すのがいちばん効果的らしい。
経験値的に誰もが知っている「慣れ」についてのお話。単発の非日常ではなく、日常の暮らし(習慣化)の方が大切、ということがわかります。


6. 幸せ度を上げる方法
幸せの研究はまだはじまったばかりだけど、「行動訓練」は幸せを高めることが(中略)証明されている。(中略)よく効くものをいくつか紹介しよう。
肯定的な出来事に焦点をあてる
自分の性格の強みを使いつづける
感謝を忘れない
ここでも「強み」に注目することの大切さが説かれています。また、感謝の気持ちを持つことは自分自身にとっても良いとのことです。


7. 脳には即時性が大事
経済理論の研究からわかってきた一般原則がひとつある。「費用と報酬は目前のことでない場合はあまり重要でなく、遠い将来のことであればなおさら重要でないらしい」ということだ。
人間の脳は長期の計算はできないので即時性が大事――この認識は行動分析学(行動修正法)の基礎になっています。


・・・以上です。一番最初の「散らばり学習」を筆頭に、すぐにも応用できそうな知識がいっぱいあります。

今回は「習慣」「学習」という切り口からピックアップしましたが、それ以外にも豊富な話題が入っており、読み物としても非常に楽しく読める良書だと思います。


こんな方におすすめ
・脳について今人類にわかっていることをわかりやすくたくさん知りたい


おまけ
著者らの公式サイト(英語)はこちら。
Welcome to Your Brain