2012/02/01

FISH! 鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方 / スティーブン・C・ランディン ハリー・ポール ジョン・クリステンセン


FISH!」を読みました。

この本は、いわゆる「組織変革」本(「人生をもっと楽しむ方法」に関する本でもあります)。社内の評判は最悪、部内の雰囲気も最悪。そんなダメダメ部署がイケてる部署へとどうやって変革していくのかという一連の流れを描いたショートストーリーです。

こんな状況から物語はスタートします。

スタッフはみなのろのろと短い時間仕事をして、薄給をもらっている。ほとんどの人は何年も前から同じやりかたでいやいや仕事をしていて、退屈しきっている。いい人たちみたいだけど、まるっきりやる気がない。この部署の沈滞した雰囲気に毒されて、新しくきた人もすぐにやる気を失ってしまう。

組織の空気、いわゆる「組織文化」というものを良いものへと変えていくにはどうすればいいのか。その方法論のひとつがこの本では紹介されています。

企業その他の「組織」というもののパフォーマンスを決める要因は数多くあり、「文化がすべて」というわけではありません。しかし、組織文化という組織の最もソフトな側面は制度、構造、スキルといった他のすべての要因のベースになりえますし、また、企業存続の第一義は「営利」にあるとしても、第二義としては人びとの「主な活動の場」というのがあるかと思います。「主な活動の場」の雰囲気や文化というのは人のQOLにダイレクトに影響してきますし、その意味でいうと、「組織文化」(そして、それを構成するメンバーの「働く姿勢」)というのは「組織において一番大切なこと」といってもよいのかもしれません。

そんな組織文化についてシンプルに、かつ臨場感豊かに考えるチャンスを与えてくれるのがこの「FISH!」です。

タイトルのFISH!の由来は、活気いっぱいの魚市場「パイク・プレイス・マーケット」。アメリカ・シアトルに実在する市場で、物語中に登場します。「魚を放り投げる」のが名物の市場だそうで、その様子が見れる公式サイトや動画なんかもあったりします。

PIKE PLACE MARKET






エッセンスがシンプルで分量も100ページちょっとなので、さーっと読めてしまうお気軽な一冊です。しかしさらっと読めるだけに注意が必要、かもしれません。組織の変革を進める上でキーとなるポイントが各所で出てくるのですが特に強調などもされずさりげなく書いてあるので、ただ読むだけだと見逃してしまう、かも。。

本書の副題のとおり、まずは「ぴちぴちオフィスのつくり方」の戦略を、そして次に、戦略を落とし込むプロセスのエッセンスを本書から取り上げてみたいと思います。


ぴちぴちオフィスのつくり方 戦略編

本書では、ぴちぴちオフィスのつくり方として4つのポイントが挙げられています。
態度を選ぶ
つねにポジティブな姿勢で出社するように心がけること。
遊ぶ
オフィスが活気にあふれるような遊び方を取り入れることが大事。
人を喜ばせる
顧客や同僚に対してエネルギッシュな楽しい雰囲気で接しよう。
注意を向ける
人があなたを必要としている瞬間を逃さぬよう、いつも気をくばろう。

いずれも聞いたら「なぁんだ」と思うような本当にシンプルなことですが、これ、「毎日できてますか?」と聞かれると、私はできてない日の方が多い気がします。。行うは難し。「そんなシンプルなことできてるわー、、、いや、できてないかも」という方にこそ読んでいただきたいです。

ちなみに英語ではそれぞれ
態度を選ぶ CHOOSE YOUR ATTITUDE
遊ぶ PLAY
人を喜ばせる MAKE THEIR DAY
注意を向ける BE PRESENT
と言うそうです。余談ですが、BE PRESENTって、いい言葉ですね。


ぴちぴちオフィスのつくり方 プロセス編

こちらは、上述の「組織の変革を「進める」上でキーとなるポイント」。本書の中で明示的にポイントとして取り上げられているわけではありませんが、「こういう進め方だったらうまく行って当然だな」と思ってしまうポイントがたくさん載っています。それをここでは挙げてみます。

書き出す 堂々巡りをしないために、気づきや考えを書き出すこと。組織変革を順を追って着実に行うために、今行うべきことや自分の心象をクリアにすること。

良いモデルを見つける 変革後のビジョンを描くための具体的モデルを持つこと。この本の場合はパイク・プレイス・マーケットでした。

キーパーソンを押さえる 権限をもらったり意思決定をしてもらったりするために上司や他部署のキーパーソンを押さえること。

リスクをとる覚悟をする 変革には個人的リスクがつきものです。そういうリスクをとる覚悟をすること。

押し付けるのではなく機会を与える 変革を押し付けるのではなく、機会を与えることで「変えたい」「変わりたい」と思ってもらうこと。組織といってもしょせんは人の集まりですし、ムリヤリ人に変えられることを望む人はいないので、「主体性」は不可欠す。

上からではなく対等な立場で話す 変革が必要な組織のメンバーに話すとき、対等に話すこと。大事なのに軽視されがちなポイントかもしれません。もしかしたらこれが一番難しいことかも。

一方的に話すのではなく話を聴く メンバーに話すとき、一方的に話すのではなくメンバーの話も聴くこと。これも、高いレベルでできている人はなかなかいないような気がします。

都度感謝する メンバーが自主性を発揮してくれたり、率直な意見を言ってくれたときに、ちゃんと感謝すること。このあたりは人柄の問題かもしれませんが、信頼される変革者には必要な気がします。

丸投げせず協力する メンバーに何か宿題やタスクを課すときには、丸投げしないこと。答えは持っていなくても、最大限協力する姿勢を示すこと。

大事な部分はしめる 出てくるものは未定でも、いつ何をやるのかはあらかじめ決めること。出てきた意見や決定事項はまとめること。

信じる メンバーのことを信じること。これも、本書の主人公は自然にやっていましたが、現実ではなかなかなされていないことかもしれません。

・・・以上です。

書いたものを振り返って見てみると、「変革というのも、なかなか泥臭い、難しい仕事だなぁ・・・」と思えます。「変革」というと聞こえはカッコイイですが、それを実践できる人はなかなかいないように思います。日本航空の再建に稲盛さんが出てこざるを得なかったというのも、、わかるような気がします。。


一言感想

最近「21世紀の働き方」を考えている一環で「経営の未来」「学習する組織」「エクセレントカンパニー」といった分厚めのマネジメント本(?)を立て続けに読んで消化不良になってしまったので、、半分息抜き目的でこのFISH!を手にとりました。単純に楽しむ意味でも、新鮮な気持ちで原点に戻るという意味でも、いい機会をもらえた本でした。

いま私の周りにも、「態度を選ぶ」「遊ぶ」「人を喜ばせる」「注意を向ける」を日々自然に実践している人がいます。「この人なんだかすごいなぁ」と思っていた人の特徴を、要素に分解して分析するきっかけにもなりました。

今の私のニーズにちょうど合っていたこともありますが、良書かと思います。


おまけ
Fish!の変革を実践する著者らのサービスのプロモーション動画がありました。




もとの英語版「Fish!」も112ページと短いので、英語勉強中の方はそちらで読んでみるのもよいかもしれません。

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