2011/08/21

シンプリシティの法則 / ジョン・マエダ 2回目


シンプリシティの法則」を読みました。

著者はコンピュータ科学者でありグラフィックデザイナーでもあるジョン・マエダ氏。現在はRISDの学長も務めている方です。そのマエダ氏がものごとをシンプルにする方法について綴ったエッセイ集がこの「シンプリシティの法則」です。

数年前に買って以降何度も読んでいるのですが、私には理解するのが難しく、今回5回目ぐらいにしてようやくほんのちょっと理解できたような気がします。私には難しい一冊。

整理(シンプリシティ)のコツ

本書で紹介されている整理のコツを私なりに再編集してみました。

整理のコツ(基本編)
整理は大きく2つのステップからなります。
  1. まず第一にモノを減らす(WHAT)
  2. そして次に、残ったモノをルールをもって揃える(HOW)


そして、第一ステップは次の4ステップから構成されます。
  1. 削減(reduce)
  2. 縮小(shrink)
  3. 隠蔽(hide)
  4. 具体化(embody)

第二のステップも同じく、4つのステップからなります。
  1. 分類(sort)
  2. ラベリング(label)
  3. 統合(integrate)
  4. 優先度づけ(prioritize)

整理のコツ(応用編)
上記の2ステップに加えて次の事柄も理解しておくと、さらに高いレベルでの整理を行うことができます。
  • モノや空間の整理と同じように、時間も整理することもできる。時間も整理の対象である
  • 知識を得たり、対象を信頼したり、安心したりすることで、ものごとをシンプルにできるレベルは高まる。
  • ただし、何でも整理すればいいというものでもない。この世には、整理しきれないものや整理すべきでないものも存在する。
  • 整理とはとどのつまり、大事なものを残し、その他のものを捨てていくことである。
  • そして、究極の整理は、「人生の中で一番大切なもの」だけを残すこと
  • 感情は大切。感情を犠牲にしてまで整理をする必要はない
  • 前提として、複雑なものが存在するからこそ、(相対的に)シンプルなものが存在できる。

・・・以上です。

それぞれに具体例を挙げていくとわかりやすいかと思うのですが、ここにそれを書くとものすごく長くなってしまうので、、、今回例は割愛します。

私は上述のとおり本書の内容を構造化しようと試みましたが、もとは「10の法則」という名前の一次元リストです。

ピックアップ

最後に、特に印象に残った言葉をピックアップしてみます。
テクノロジーのおかげで、私たちの生活はますます満たされるようになった。だが不快なものに「満たされる」ようにもなった。
複雑なテクノロジーが私たちの家庭や職場に押し寄せ続けるだろう。したがって、シンプリシティはきっと成長産業になるはずなのだ。
シンプリシティとは(中略)企業がみずからに固有のコンプレクシティに立ち向かうための重要な戦略的ツールとなっているのだ。
フィリップスは、全製品ラインだけでなくビジネスの手法全体を、シンプリシティを軸に再編成しようとしていたのだ。
シンプリシティを実現する最もシンプルな方法は、考え抜かれた削減を通じて手に入る。
重要な少数(バイタルフュー)
感覚は形態にしたがう(feeling follows form)
テクノロジーと人生が複雑になるのは、そうなるがままに任せておくときだけである。
テクノロジーはイネイブラー(力をくれるもの)であると同時に、ディセイブラー(力を奪うもの)ともなりうる。

一言感想

私の場合、シンプリシティという言葉に耳馴染みがなく、そのまま読むとなかなか理解できなかったのですが、それを整理という言葉に置き換えて読むぐっと理解が深まりました。言葉を読み替えることで著者の意図と外れることもあるかと思いますが、こういう読み方もあってもいいのかなと知り、勉強になりました。

未整理のエッセイ集だからこそ読者に考える余白があって、とても「頭を使う」良い一冊だと思います。

また、本書の中でiPodのクリックホイールについての考察がなされています。感応式ディスプレイが普及してクリックホイールは過去のものとなりつつありますが、あれはあれで美しかったし操作感良かったなぁと懐かしく思い出しました。

こんな方におすすめ
・シンプルデザイン、ミニマルデザインを志向するデザイナー
・より効果的なデザインを行いたいデザイナー
・複雑な状況や情報をうまく整理したい方

おまけ
公式サイトはこちらです。
Laws of Simplicity


2011/08/08

話すチカラをつくる本 / 山田ズーニー


話すチカラをつくる本」を読みました。

1時間くらいで読めるとても短い本ですが、その中に、生涯にわたって使えそうなコミュニケーションの大原則がぎゅっと凝縮されて収められています。

著者の山田ズーニーさんは、進研ゼミ小論文編集長を担当した後独立し、「文章力」を中心とした「考える力」「表現する力」を伸ばすことをテーマに活動されている方です。

目次
1章 7つの要件で想いは伝わる!
2章 おわび・お願い、人を説得する技術
3章 共感の方法ーー人を励ます・誤解を解く
4章 信頼を切りひらく! メッセージの伝え方

ポイントをピックアップしてみます。今回は7点です。

伝わるメッセージの7つの要件

ちゃんと相手に伝わるメッセージを作るためには、次の7つの要素をチェックするとよい、とのことです。

  1. 自分のメディア力
  2. 意見
  3. 論拠
  4. 目指す結果
  5. 論点
  6. 相手にとっての意味
  7. 根本思想

「自分のメディア力」というのは、相手にとって自分がどれだけ信頼できる人なのか、ということ。人はメッセージの中身を受け取る前に「それを言ってるのは誰なのか」ということを重視します。だから、メッセージを発する前にまず「自分のメディア力」を確保することが大切です。「メディア力」は「ブランド力」と言い換えてもよいかもしれません。私はこのあたりが、まだうまくできていない気がします。

