2011/05/14

人生が豊かになる 禅、シンプル片づけ術 / 枡野 俊明


人生が豊かになる 禅、シンプル片づけ術」を読みました。

著者は、禅寺の住職で庭園デザイナーでもある枡野俊明(ますのしゅんみょう)さん。多摩美術大学の教授もされており、「禅」「日本庭園デザイン」「教育」という3つのプロ視点を持っておられる方です。

一言で言うと、本書は「禅+片づけ」な一冊です。禅宗の考え方や禅寺における修行のあり方をヒントに、一般の人たちが「うまく片づけをする方法」「シンプルに暮らす方法」「心豊かに生きる方法」が説かれています。

今回は「片づけ(整理)」と「掃除」についての理解を深めることを目的に読みました。

目次
はじめに
第1章 禅に学ぶ、持たない暮らし方
第2章 禅的 シンプル掃除&片づけ術
第3章 暮らしが変われば、生き方が変わる
おわりに

今回は、ポイントを片づけ(整理)と掃除に絞って学びをピックアップしたいと思います。今回は全部で4点です。


1 「片づけ」や「掃除」の前提となる人間観・住居観

「なぜ、片づけや掃除をする必要があるのか?すると良いのか?」を知る上でのヒントとなるのが、禅の人間観・住居観です。禅によると、人間というのは、本来、曇りのない純粋無垢な存在です。
私たちは、生まれつき一点の曇りもない、鏡のような心を持っています。
禅には、「本来の自己」という言葉があります。
本来の自己とは、ひとかけらの曇りもない純粋無垢な自分自身のこと。私たちが生まれ持っている、仏様と同じ性質「仏性」のことです。

本来は曇りのない人間の心も、日々の生活を続ける中で塵やほこりが自然とたまっていきます。毎日体を洗うのと同じように、心を磨き洗うために、身の周りの掃除、片づけが必要となります
心の曇りを取り払い、ピカピカに輝かせるつもりで掃除をしてください。そうやって調えた空間で過ごせば、おのずと心の曇りもつきにくくなるでしょう。
仏性を磨き出すために、掃除をするのです。

また、人間は奇跡とも呼ぶべき縁の連なりの中で生きています。そのため、自分の命は自分だけのものではありません。一時の「預かり物」と言うべきようなものです。
両親、祖父母、曾祖父母……と、自分から10代遡ると、ご先祖様の数は1024人にものぼります
(中略)
ご先祖様から途絶えることなくつながってきた尊い命は、あなたひとりのものでは決してありません。いわば、ご先祖様からの「預かり物」です。

自分の命が預かり物なのであれば、自分だけの意思で粗末に扱ってはいけません。
尊い預かり物である自分を、よい環境に置くという責任も私たちは負っています

以上が禅の人間観。一方で、住居観としては、「あるべきものをあるべきところに」、「家のどの部分も大切な場所」といったものがあります。
あるべきものが、あるべきところに、あるべきようにある」という言葉は、禅では真理を表し、また、ひとつの理想を表しています。
玄関には玄関にあるべきもの、リビングにはリビングにあるべきもの、寝室には寝室にあるべきもの。それらがきちんと整えられ、あるべきようにある。これが、心がもっとも落ち着く理想的な空間なのです。
履き物をそろえる。そんな小さなことに、その人の「人となり」が必ず表れます。
本来、玄関は玄妙なる修行の空間に入るための入り口。襟を正して入らなければなりません。
(中略)
玄関は、人で言えば「顔」にあたります
禅の世界では座禅を組む僧堂と同じように、トイレもお風呂も大切な修行の場だと考えられています。
どんなに他の場所で贅を尽くした家でも、トイレとお風呂がお粗末だったら、その家全体の格が下がります。
台所は、命の糧を作り出す大事な場所です
(中略)
禅寺では(中略)食事を作るのは尊い役目であり、また大切な修行なのです。

著者は、その他の家の場所にも重要な役割があると考えています。
客間や床の間は、おもてなしの舞台です
リビングは、ありのままの自分に戻れる場所です
シンプルで快適な寝室がよい眠りを作り、よい明日を作ります
書斎は、仕事や勉強はもちろんのこと、じっくりものを考えたり読書をしたりする、いわば自分と向き合う場所です。
庭は人なり」という言葉があります。
(中略)
1年365日見続ける自分の家の庭やベランダの風景から、私たちは大変大きな影響を受けます。
こう見ていくと、身の周りのモノ、空間のどれひとつとして、なおざりにしていて良いものはないように思えてきます。


2 空間を整える「片づけ」と「掃除」の意義

1の人間観、住居観にもとづき、片づけと掃除には次のような意義があります。
・心のゴミや塵を払う
・心を落ち着かせる
心を磨く
ご先祖様からの預かり物である自分の命を大切にする
あるべきものがあるべきところにあるようにする
・自分や家族が暮らす大切な家を清らかな場所にする
・未来の自分の生活と人格をつくる
・たくさんの人の手を経て自分のもとにやってきたものを大切に扱う
・探し物をしなくてもいいようにする
・夢想無念「そのものひとつ」の感覚でものごとに取り組む「修行」
・即断即決で今この瞬間を精一杯生きる「修行」
執着やこだわりを手放す
喜捨
陰徳を積む


3 片づけの流れ

片づけのステップは大きく2つ、1)部屋をあるべき姿にリセットするフェーズ2)あるべき姿を維持するフェーズ、に分かれます。1はさらに、不要品処分汚れを落とす整理整頓。この3つのステップに分けることができます。
まず必要なのは、部屋を「あるべき姿」にするリセット期間です。
不要品を処分する→汚れを落とす→整理整頓するという段取りで行うと、効率よく作業ができるはずです。


4 片づけのコツ

片づけのコツとしては以下のようなものがあります。
捨てる基準を作って迷わず即決する
・不要なものは他の物に見立てる
・どんな状態であれば良い状態だと言えるのか、観察して学ぶ
無心で没頭する
・仲間を作る
・人からのいただきもの→込められた思いの深さで捨てるかどうか決める
・服→衣替え時に見直す
・かばん→適量・適所を心がける

・・・以上です。

一言感想 「禅は生活学」

本書を読んで得た最大の発見は「禅は生活学だ」ということです。

この本を読む前の私は、禅に対してどこか「崇高で難しいイメージ」を持っていました。しかし、この本を読んでみると、書かれている禅の教えはどれもシンプルで日々の暮らしに直結することばかり。「ちょっとやってみようかな」と思えば即実行できることがたくさん書かれていました。

また、本格的に禅を取り入れる――「持たない暮らし」や「掃除」「座禅」などを行う――ために特別な道具なども一切ないため、禅の教えは誰でも今すぐに取り入れることができます。

禅のベースは仏教で、仏教は宗教のひとつに位置づけられますが、むしろこれは「生活学」と呼んだ方がその実質に近いのかなと思います(ちなみに、ブッダの教えを読んだときには「仏教そのものが生活学に近いんだ」という印象を持ちました)。

こんな方におすすめ
・片づけ(整理)や掃除ができるようになりたい
・禅の教えを日々の暮らしに取り入れたい
・禅における掃除の考え方を知りたい

おまけ
著者の枡野さんの公式サイトはこちら:
徳雄山建功寺+枡野俊明+日本造園設計

著者の枡野さんのプロフィール:
枡野 俊明
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授、ブリティッシュ・コロンビア大学特別教授。2006年のニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。著書に「禅、シンプル生活のすすめ」「禅的シンプル仕事術」「そのままで 心を楽にする禅の言葉」など。

類似書:
本書の住空間に対する考え方に近いものとしてはカレン・キングストンの「ガラクタ捨てれば自分が見える 風水整理術入門」が、掃除の本質は空間を磨くことではなく心を磨くことにあるとする考え方に近いものとしてはイエローハットの鍵山さんの「掃除道」があります。


2 件のコメント:

花咲爺 さんのコメント...

hgさん、はじめまして。
読者登録ありがとうございました。多彩な趣味とブログの本数に感服です。今後とも、どうぞ宜しくお願いします。

hg さんのコメント...

花咲爺さん、はじめまして

コメントいただきありがとうございます!
Sepia Styleで取り上げてらっしゃる歌はまさに「日本人の心に響く歌」ですね。今後も楽しませていただきます!

今後ともよろしくお願いいたします。