「意見」「論拠」「論点」「相手にとっての意味」はセットになっており、どういうテーマについて(論点)、どういう主張を(意見)、どういう事実や認識に基づいて(論拠)言っているのか、そして相手にとってそれはどういう意味を持つのか(相手にとっての意味)ということです。

そして、「目指す結果」はそもそもそのメッセージは何のために伝えたいのか、という理由。

「根本思想」はおそらく「メディア力」を支える一要素に位置づけられるかと思います。

考えるための道具

考えるための道具とは「問い」です。成果につながる考えは、まずは有効な問いを立てるところから始まります。このあたりのことをミステリー作家で大学教授の森博嗣さんもおっしゃっていました

考えるときの視点

物事を考えるときには、自分を中心に、空間的、時間的に範囲を拡げていくことで、多角的な視点をもってバランスよく考えることができます。
  • 空間:自分→社会→世界
  • 時間:過去→現在→未来

お詫びの6要素

相手に思いが伝わるお詫びには、次の6つの要素がきちんと盛り込まれています。
  • 相手理解
  • 罪の認識
  • 謝罪
  • 原因究明
  • 今後の対策
  • 償い

依頼の構造

お詫びと同様に、相手に思いが伝わる依頼には、次の5要素が入っています。
  • 自己紹介
  • 相手理解
  • 依頼内容
  • 依頼理由

信頼の第一条件

人が信頼されるために第一に大切なことは「つながり」

過去→現在→未来という、時間の中での、その人の連続性。それと、その人と他の人、その人と社会とのつながりです。

正論が通じない理由

私は、相手のことを思って相手のために言ってるつもりなのにうまく伝わらない、ということがよくあります。その原因のひとつがこの本の中に書かれていました。反省です。。。
正論が通じない理由のひとつは、正論を言うとき、自分の目線は、必ず相手より高くなっているからです。
相手は、正しいことだからこそ傷つき、でも正しいから拒否もできず、かといって、すぐに自分を変えることもできず、「わかっているのにどうして自分は変われないんだ」と苦しむことにもなりかねません。正論は、相手を支配します。
ですから相手は、あなたのことを「自分を傷つける相手だ」と警戒します。
何か正しいことを言うなら、相手との関係性をよく考えてください。言葉は関係性の中で、相手の感情に届きます。

もっと相手と同じ視点で、相手にとって本当に役立つことが言える人間になりたいものです。。。

・・・以上です。

一言感想

書いたり、話したり、読んだり、聞いたり。コミュニケーションを行ううえで大切なことは、この本の中にすべての書かれているように思いました。あとは実践、ですね。

こんな方におすすめ
・コミュニケーション力を高めたい
・もっとうまく人を励ませるようになりたい
・もっとうまく信頼を得られるようになりたい


2011/08/05

チーズはどこへ消えた? / スペンサー・ジョンソン 門田美鈴


チーズはどこへ消えた?」を読みました。

チーズが大好きな2匹のネズミと2人の小人。この4人の行動習慣に焦点をあてたとてもシンプルなショートストーリーです。

英語版は1998年、日本語版は2000年の出版。私は今回初めて読んだのですが、10年前の発売当時に結構話題になった一冊だったことを覚えています。

著者は「1分間マネジャー」「1分間意思決定」で有名なスペンサー・ジョンソンです。

目次
ある集まり シカゴで
物語 チーズはどこへ消えた?
ディスカッション その夜

3部構成です。ネズミと小人の物語「チーズはどこへ消えた?」を中心として、その前後に読者の臨場感を高めたり理解を促進するためのお話がひとつずつ差し込まれています。

この本のエッセンス = 変化に前向きに適応しよう

読む人によって解釈はさまざまかと思いますが、この本のメインメッセージは次のようなものです。

  • 望むと望まざるとにかかわらず、外部環境の変化というのは起きるものだ
  • だから、変化を予期し、受け入れ、変化に適応しよう
  • すでに起こった変化の原因にこだわったり自分に責任がないことを主張したりしても、状況は変わらない
  • だから、つべこべ言わず進んで変化に適応することだ
  • そして、できることなら変化を楽しもう
  • 自分が変化し続ければ、次々と新しい報酬(幸せ)が得られるのだから

変化に前向きに適応しようーーこの教えをただ言葉で説明されても、なかなかピンとは来ません。しかし、この本のネズミと小人の物語を通して間接的に訴えられると、妙に心に刺さるといいますか、納得するものがあります。

私にも、無意識のうちに変化を恐れたり、変化の原因が自分以外の誰かにある場合は変化を拒絶してしまったり、という経験が数えきれないくらいあります。

私はちょうど最近「もっと一皮むけないといけないな・・・」と感じていたところだったので、タイムリーに私の背中を押してくれる一冊となりました。

良書でした!

こんな方におすすめ
予想外の環境の変化が身のまわりでよく起こる方
自分を変えるのは難しいなぁと最近感じている方

おまけ
本書の変化に対する考え方に通じるものとしては

  • 仏教の諸行無常
  • ダーウィンの進化論
  • ラインホールド・ニーバー(Reinhold Niebuhr)の「変えられないことを受け入れる冷静さと、変えるべきものを変える勇気と、その2つを見分ける知恵を与えたまえ」という言葉(「20代にしておきたい17のこと」の中で紹介されています)

などがあるかと思います。

現代は人類の歴史の中でもとりわけ「時代に素早く適応していくこと」が強く求められる時代だと思うのですが、仏教にも似たアイデアがあるということは「状況を受け入れ、変化することが大事」というのは昔から言い尽くされてきた。それほど大事なことなのかもしれませんね。